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◆告白しました
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今日の目的の一つの酒場へと向かう。
マサオは相変わらず俺の服の裾を甘噛みしているが……口まわりのタレを拭かずにそのまま噛むから、よだれとタレですごいことになっている。
「マサオ、これ絶対に普通に洗っただけじゃ落ちないぞ」
『……』
「まあまあ、ケインなら魔法ですぐだろ? そんなに脅すなよ。なあ、マサオ」
ガンツさんに優しくされ、マサオがそうだと言わんばかりに尻尾をブンブンと凄い勢いで揺らす。
王都の道を進み目的の酒屋へと着く。
「ドラゴさ~ん、いますか?」
「誰だ、気安く俺の名を呼ぶのは?」
「ごめん、ケインです」
「お~お前か~久しぶりだな。どれくらいぶりだ?」
「確か一ヶ月くらい?」
「もう、そんな経つか。なあ、今日はアレ持ってないのか?」
「アレ?」
「ほら、アレだよ。前にくれただろ? いいから、出してくれよ。もう、アレ以上のが手に入れることが出来なくてよ~」
「もう、変な言い方はやめて下さい! なんだか俺が怪しい売人みたいじゃないですか」
「おう、悪かった。それで、今日はあの姉ちゃんはいないんだな。代わりがその爺さんと犬か」
「爺さんで悪かったな。ワシはガンツと言う。この前、ケインが買ってきた酒が美味かったんでな。今日は無理言って連れてきてもらったんじゃ」
「おう、この前は店中の酒買って行ったからな。ん? まさか、今日もか?」
「うん、そのつもり。ただ、今日はガンツさんがお客さんだけどね」
「ああ、ワシが買わせてもらう。ありったけのを港の倉庫までよろしくな」
「それはいいが、今回は前と違ってオマケは無しだぞ? それでもいいのか?」
「ああ、構わん。ほれ、さっさと運び出す準備をしてもらおうか」
「まあ、金になるのはいいが、支払いは大丈夫なんだろうな」
「心配するな。ギルド決済でいいんじゃろ。ほれ、このカードで頼む」
「分かった。少し待ってろ。おい、ここにある酒を全部空いてる馬車に積み込んで、例の倉庫まで持って行ってくれ。ああ、そうだ。あの倉庫だ。じゃあ、頼んだぞ」
ドラゴさんが従業員の人に指示している間にインベントリから蒸留酒を五本出してテーブルの上に並べる。
そこへドラゴさんが戻ってくる。
「おお、一応馬車に積み込んで、倉庫まで運ぶ様に言っといたから。お前さん達も一緒に乗っていくがいい」
「すまんな、ありがたく乗せてもらうわ」
「いいってことよ。大得意様だからな。ん? これは……おお! あるじゃねえか! なんでもっと早く出さないかな。そしたら、おまけしたのによ~なあ、これはもらっていんだよな。ここに出しているんだから、そういうことだよな。いいんだな?」
「ドラゴさん、落ち着いて。これはドラゴさんへのお土産だから」
「おう、そういうことなら遠慮なく」
ドラゴさんが抱えていた蒸留酒を愛おしそうに抱え直して、店の奥へと持っていき従業員に絶対に触るなよと言い聞かせて、戻ってくる。
「よっぽど、あの酒が気にいったみたいだな」
ガンツさんがドラゴさんにそう言うとドラゴさんが笑いながら返す。
「お前さんも酒のことがちょっとは分かっているみたいだが、あれだけの酒は飲んだことがないんだろ?」
「ふふん、褒めてくれてありがとうよ」
「そうだろ、そうだろ。ん? 今なんて言った? 『褒めてくれて……ありがとう』?」
「ああ、あれはワシとケインで作った」
「ハァ~なにをふざけたことを……本当なのか?」
「本当だよ」
ドラゴさんを真っ直ぐに見てそう返す。
「どうやら、本当の様だな」
「おう、ここで買わせてもらった酒を原料にな」
「酒を材料に酒を作るのか?」
「詳しいことは言えないが、その通りだ」
「だから、あんなに酒精が強いのか」
「ああ、まだ量が作れないから、身内優先に卸している状態だがな」
「なら、量産が出来れば、俺の店にも卸してもらえるのか?」
「それは……」
ガンツさんが俺をチラリと見てくるので、黙って頷く。
「ああ、問題ないぞ」
ガンツさんの返答にドラゴさんがお礼を言ってくる。
「そうか、分かった。ありがとうな」
「だが、まだ量産が可能になる具体的な時期は分からんぞ」
「それでもいい。あれは売れると踏んでいるからな」
「ドラゴさん、荷馬車に積み込み出来ました」
「そうか、分かった。じゃ、行くか」
従業員の人がドラゴさんに積み込みが終わったと連絡して来たのでドラゴさんと一緒に馬車に乗り港の倉庫へと向かう。
港の倉庫に着くと、馬車から降りる。
「やっぱり、この倉庫か~」
従業員の一人がそんなことを呟く。
「ドラゴさん、どういうこと?」
「ああ、お前に言われて酒を運んだ次の日に捕物があっただろ?」
「あったね~」
「そんな他人事みたいに。この倉庫に入ろうとしてたんだろ?」
「そうみたい」
「お前な~」
「ドラゴよ、そいつには言うだけ無駄じゃ」
「そうか? まあ、こいつがいいのならいいか」
倉庫の扉を開けて中へとお酒を運んでもらう。
お酒を中へ運んでもらっている間にドラゴさんに話しかける。
「ねえ、ドラゴさんのところはドラゴさんだけなの? 誰か家族はいないの?」
「ああ、俺のところは息子がいたが、長男以外は皆んな出ていっちまってな」
「へ~息子さんがいるんだ」
「ああ、出来のいいのもいれば、悪いのもいる。皆んな可愛い息子さ」
「長男さんが出来がいいの?」
「長男は出来がいいと言うか、ソツなくなんでもこなすって感じだな」
「それは、十分に出来がいいって言うんじゃないの?」
「だが、酒のことが分かっておらん。それだけが残念じゃな」
「へ~よく分からないけど、そうなんだ。それで、他に面白い人はいないの?」
「妙なことを聞きたがるんだな。まあ、暇潰しだしいいか。そうだな~面白いかどうかは別にして、行方が分からないのが一人いたな」
「へ~行方が」
「ああ、そうだ。ある娘との結婚を反対したら駆け落ちしやがった。全くよ」
「駆け落ち……どうして反対したの?」
「ああ、相手の親とちょっとやり合ってな」
「今もその相手とは仲が悪いの?」
「いや、今はそれほどじゃないぞ。互いに連絡が来てないか確認しているぐらいか」
「それって、ドラゴさんは息子さんからの連絡を待って、相手の親も娘さんからの連絡を待っているってこと?」
「まあ、まとめてしまえば、そういうことだ。さて、倉庫へも運び終わった様だな。じゃまたな」
「あ、待って。もう一度俺たちをお店まで連れて行ってもらえるかな」
「それは、構わんが?」
「ありがとう。ガンツさん、マサオ。馬車に乗って」
「ああ、また世話になるな」
『……』
「妙な連中じゃな」
港の倉庫から、また酒屋へと馬車で戻る。
「ほれ、戻って来たが、忘れ物か?」
「ドラゴさん、誰にも聞かれたくない話なんですけど、どこか部屋で話せますか?」
「なんじゃ蒸留酒の話か? まあ、俺の私室なら誰も来ないし聞かれないと思うぞ。じゃあ案内するから、着いてこい」
「ありがとうございます」
ドラゴさんの後に続いて、店の奥の階段を上がり、ドラゴさんの私室へと案内される。
「ほれ、自由に座って構わん。茶は出せんが楽にしてくれ」
ドラゴさんに言われ、ソファに座りガンツさんも俺の横に座る。
ドラゴさんが俺の対面に座ると真っ直ぐに目を覗き込み俺に言う。
「ここまで、人払いしてまで話したいことってのはなんだ? 嫌な話じゃなさそうだが」
「ちょっと、失礼しますね。念のために」
ポケットから防音の魔道具を出し起動する。
「ほう、また妙なもんを出してきたな」
「これで、この部屋の外に音が漏れることはありません」
「また、便利な物を持っているんだな。どこで手に入る?」
「いるなら、この話の後で、差し上げます」
「おお、いいのか? いや、待て! 妙に気前がいいな。いや、良すぎる。なんか怪しいぞ」
「だって、俺のおじいちゃんですから」
「そうか、おじいちゃんか。そうか、そうか……おじいちゃん?」
「ケイン、ドラゴがお前の爺さんだと言うのか?」
「うん、父さんに確かめたから、間違いないよ」
「待て! ちょっと、待て! お前の父さんの名前は……なんていうんだ?」
「父さんの名前はトミー、母さんはマギー」
「……」
「ドラゴさん?」
ドラゴさんがソファから立ち上がり、部屋から出て行く。
「どうしたんだろ?」
「そりゃ、お前がいきなり爺さんと言うから、驚きもするだろ」
『そうだぜ、ケイン。こういうことはちゃんと準備をして、相手の心構えを待ってだな』
「マサオは、まだしゃべっちゃダメ!」
『なんでだよ。ここの会話は外には聞こえないんだろ?』
「それでも、ダメ!」
『ちぇ、分かったよ。その分、帰ったらイヤって言うほど話しかけるからな』
マサオは相変わらず俺の服の裾を甘噛みしているが……口まわりのタレを拭かずにそのまま噛むから、よだれとタレですごいことになっている。
「マサオ、これ絶対に普通に洗っただけじゃ落ちないぞ」
『……』
「まあまあ、ケインなら魔法ですぐだろ? そんなに脅すなよ。なあ、マサオ」
ガンツさんに優しくされ、マサオがそうだと言わんばかりに尻尾をブンブンと凄い勢いで揺らす。
王都の道を進み目的の酒屋へと着く。
「ドラゴさ~ん、いますか?」
「誰だ、気安く俺の名を呼ぶのは?」
「ごめん、ケインです」
「お~お前か~久しぶりだな。どれくらいぶりだ?」
「確か一ヶ月くらい?」
「もう、そんな経つか。なあ、今日はアレ持ってないのか?」
「アレ?」
「ほら、アレだよ。前にくれただろ? いいから、出してくれよ。もう、アレ以上のが手に入れることが出来なくてよ~」
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「おう、悪かった。それで、今日はあの姉ちゃんはいないんだな。代わりがその爺さんと犬か」
「爺さんで悪かったな。ワシはガンツと言う。この前、ケインが買ってきた酒が美味かったんでな。今日は無理言って連れてきてもらったんじゃ」
「おう、この前は店中の酒買って行ったからな。ん? まさか、今日もか?」
「うん、そのつもり。ただ、今日はガンツさんがお客さんだけどね」
「ああ、ワシが買わせてもらう。ありったけのを港の倉庫までよろしくな」
「それはいいが、今回は前と違ってオマケは無しだぞ? それでもいいのか?」
「ああ、構わん。ほれ、さっさと運び出す準備をしてもらおうか」
「まあ、金になるのはいいが、支払いは大丈夫なんだろうな」
「心配するな。ギルド決済でいいんじゃろ。ほれ、このカードで頼む」
「分かった。少し待ってろ。おい、ここにある酒を全部空いてる馬車に積み込んで、例の倉庫まで持って行ってくれ。ああ、そうだ。あの倉庫だ。じゃあ、頼んだぞ」
ドラゴさんが従業員の人に指示している間にインベントリから蒸留酒を五本出してテーブルの上に並べる。
そこへドラゴさんが戻ってくる。
「おお、一応馬車に積み込んで、倉庫まで運ぶ様に言っといたから。お前さん達も一緒に乗っていくがいい」
「すまんな、ありがたく乗せてもらうわ」
「いいってことよ。大得意様だからな。ん? これは……おお! あるじゃねえか! なんでもっと早く出さないかな。そしたら、おまけしたのによ~なあ、これはもらっていんだよな。ここに出しているんだから、そういうことだよな。いいんだな?」
「ドラゴさん、落ち着いて。これはドラゴさんへのお土産だから」
「おう、そういうことなら遠慮なく」
ドラゴさんが抱えていた蒸留酒を愛おしそうに抱え直して、店の奥へと持っていき従業員に絶対に触るなよと言い聞かせて、戻ってくる。
「よっぽど、あの酒が気にいったみたいだな」
ガンツさんがドラゴさんにそう言うとドラゴさんが笑いながら返す。
「お前さんも酒のことがちょっとは分かっているみたいだが、あれだけの酒は飲んだことがないんだろ?」
「ふふん、褒めてくれてありがとうよ」
「そうだろ、そうだろ。ん? 今なんて言った? 『褒めてくれて……ありがとう』?」
「ああ、あれはワシとケインで作った」
「ハァ~なにをふざけたことを……本当なのか?」
「本当だよ」
ドラゴさんを真っ直ぐに見てそう返す。
「どうやら、本当の様だな」
「おう、ここで買わせてもらった酒を原料にな」
「酒を材料に酒を作るのか?」
「詳しいことは言えないが、その通りだ」
「だから、あんなに酒精が強いのか」
「ああ、まだ量が作れないから、身内優先に卸している状態だがな」
「なら、量産が出来れば、俺の店にも卸してもらえるのか?」
「それは……」
ガンツさんが俺をチラリと見てくるので、黙って頷く。
「ああ、問題ないぞ」
ガンツさんの返答にドラゴさんがお礼を言ってくる。
「そうか、分かった。ありがとうな」
「だが、まだ量産が可能になる具体的な時期は分からんぞ」
「それでもいい。あれは売れると踏んでいるからな」
「ドラゴさん、荷馬車に積み込み出来ました」
「そうか、分かった。じゃ、行くか」
従業員の人がドラゴさんに積み込みが終わったと連絡して来たのでドラゴさんと一緒に馬車に乗り港の倉庫へと向かう。
港の倉庫に着くと、馬車から降りる。
「やっぱり、この倉庫か~」
従業員の一人がそんなことを呟く。
「ドラゴさん、どういうこと?」
「ああ、お前に言われて酒を運んだ次の日に捕物があっただろ?」
「あったね~」
「そんな他人事みたいに。この倉庫に入ろうとしてたんだろ?」
「そうみたい」
「お前な~」
「ドラゴよ、そいつには言うだけ無駄じゃ」
「そうか? まあ、こいつがいいのならいいか」
倉庫の扉を開けて中へとお酒を運んでもらう。
お酒を中へ運んでもらっている間にドラゴさんに話しかける。
「ねえ、ドラゴさんのところはドラゴさんだけなの? 誰か家族はいないの?」
「ああ、俺のところは息子がいたが、長男以外は皆んな出ていっちまってな」
「へ~息子さんがいるんだ」
「ああ、出来のいいのもいれば、悪いのもいる。皆んな可愛い息子さ」
「長男さんが出来がいいの?」
「長男は出来がいいと言うか、ソツなくなんでもこなすって感じだな」
「それは、十分に出来がいいって言うんじゃないの?」
「だが、酒のことが分かっておらん。それだけが残念じゃな」
「へ~よく分からないけど、そうなんだ。それで、他に面白い人はいないの?」
「妙なことを聞きたがるんだな。まあ、暇潰しだしいいか。そうだな~面白いかどうかは別にして、行方が分からないのが一人いたな」
「へ~行方が」
「ああ、そうだ。ある娘との結婚を反対したら駆け落ちしやがった。全くよ」
「駆け落ち……どうして反対したの?」
「ああ、相手の親とちょっとやり合ってな」
「今もその相手とは仲が悪いの?」
「いや、今はそれほどじゃないぞ。互いに連絡が来てないか確認しているぐらいか」
「それって、ドラゴさんは息子さんからの連絡を待って、相手の親も娘さんからの連絡を待っているってこと?」
「まあ、まとめてしまえば、そういうことだ。さて、倉庫へも運び終わった様だな。じゃまたな」
「あ、待って。もう一度俺たちをお店まで連れて行ってもらえるかな」
「それは、構わんが?」
「ありがとう。ガンツさん、マサオ。馬車に乗って」
「ああ、また世話になるな」
『……』
「妙な連中じゃな」
港の倉庫から、また酒屋へと馬車で戻る。
「ほれ、戻って来たが、忘れ物か?」
「ドラゴさん、誰にも聞かれたくない話なんですけど、どこか部屋で話せますか?」
「なんじゃ蒸留酒の話か? まあ、俺の私室なら誰も来ないし聞かれないと思うぞ。じゃあ案内するから、着いてこい」
「ありがとうございます」
ドラゴさんの後に続いて、店の奥の階段を上がり、ドラゴさんの私室へと案内される。
「ほれ、自由に座って構わん。茶は出せんが楽にしてくれ」
ドラゴさんに言われ、ソファに座りガンツさんも俺の横に座る。
ドラゴさんが俺の対面に座ると真っ直ぐに目を覗き込み俺に言う。
「ここまで、人払いしてまで話したいことってのはなんだ? 嫌な話じゃなさそうだが」
「ちょっと、失礼しますね。念のために」
ポケットから防音の魔道具を出し起動する。
「ほう、また妙なもんを出してきたな」
「これで、この部屋の外に音が漏れることはありません」
「また、便利な物を持っているんだな。どこで手に入る?」
「いるなら、この話の後で、差し上げます」
「おお、いいのか? いや、待て! 妙に気前がいいな。いや、良すぎる。なんか怪しいぞ」
「だって、俺のおじいちゃんですから」
「そうか、おじいちゃんか。そうか、そうか……おじいちゃん?」
「ケイン、ドラゴがお前の爺さんだと言うのか?」
「うん、父さんに確かめたから、間違いないよ」
「待て! ちょっと、待て! お前の父さんの名前は……なんていうんだ?」
「父さんの名前はトミー、母さんはマギー」
「……」
「ドラゴさん?」
ドラゴさんがソファから立ち上がり、部屋から出て行く。
「どうしたんだろ?」
「そりゃ、お前がいきなり爺さんと言うから、驚きもするだろ」
『そうだぜ、ケイン。こういうことはちゃんと準備をして、相手の心構えを待ってだな』
「マサオは、まだしゃべっちゃダメ!」
『なんでだよ。ここの会話は外には聞こえないんだろ?』
「それでも、ダメ!」
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