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連載
◆沈めました
「ほれ、完成したんだから、さっさと浮かべてくれ」
「分かったよ」
本来なら、海まで引いたレールの上に台ごと載せて、そのまま海面まで進めて浮かすんだけど、急ぎ過ぎたガンツさんが造船所の隅っこで造り始めたものだから、そのレールは使えない。だから、俺がインベントリに収納してから海まで運ぶことになった。
なんか最近、ガンツさんの俺に対する扱いって雑になってないか?
まあ、いいかと海中遊覧船をインベントリに収納してから、岸壁に近付くと海中遊覧船をインベントリから直接海面に放り出す。
それほど高くない位置から海面に出したんだけど、『バッシャ~ン』と水柱が上がり海中遊覧船がぷかぷかと浮いている。
「ちと、遠いぞ。あそこじゃ乗ることが出来ん。なんとかしろ」
「もう、分かったよ」
ガンツさんがぶつくさ言うから、転移ゲートを海中遊覧船の操舵室へと繋ぐと、ガンツさんは躊躇することなく、その穴へと飛び込む。
そして、エリックさんとマーティンさんがその様子を不思議そうに見ていたので、「興味ありますか?」と聞くとブンブンと首を縦に振るので、「どうぞ」と勧めて転移ゲートを潜ってもらう。
「ほら、マサオも行くよ」
『おう!』
マサオと一緒に転移ゲートを潜り、操舵室へと無事に出たことを確認してから、転移ゲートを閉じる。
「狭い! 何も皆がここにいる必要はないだろ。ほら、ケイン。客室に案内してやれ」
「うん。マーティンさん、エリックさん。こっちに来て」
二人を客室に誘導している間にガンツさんが海中遊覧船の出港準備を始める。
「ここはよし! あれもよし! そして、あれもこれもよし! ケイン、出すぞ。ポイントはどの辺がお勧めなんだ?」
「あ、ちょっと待って」
前にクレイグさんからもらった魚の分布図を元にガンツさんにポイントを教えると、「分かった。だいたい、あの辺りだな」と言い海中遊覧船を走らせる。
「これが船か。乗るのは初めてだが、揺れが凄いな」
「そうだな。ちょっと、俺は苦手かも……うぷっ……」
「マーティンさん! 遠く! 遠くを見て! ほら、あっちの王都の方とか」
ポイントまで数分は掛かるから、マーティンさんが撒き餌をしないように注意しながら、海中遊覧船に不具合がないかを確認する。
「ガンツさん、フェリーと違ってこの船は小さいからスピードを出して揺らさないように注意してね。そうじゃないと、悲惨なことになるからね」
「悲惨?」
ガンツさんが俺が言った言葉に何かを感じたのか、操舵室から客室を振り返ると、青い顔のマーティンさんに気付き心なしかスロットルを緩める。
「そういうのは早めに言ってくれ」
「言う暇すらなく出されたんですけど?」
「ぐっ……だが、そうなると他の客でもこうなる場合があるということか」
「多分、あるだろうね。ここまで揺れる乗り物は馬車以外にはないでしょ。乗船前に確認しないとダメだね」
「そうだな。そのことは営業する前にちゃん客に告知するように伝えておこう」
ガンツさんもマーティンさんを気遣ってなるべく揺らさないように注意しながらなんとか目的のポイントに着いた。
「ケイン、この辺りだろ?」
「うん、大体そうだね」
「なら、客室を沈めるぞ」
「「沈める?」」
「あ~もう、ガンツさん。言い方!」
「お、そうだな。今から海中の様子が分かる様に客室をゆっくりと下げていくからな。手を挟まないように注意だ」
「ケインよ、今から何が始まるんだ?」
「そうだぞ。さっき沈めるって言ってたけど嘘だよな?」
やっぱりガンツさんの説明だけじゃ足りないかなと思い、マーティンさん達に説明していると客室全体がゆっくりと下に移動する。
「お、おい動いているぞ」
「落ち着いて下さい。ガンツさんも言っていたでしょ。今はゆっくりと船底に移動しているところですから」
「「船底?」」
「ええ、船底ですよ。ほら、こんな風に見られるようにですね」
ゆっくりと下がり続け、船底に設けたスライム樹脂の窓が見えてきて、その向こう側には海中を悠々と泳ぐ小魚の群れが見える。
「「ん?」」
海中に沈む恐怖感よりも海の中が見られることに好奇心が勝ったのか、そのまま窓に近付こうとするのを慌てて止める。
「まだ、動いている途中だから、窓には近付かないで!」
「「スマン……」」
いいおじさんが俺みたいな子供に注意されシュンとなる。
やがて、船底まで移動したのか動きが止まると操舵室のガンツさんから「もういいぞ」と声が掛かったので、二人に「大丈夫ですよ」と告げると、二人が窓にへばりつくようにして海中の様子を見ている。
そこへガンツさんが操舵室から出て来て、様子を確認しに来る。
「うん、成功みたいだな」
「だよね。おじさんでもここまで興味を持ってくれるのなら、商売としては成功が期待できるね」
「まあ、そうだな。ただ、問題がないわけじゃない」
「うん。動かせる人がいないよね」
「そういう訳だ。こればっかりはどうしようもないな」
「だね」
船底の窓に顔を押し付けるようにしてへばりついて見ている二人のおじさんから商売としての海中遊覧船に希望を見出せたが操船出来る人がいないことを改めて実感させられた。
「分かったよ」
本来なら、海まで引いたレールの上に台ごと載せて、そのまま海面まで進めて浮かすんだけど、急ぎ過ぎたガンツさんが造船所の隅っこで造り始めたものだから、そのレールは使えない。だから、俺がインベントリに収納してから海まで運ぶことになった。
なんか最近、ガンツさんの俺に対する扱いって雑になってないか?
まあ、いいかと海中遊覧船をインベントリに収納してから、岸壁に近付くと海中遊覧船をインベントリから直接海面に放り出す。
それほど高くない位置から海面に出したんだけど、『バッシャ~ン』と水柱が上がり海中遊覧船がぷかぷかと浮いている。
「ちと、遠いぞ。あそこじゃ乗ることが出来ん。なんとかしろ」
「もう、分かったよ」
ガンツさんがぶつくさ言うから、転移ゲートを海中遊覧船の操舵室へと繋ぐと、ガンツさんは躊躇することなく、その穴へと飛び込む。
そして、エリックさんとマーティンさんがその様子を不思議そうに見ていたので、「興味ありますか?」と聞くとブンブンと首を縦に振るので、「どうぞ」と勧めて転移ゲートを潜ってもらう。
「ほら、マサオも行くよ」
『おう!』
マサオと一緒に転移ゲートを潜り、操舵室へと無事に出たことを確認してから、転移ゲートを閉じる。
「狭い! 何も皆がここにいる必要はないだろ。ほら、ケイン。客室に案内してやれ」
「うん。マーティンさん、エリックさん。こっちに来て」
二人を客室に誘導している間にガンツさんが海中遊覧船の出港準備を始める。
「ここはよし! あれもよし! そして、あれもこれもよし! ケイン、出すぞ。ポイントはどの辺がお勧めなんだ?」
「あ、ちょっと待って」
前にクレイグさんからもらった魚の分布図を元にガンツさんにポイントを教えると、「分かった。だいたい、あの辺りだな」と言い海中遊覧船を走らせる。
「これが船か。乗るのは初めてだが、揺れが凄いな」
「そうだな。ちょっと、俺は苦手かも……うぷっ……」
「マーティンさん! 遠く! 遠くを見て! ほら、あっちの王都の方とか」
ポイントまで数分は掛かるから、マーティンさんが撒き餌をしないように注意しながら、海中遊覧船に不具合がないかを確認する。
「ガンツさん、フェリーと違ってこの船は小さいからスピードを出して揺らさないように注意してね。そうじゃないと、悲惨なことになるからね」
「悲惨?」
ガンツさんが俺が言った言葉に何かを感じたのか、操舵室から客室を振り返ると、青い顔のマーティンさんに気付き心なしかスロットルを緩める。
「そういうのは早めに言ってくれ」
「言う暇すらなく出されたんですけど?」
「ぐっ……だが、そうなると他の客でもこうなる場合があるということか」
「多分、あるだろうね。ここまで揺れる乗り物は馬車以外にはないでしょ。乗船前に確認しないとダメだね」
「そうだな。そのことは営業する前にちゃん客に告知するように伝えておこう」
ガンツさんもマーティンさんを気遣ってなるべく揺らさないように注意しながらなんとか目的のポイントに着いた。
「ケイン、この辺りだろ?」
「うん、大体そうだね」
「なら、客室を沈めるぞ」
「「沈める?」」
「あ~もう、ガンツさん。言い方!」
「お、そうだな。今から海中の様子が分かる様に客室をゆっくりと下げていくからな。手を挟まないように注意だ」
「ケインよ、今から何が始まるんだ?」
「そうだぞ。さっき沈めるって言ってたけど嘘だよな?」
やっぱりガンツさんの説明だけじゃ足りないかなと思い、マーティンさん達に説明していると客室全体がゆっくりと下に移動する。
「お、おい動いているぞ」
「落ち着いて下さい。ガンツさんも言っていたでしょ。今はゆっくりと船底に移動しているところですから」
「「船底?」」
「ええ、船底ですよ。ほら、こんな風に見られるようにですね」
ゆっくりと下がり続け、船底に設けたスライム樹脂の窓が見えてきて、その向こう側には海中を悠々と泳ぐ小魚の群れが見える。
「「ん?」」
海中に沈む恐怖感よりも海の中が見られることに好奇心が勝ったのか、そのまま窓に近付こうとするのを慌てて止める。
「まだ、動いている途中だから、窓には近付かないで!」
「「スマン……」」
いいおじさんが俺みたいな子供に注意されシュンとなる。
やがて、船底まで移動したのか動きが止まると操舵室のガンツさんから「もういいぞ」と声が掛かったので、二人に「大丈夫ですよ」と告げると、二人が窓にへばりつくようにして海中の様子を見ている。
そこへガンツさんが操舵室から出て来て、様子を確認しに来る。
「うん、成功みたいだな」
「だよね。おじさんでもここまで興味を持ってくれるのなら、商売としては成功が期待できるね」
「まあ、そうだな。ただ、問題がないわけじゃない」
「うん。動かせる人がいないよね」
「そういう訳だ。こればっかりはどうしようもないな」
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