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デザートコーナーには3種類のプリンが並んでいた。
カボチャプリン、とろりキャラメルプリン、焼きプリンを順次手に取り吟味する。

「……なあ、高校生。同じものを4個買うか。3種類買って翔を仲間はずれにするか、の二択じゃない?」

ひそひそと自然と小声になる。何処で父親が聴いているか分からない。
偶然、会社帰りに甘味を求めてコンビニに寄るかもしれない。可能性は0ではない。

「小学生、あとから知ったらパパ悲しむぞ」

「せっかくの記念日だしな。家族四人で同じプリンを食べて祝おう」

優翔は考えを改めて父親も仲間に入れる方向で話をすすめた。
問題はどのプリンを四個買うかだ。

「焼きプリンが食べたい」

本能のまま食べたいプリンを言う。

「よし、焼きプリンにしよう」

優翔に友達ができた記念日だ。お祝いする主役が食べたいプリンを買うのは当然な事である。
4個の焼きプリンを買った。

「お兄ちゃん、ありがとう」

「おめでとう、優翔」

会計を済ませた兄に弟はお礼をいう。
仲良く手を繋ぐと2人は帰宅した。紅葉のような小さかった手が手を繋ぐ度に大きくなっていく。不思議な気持ちになる。

「真生君にも焼きプリン今度、買ってやろう」

「バイト代なくなっちゃうよ」

「いいんだよ。またバイト頑張ればいいだけじゃん」

工藤と最初会ったとき、凄く楽しかったのを思い出して翔大は笑った。友達が出来ると毎日が楽しくなる。
そう思えば何時間でもバイトをして稼ぐことが苦労にはならない。
弟のお祝いプリンに稼いだお金を使うのが嬉しい。
翔大は優翔の頭を撫でて笑った。
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