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◆見せることにしました
翌朝、ガンボさんと工房で軽く打ち合わせを行う。その時に昨晩、父さんに話した各種組合に対する喧嘩上等の話をガンツさんにも同じように話す。
「ふむ」
「ガンツさんは、どう思う?」
「どう思う……か。うん、面白いな」
「面白い? ガンツさん、正気ですか?」
「なんじゃ、ジョシュアは反対か?」
「反対に決まっているじゃないですか! なんで、組合にケンカを売るような真似をするんですか?」
俺の提案に賛成したガンツさんをジョシュアさんが、なにがなんでも反対だと叫ぶ。
「ジョシュアよ、組合に従うというのなら、これから作る魔道具についても、なんの組合が反対してくるか分からんぞ。それにも反対することなく従順に従うというのか?」
「え? なんで、そんな話になるんですか?」
「あのな、一つ事例を作ってしまうと、後に続くことにも『前例』として影響するんじゃ。じゃから、一つの組合には従って、もう一方の組合に従わないというのは難しくなるんじゃよ。じゃからというて、全部の組合に反対するとかケンカを売るつもりでもない。そうじゃな、ケイン」
「うん。そこはね、柔軟に対応していければと思っているよ。だから、製紙組合も文句を言ってくるなら対応するけど、俺達が作る紙を受け入れてくれるなら、こちらからは、なにも言うことはないよ」
「そんな適当な……」
「適当のなにが悪い?」
「ガンツさん。なにが悪いって……なんででしょうね?」
「なんじゃ、ジョシュアは分からないのか?」
「すみません。俺もなにが悪いのかハッキリと言えません」
「それは俺も同じだよ。だって、自分が欲しい物を作って、同じように欲しいと思う人に売る。でも、都合が悪い人がなにを言ってくるのか想像がつかないから、適当に対応するしかないかなと思ってる。まあ、大体言ってくることの予想はつくよね」
「ほう、ケインは大体の予想はついているんじゃな。話してみろ」
「うん。あのね、まずは製法についての尋問でしょ」
「まあ、それはそうじゃな。で、他は?」
「他か……他は大量購入してからの転売に実際の小売に対する嫌がらせかな」
「まあ、そこは考えられるか」
「製法については、落ち着いたら工場見学ツアーを組む予定だから、別に問題はないんだけどね」
「ちょっと、待って!」
「なに? ジョシュアさん」
「君は製紙工場を見学させるって言ったの?」
「うん、そうだよ」
「なんで?」
「なんで? 知って欲しいから?」
「いやいや、そこは重大な秘密でしょ?」
「そう? ガンツさん、俺達が作ったのって見たからって真似できると思う?」
「無理じゃな」
「だよね~」
「いやいや、でも見る人が見れば分かるもんじゃないのか?」
「だって、ガンツさん」
「はぁ、ジョシュアよ。お前もケインの作る魔道具は見たじゃろ?」
「それは……はい、色々見ました」
「で、どれか一つでも理解するなり、真似るなり出来た物はあるか?」
「いえ、それは……ありません」
「な、ワシでも魔法陣を刻むところは何度となく見てはいるが、それを間近で見ていてもケインの作る魔道具を作ることは、まだ出来ん。そりゃ、魔法陣以外の部分についてはワシでも出来るがな。ケインの作る魔道具は、ケインが刻む魔法陣があってこその物なんじゃよ。どうじゃ、ワシの言ってることが分かるか?」
「はい、なんとなくですが」
「なんとなくか……まあ、ええ。今はそれでええ。じゃから、他の誰かがケインの作る魔道具を見ても、そっくりそのまんまには作れんじゃろ。だから、ケインは見たい者には見せてやろうとしてるんじゃろ。なあ、ケインよ」
「ガンツさん、惜しい!」
「ワシ、結構頑張って考えて喋ったぞ。それでも惜しいのか?」
「まあ、ガンツさんの言うことも正しいのは正しいんだけど、俺が見せたい理由は楽しいからなんだ」
「「楽しい?」」
「そう、原材料から製品が出来るまでの工程は見ているだけでも楽しいんだ。ほら、ガンツさんもスラレールを見ていて楽しかったでしょ? 雰囲気的にはあれに似たような感じかな」
「ああ、アレか。アレなら、ケインの言っていることも分からんでもない」
「ちょ、ちょっと二人とも。俺に分からない話をしないで下さいよ。なんですか、そのスラレールってのは?」
「まあ、それについては、また後じゃ。ほれ、お前も急がんと教習が始まるぞ」
「あ、本当だ。もう、絶対ですよ! 次には、そのスラレールのことを教えてもらいますからね!」
ジョシュアさんが慌てて部屋を出て行くのを見送る。
「ケイン、さっきは組合の妨害の話を詳しくはしなかったが、ないものと思うとるのか?」
「まあ、妨害はあるよね。でもさ、ある程度の妨害なら簡単に弾き返せるでしょ? それに製品の運搬を妨害するとかも考えられるけどさ、ここから出荷する物は軽トラか転送ゲートが主体だから、誰も邪魔なんか出来ないよね。それにもし、なにか仕掛けて来たら思いっきり例の物を送りつけるだけだしね。だから、直接的な妨害に対しては心配してないかな」
「まあ、そうじゃな。お前が付与した物にはおっかない物が憑いてくるからな。でだ、製紙関連はいいが、塩に砂糖に胡椒じゃろ。まあ、塩は目の前にあるからいいとして、砂糖と胡椒じゃな。見当はつけているのか?」
「うん、砂糖については確認しに行かないとダメなんだけど、多分大丈夫だよ。でね、胡椒も多分、近くにあると思うんだ」
「ほう? もう場所の見当も付けていたか」
「うん、これはガンツさんのお手柄なんだけどね」
「ワシが? そんな覚えはないが……う~ん、やっぱり思い出せん」
ガンツさんにそういうと、しばらく考え込んでいたが、降参のようだ。
「思い出せない? ほら、前に無人島を見つけたでしょ」
「ああ、あったな。で、それが?」
「もう、ヒントどころか、ほぼ答えを言ったのに」
「答え? まさか、あの無人島に自生していたのか?」
「ピンポ~ン! その通り! まあ、詳しくは調べないといけないんだけどね。それっぽいのが生えているなとは、思っていたんだ」
「ほう、なら後はそこを整備して確保すればいいってことか」
「そう、その内に島に自生している南国原産のフルーツとかも、ここで出来ればいいよね」
「フルーツか、ワシはあまり好かんのじゃが」
「フルールを絞って果汁をお酒に入れると美味しいよね」
「まあ、そうじゃな。アンジェも好きじゃし。頑張ってみるか」
「ふむ」
「ガンツさんは、どう思う?」
「どう思う……か。うん、面白いな」
「面白い? ガンツさん、正気ですか?」
「なんじゃ、ジョシュアは反対か?」
「反対に決まっているじゃないですか! なんで、組合にケンカを売るような真似をするんですか?」
俺の提案に賛成したガンツさんをジョシュアさんが、なにがなんでも反対だと叫ぶ。
「ジョシュアよ、組合に従うというのなら、これから作る魔道具についても、なんの組合が反対してくるか分からんぞ。それにも反対することなく従順に従うというのか?」
「え? なんで、そんな話になるんですか?」
「あのな、一つ事例を作ってしまうと、後に続くことにも『前例』として影響するんじゃ。じゃから、一つの組合には従って、もう一方の組合に従わないというのは難しくなるんじゃよ。じゃからというて、全部の組合に反対するとかケンカを売るつもりでもない。そうじゃな、ケイン」
「うん。そこはね、柔軟に対応していければと思っているよ。だから、製紙組合も文句を言ってくるなら対応するけど、俺達が作る紙を受け入れてくれるなら、こちらからは、なにも言うことはないよ」
「そんな適当な……」
「適当のなにが悪い?」
「ガンツさん。なにが悪いって……なんででしょうね?」
「なんじゃ、ジョシュアは分からないのか?」
「すみません。俺もなにが悪いのかハッキリと言えません」
「それは俺も同じだよ。だって、自分が欲しい物を作って、同じように欲しいと思う人に売る。でも、都合が悪い人がなにを言ってくるのか想像がつかないから、適当に対応するしかないかなと思ってる。まあ、大体言ってくることの予想はつくよね」
「ほう、ケインは大体の予想はついているんじゃな。話してみろ」
「うん。あのね、まずは製法についての尋問でしょ」
「まあ、それはそうじゃな。で、他は?」
「他か……他は大量購入してからの転売に実際の小売に対する嫌がらせかな」
「まあ、そこは考えられるか」
「製法については、落ち着いたら工場見学ツアーを組む予定だから、別に問題はないんだけどね」
「ちょっと、待って!」
「なに? ジョシュアさん」
「君は製紙工場を見学させるって言ったの?」
「うん、そうだよ」
「なんで?」
「なんで? 知って欲しいから?」
「いやいや、そこは重大な秘密でしょ?」
「そう? ガンツさん、俺達が作ったのって見たからって真似できると思う?」
「無理じゃな」
「だよね~」
「いやいや、でも見る人が見れば分かるもんじゃないのか?」
「だって、ガンツさん」
「はぁ、ジョシュアよ。お前もケインの作る魔道具は見たじゃろ?」
「それは……はい、色々見ました」
「で、どれか一つでも理解するなり、真似るなり出来た物はあるか?」
「いえ、それは……ありません」
「な、ワシでも魔法陣を刻むところは何度となく見てはいるが、それを間近で見ていてもケインの作る魔道具を作ることは、まだ出来ん。そりゃ、魔法陣以外の部分についてはワシでも出来るがな。ケインの作る魔道具は、ケインが刻む魔法陣があってこその物なんじゃよ。どうじゃ、ワシの言ってることが分かるか?」
「はい、なんとなくですが」
「なんとなくか……まあ、ええ。今はそれでええ。じゃから、他の誰かがケインの作る魔道具を見ても、そっくりそのまんまには作れんじゃろ。だから、ケインは見たい者には見せてやろうとしてるんじゃろ。なあ、ケインよ」
「ガンツさん、惜しい!」
「ワシ、結構頑張って考えて喋ったぞ。それでも惜しいのか?」
「まあ、ガンツさんの言うことも正しいのは正しいんだけど、俺が見せたい理由は楽しいからなんだ」
「「楽しい?」」
「そう、原材料から製品が出来るまでの工程は見ているだけでも楽しいんだ。ほら、ガンツさんもスラレールを見ていて楽しかったでしょ? 雰囲気的にはあれに似たような感じかな」
「ああ、アレか。アレなら、ケインの言っていることも分からんでもない」
「ちょ、ちょっと二人とも。俺に分からない話をしないで下さいよ。なんですか、そのスラレールってのは?」
「まあ、それについては、また後じゃ。ほれ、お前も急がんと教習が始まるぞ」
「あ、本当だ。もう、絶対ですよ! 次には、そのスラレールのことを教えてもらいますからね!」
ジョシュアさんが慌てて部屋を出て行くのを見送る。
「ケイン、さっきは組合の妨害の話を詳しくはしなかったが、ないものと思うとるのか?」
「まあ、妨害はあるよね。でもさ、ある程度の妨害なら簡単に弾き返せるでしょ? それに製品の運搬を妨害するとかも考えられるけどさ、ここから出荷する物は軽トラか転送ゲートが主体だから、誰も邪魔なんか出来ないよね。それにもし、なにか仕掛けて来たら思いっきり例の物を送りつけるだけだしね。だから、直接的な妨害に対しては心配してないかな」
「まあ、そうじゃな。お前が付与した物にはおっかない物が憑いてくるからな。でだ、製紙関連はいいが、塩に砂糖に胡椒じゃろ。まあ、塩は目の前にあるからいいとして、砂糖と胡椒じゃな。見当はつけているのか?」
「うん、砂糖については確認しに行かないとダメなんだけど、多分大丈夫だよ。でね、胡椒も多分、近くにあると思うんだ」
「ほう? もう場所の見当も付けていたか」
「うん、これはガンツさんのお手柄なんだけどね」
「ワシが? そんな覚えはないが……う~ん、やっぱり思い出せん」
ガンツさんにそういうと、しばらく考え込んでいたが、降参のようだ。
「思い出せない? ほら、前に無人島を見つけたでしょ」
「ああ、あったな。で、それが?」
「もう、ヒントどころか、ほぼ答えを言ったのに」
「答え? まさか、あの無人島に自生していたのか?」
「ピンポ~ン! その通り! まあ、詳しくは調べないといけないんだけどね。それっぽいのが生えているなとは、思っていたんだ」
「ほう、なら後はそこを整備して確保すればいいってことか」
「そう、その内に島に自生している南国原産のフルーツとかも、ここで出来ればいいよね」
「フルーツか、ワシはあまり好かんのじゃが」
「フルールを絞って果汁をお酒に入れると美味しいよね」
「まあ、そうじゃな。アンジェも好きじゃし。頑張ってみるか」
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※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。