復讐なんて意味がない? そんなのやってみないと分からないよね

ももがぶ

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第1章 始まり

第20話 魔法、マジ最高!

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「ふぅ~サッパリしたでござる」
「うむ、ヒドい目にあったでござるが、スッキリしたでござるな」
「我輩は忘れないでござるよ。あの感触が夢に出て来そうで……」

 オタクグループが一ヶ月分の垢を落とし着ていた衣服も洗いサッパリとしているが、森だけは憔悴しきった顔をしている。

「森氏よ。野良犬に手を噛まれたと思って早く忘れるでござるよ」
「そうでござる。中にはモフッ娘もいたに違いないでござるよ」
「……オスの匂いしかしなかったでござる」
「そ、それは気のせいでは……」
「そ、そうでござるよ! 森氏の気のせいではでござるよ」
「いや、それはないでござるよ……あの荒い鼻息しか聞こえない獣臭の中で柔らかいモノに触れることなく、やたらとゴツゴツしたモノに囲まれたあの独特の雰囲気を悪い夢だと……気のせいだと……忘れることなど出来そうにないでござる!」
「森氏……」
「じゃあ、モフッ娘は諦めるのでござるか?」
「それとこれは別でござる」
「「え?」」
「それにそもそも我輩はチッパイのじゃロリ婆が希望であり、モフッ娘はおまけでござるからして」
「「なるほど」」

 小田は憔悴している森にさっきの出来事は悪い夢だと思って早く忘れた方がいいと助言するが森はガクブルしながら「簡単に忘れることなど出来ない」と叫ぶ。

 そんな森に山本がモフモフした娘は諦めるのかと問えば「それは別腹」と返され得心する。

「森氏の心の傷は簡単に癒えそうにないでござるが、我々の人と接するという目的は果たされたでござる。山本氏よ、街道をどちらへ向かえばよいか指示をお願いするでござる」
「うむ、任されたでござる」

 と、ここまでの経緯を小田から聞いた優太だったが「それで、こうなった理由は結局なんなの」と問えば、瞬間に少しえた臭いが優太の鼻を突き急いで手で覆うが、抑えきれず堪らず自分の周囲に障壁を張りオタクグループから隔離した状態にすれば優太が小田に尋ねる。

『ねえ、もしかしてだけど……』
「臭うでござるか?」
「そう言えば川を出てから……」
「うむ、街までの二週間ほどでござるな」
『間違いなくそれだね』
「「「あ!」」」
『じゃあ、僕が助けるまでもなさそうだね。取り敢えずは無事なことが確認出来てよかったよ。じゃ「待つでござる!」あ……え?』

 優太はオタクグループが囲まれている理由が分かり何かあれば自分が守ろうと身構えていたのがバカらしくなり、さっさとこの場からいなくなろうとしたところで小田から待ったが掛かる。

『いや、別に危険はないんでしょ?』
「「「あるのでござる!」」」
『え? まさか、それって……』
「我らの貞操でござる」
『ん? でも、ハーレム目的ならウェルカムなんじゃないの』
「我らは腐っていないのでござる!」
「そうでござるよ」
「後ろの純潔は死ぬまで守るのでござる!」
『あぁ~』

 引き留める小田に危険はないんじゃと言えば、山本は首をフルフルと激しく横に振り自分達の後が貞操の危機だと訴える。

 だが、オタクグループも異世界ハーレムを夢見ていたのかと問えば、自分達は腐っていないと言い出したのを聞いて優太も納得する。

『でも、そう言われても僕に何をして欲しいの?』
「そこなんでござる」
「何かいい方法を考えて欲しいのでござる」
「このままでは……チェリーのまま純潔が奪われるのでござる!」
「「「福島氏!」」」
『え~』

 オタクグループは純潔を守りきるために優太に知惠を出せと迫ってくるが、優太もどうしたものかと首を捻るが「あ!」と閃く。

「福島氏?」
『そうだよ。悩むことなかったんだよ『クリーン』『クリーン』『クリーン』『クリーン』『クリーン』『クリーン』『クリーン』『クリーン』『クリーン』『クリーン』『クリーン』……』
「福島氏?」
「少しやり過ぎだと思うのでござるが……」
「おぉ! 離れていくでござる!」

 オタクグループが囲われているのは臭いなのだから、その元を断てばいいとばかりに優太はしつこいくらいに『クリーン』を連発し山本からはやり過ぎだと思われてしまうが、それなりに効果はあったらしく一人、二人と囲っていた獣人達の輪が綻び初めれば、やがて誰もいなくなる。

『これに懲りたら、毎日は無理でもせめて三日に一回くらいは身体を拭こうよ』
「うむ、かたじけないでござる」
「助かったでござるよ」
「しかし、福島氏はどうして我輩達の場所が分かったのでござるか?」
『あ……』

 オタクグループは自由になったことで優太にお礼を言うが森は優太が自分達の前にいることを疑問に思い確認する。

『ここじゃあれだから……』と優太が言えば、オタクグループも察し「場所を移動するでござる」と宿を確保し優太を迎え入れる。

「ここなら、安心でござるよ」
「うん、ありがとう」
「「「おぉ!」」」

 部屋に迎え入れられた優太がオタクグループの前に姿を見せれば、感嘆の声を上げる。

「これぞ魔法でござるな」
「うむ、初めて見たのでござる」
「我輩達には無理なのでござるか」
「そんなことはないと思うよ」
「「「おぉ!」」」

 姿を見せた優太に対しオタクグループが「これぞ魔法」と喜ぶが、自分達には無理なんだろうかと優太に尋ね、そんなことはないんじゃないかなと優太は首を振る。

「僕もまだよく分からないけど、こっちの人達と同じ様に魔法を習得することが出来るハズだから頑張って!」
「「「承知した!」」」

 優太の言葉に自分達も魔法を使えると希望を持った三人が喜んだところで、森がそもそもの質問を思い出し「それで福島氏はどうやって分かったのでござるか」と聞いて来た。

「先ず最初に謝っておくけど、本当にごめんなさい」
「福島氏? 我々は怒ってもないし、ましてや恨むこともないと言ったでござる」
「そうでござる」
「うむ。それに我輩達も変わったでござろう?」
「うん、そうだね。最初、見た時に分からなかったよ」
「「「ふふふ……」」」

 優太はやっぱりちゃんと謝っておくべきだと思い、最初に謝罪の言葉を口にするが、オタクグループは転移門の前で話した時と変わりなく優太に対し思うところはないと言う。

「それでね、小田君達の場所がどうして分かったのかを説明するとね……見てもらった方が早いね」
「「「おぉ!」」」

 優太は世界地図ワールドマップをオタクグループにも見える様にテーブルの上に表示させると、光点の意味とジョーや坂井誠に片桐の場所も併せて説明し、なぜ優太がこんなマネをしたのかも説明する。

「ふむ、なるほど。全ては坂井誠の野望を挫くためと」
「うん、簡単に言うとそういうことなんだ。だから、坂井誠が近付く前に僕が手助け出来ることをするのがせめてもの罪滅ぼしだと考えているんだ」
「分かったのでござる」
「ありがとう!」
「いや、お礼ならこちらから言いたいくらいなのでござるよ」
「でも「福島氏」……はい」
「そう何度も謝られても元には戻せないのでござる」
「……だから、僕にはこうして君達に謝ることしか出来ないから」
「福島氏、ならば我も何度も言わせてもらうでござる」
「へ?」
「謝罪など不要でござる!」
「拙者からも福島氏にお礼をしたいのでござるが、何がいいでござるか?」
「うむ、そうでござるな。福島氏が謝罪を止めないのであれば、その度に我輩達もお礼をしなければいけなくなるでござるよ」
「なんで?」
「ふふふ、それが我達の正直な気持ちでござるよ」
「うむ、福島氏が気にすることではないのでござる」
「我輩の為にもまだ見ぬ『のじゃロリ婆』に必ず会えると願って欲しいでござる」
「う、うん……それでいいなら」

 迷惑を掛けたと思っていたオタクグループに逆に感謝されてしまい戸惑う優太だったが、オタクグループに危険が迫った場合にはさっきみたいに必ず馳せ参じると約束し、その場から転移する優太を見てオタクグループは「魔法、マジ最高!」と叫ぶのだった。
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