転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!

ももがぶ

文字の大きさ
171 / 468
連載

◆歪な物がそこにありました

しおりを挟む
遅過ぎた昼食を食べ終わり、改めてさっき作った模型を眺めて見る。
「ケイン、これはちょっと…」
「いいよ。ガンツさん、皆まで言わなくても分かってる。これは…失敗だね。」
「分かっとるなら、いいが。何でさっきは思わなかったんじゃろうの。」
「そうだよね。妙なテンションに引っ張られちゃったのかもしれないね。」
二人が失敗と評するその模型は、草刈り部分から粉砕、圧縮までを前部に集中し過ぎた為にトラクターよりも長く大きくなり過ぎていた。

ガンツさんともう一度練り直そうと、何が悪かったかを話し合う。
「まずは配置から考え直そう。草刈りは前方に置くしかないけど、他のは後ろに回した方がいいと思う。」
「なら、横刈りで中央に集めるのは無しじゃな。う~ん、この場合は左に寄せて集めたのを後ろに流すか。」
「回転刃の回る方向は右回りでいいのかな?」
「左と右のどっちがいいか分からんから、とりあえずは右にしとくか。」
「いいよ。じゃあ変えるところはそのくらいでいけそうかな?」
「まあ、待て。もう一度模型でじっくり確認させてくれ。」
「分かったよ、ちょっと待ってね。」と模型のアタッチメント部分を先ほど話して決めた内容で修正し、配置も変える。
「出来たよ。俺としてはいい感じになったと思うけど。どう?」
「うむ、なかなかいい感じに仕上がったな。これでやっと作れるわ~ここまで、長かったな~」
「そんな、大袈裟な。」
「じゃが、今までは『作る!』『出来た!』『動いた!』『完成!』って流れじゃったろ?こんなに最初っから、模型とかでじっくり考えたことはなかったと思うがな。」
「う~ん、言われてみれば…今までは発作的に作っていたみたいに思うね。」
「『発作的』ってお前…まあ、違ってはいないがな。」
「ほら、そんなことより作っちゃおうよ。部品数が多いんだからね。」

それからはガンツさんと工作室に入り、細かい部品から作り始める。
「なあ、ケインよ。これだけの部品なんじゃからプレス加工とかで済ませられるじゃろ。何で一から…ブツブツ…」
「まあまあ、ガンツさん。プレス機は下で使っているんだし、時間もあるんだし、ここは原点に戻っての全部手作りってことで、ね。」
「何でワシまで…」
「だから、グチグチ言わない。手を動かすハイッ!」

何とか必要な回転刃を用意することが出来たので、今度はそれの軸受と連動させるための歯車の生産に移る。
「また、これも数が多いの~」
「ガンツさん、愚痴が多いよ。最近らくし過ぎているんじゃないの?まだ、ベルトコンベアー部分のもあるからね。」
「ハァ~こんなチマチマしたのは苦手なんじゃよ。もっとド~ンバ~ンボ~ンって感じでパパッと出来んもんかな~」とチラッとこちらを見る。
「擬音ばっかで全然分からないから。」
「チッ失敗したか~あ~もう!」
「いいから手を動かす!」
「もう何ならワシを機械人形にしてくれ~!」
「何それ?」
「『何』って、お前がなってたろうが。忘れたのか?」
「俺が?」
「ああ、機械的にブレスレットを作っていたじゃろ。アレじゃよ。アレ!」
「ああ、何だ。そんなことなの。じゃあガンツさんもなってみる?」
「いや、ワシはただ何となく言ってみただけじゃから…だから、冗談だから。な?そんな目で見るな。もう二度と愚痴は言わんから。な~止めろって!」
「…分かったよ。でも、次に言ったら俺と並んで大量生産モードに入ってもらうからね。」
「…ああ、分かったわ。二度は言わん。ったく、こんな年寄りに…」
「ガンツさん?」
「何じゃ、愚痴は言うとらんぞ!」
「あれ?いつもならここで褒められるはずなのにと思ったんだけど?」
「ハァ~?お前はあれを本当に誉めていたと思っていたのか?もう一度言うが、ワシはお前を物作り以外では誉めた覚えはないからの。ただ呆れただけじゃから。」
「え~そうなの。誉められたとばかり思っていたのに~」
「よくあんなことを言っといて、誉められたと思えるもんじゃて」
「やっぱり、誉めているじゃん。」
「…い、今のは違うぞ。褒めとらんからの。ふぅ~危ない危ない。もうお前の前では迂闊には話せんの。」
「そんなこと言わずに誉めてくれていいのに~」
「い~や、この際だから言っとくが、お前は物作り以外に褒められるところはない!」
「だから、お前を褒める奴がいたら、それは頭から嘘だと思って用心して掛かることじゃな。」
「え~そこまで言う?」
「言うわ!そこまでと言わんとお前には分からんじゃろうからな。」
「親バカのくせに…」
「お、お前!それはただの悪口じゃぞ。」
「もう、いいから手を動かしてよ。」
「まったく、お年寄りを大切にと言われんかったのかの~」
「十分、お年寄りには優しいと思うけどね。」
「なら、ワシにも…」
「だけど、一部の人は『年寄り扱いするな!』って怒るんだよね~」とガンツさんをチラ見する。
「ま、まあ何だ…その人も気丈に振る舞ってはいるが、心の中では『優しくして欲しい』と思っとるはずだぞ。」
「そうかな~だって優しくして欲しいって思うのは、人として普通だからね。その人に『じい様』って言っても怒らなくなったら優しくしようかなとは思ってるけどね。」
「か~そう来たか。」
「ほら、そんな先の長い話は後回しにして、手を動かそうね~」
「ああ、分かったわ。本当に…」

半ば機械と化して部品を作り続けたお陰で、ある程度の部品が揃ったのでガンツさんにお礼を言ってお開きにする。

家に戻り「ただいま~」と言うと奥から「お帰り~」とリーサさんの返事が聞こえる。
「やっぱりいいよな~」
「ん?何がいいんだ?」
「家に帰ってからのこのやり取りがね。やっぱりいいな~って改めて思ってさ。」
「何だ、そんなことか。ケインが望むなら、すぐに手に入ることだぞ。何なら今から「ストップ!リーサさん、暴走の閾値が下がってるんじゃないの?」…む、そうか。この雰囲気に慣れ過ぎたのかな。」
「おお、ケイン。帰って来ていたのか。なら、もうすぐに夕食だな。」
「ケイン、ここじゃ。ここに座れ。ワシが甘やかしてやろうじゃないか。ほれ、ここに頭も載せるがええ。…待て、リーサ。まずは手に持っている物を離すんじゃ。な、ほれ、ワシはケインから離れたぞ。な、お前も離せ。な?」
「ヘレン…私が膝枕して耳掃除してあげましょうか?何度も何度も…言っているのにね。おかしいですね。」
「ワシが悪かった。な?ほれ、直に夕食じゃろ。ケインも手伝うとええ。(すまんがあやしてくれ。)」
「(ヘレンさん、怒らせるマネは止めて下さいね。)リーサさん、手伝うよ。」
台所に立つリーサさんの側に行き、声を掛ける。

「なら、これを運んでくれ。」
「これは美味しそうだね。毎日違うのが出て来るけど、大変じゃないの?」
「あら、ケインってば。何ていい子なの。父さんは私にはそんなこと一言もなかったわよ。本当に父さんの子なのかしら。」
「か、母さん!それはどういうことなのかな!」
「冗談よ、冗談。本当にね~うふふ。」
「でも父さんは母さんにちゃんとマッサージの時に声は掛けているじゃない。」
「「クリス…」」
「(あ~あ、墓穴だよ。)そうだよね、ほら、父さんもちゃんと優しく声を掛けているじゃん。母さんってば。」
「「(ありがとうケイン。)」」
「(ちゃんと教育しないから、こんなことになるんだからね。)」
「(すまんケイン。)」
「それでヘレンさん、母さんの調子はどうなの?」
「そうじゃな、床上げはまだ先じゃが。食事に立つぐらいは問題ないな。」
「じゃあ双子にはいつ会える?」
「あの子達を部屋の外に出すにはまだ早いわ。幸いこの家は清潔に保ててはいるがな。」
「じゃあ、外に出るなら周りが清潔になればいいんだね?」
「何を考えとるか知らんが、相手はまだ赤子じゃぞ。もう少し長い目で見てやれ。まあ、ワシとの子なら「ヘレン、やっぱり耳掃除が必要だな。」…リーサ、まだ食事中じゃから。」
「リーサさん、気にしなくても大丈夫だから。」
「ふぅヘレンはもっとケインに感謝すべきだぞ。」
「はい…」
しおりを挟む
感想 254

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

悪役令嬢が処刑されたあとの世界で

重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。 魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。 案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。