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「……ただいま」
本当は見たいテレビ番組なんかなかった。遅い時間まで優翔の家に居座るのも申し訳ないし、迷惑になると思ったからだ。
本当は佐々木家のあたたかな空間にまだ溶け込んでいたかった。
寂しい、でも看護師の仕事を頑張っている母親に家に居てよなんて我儘なんか言えない。
両親が働いているから自分は不自由なく暮らせている。
父も母も自分の仕事に誇りをもっている。
2人の人生を子供だからって邪魔しちゃ駄目だ。
「……俺は父さんと母さんの半分こでひとつ」
暗い部屋の電気をつけて真央は誰もいないしん、と静まり返った空気を感じぽつりと呟いた。
コウノドリさんがどこからか赤ちゃんを子供が欲しいと願う夫婦のもとへと運ぶのなら、ふたりと生まれたところが違うし生まれた遠い故郷を懐かしく感じて、気持ちがすれ違うこともあるだろう。
でも、夫婦のいいところも悪いところも半分ずつもらってつくった子供ならふたりを理解できなくても、理解しても、認めたくなくても、ふたりがひとつになって生まれたものであることというのは違いない。
俺は父さんと母さん、ふたりの分身。応援しなきゃと、言い聞かせて寂しい気持ちを紛らわし冷蔵庫にあるラップがかかった皿を取り出した。
今日はハンバーグだった。
佐々木家もハンバーグだと思いながら食べる。
天使のような優翔が頭の中に現れた。今まで見た、誰よりも美しくて可愛い。天使であり、我儘で甘え上手な真っ白な猫のようでもある。
なんだか、心もからだも甘く痺れてムズムズとした。
花の蜜の甘さを含んだ春の風に包み込まれたような気持ちになった。
本当は見たいテレビ番組なんかなかった。遅い時間まで優翔の家に居座るのも申し訳ないし、迷惑になると思ったからだ。
本当は佐々木家のあたたかな空間にまだ溶け込んでいたかった。
寂しい、でも看護師の仕事を頑張っている母親に家に居てよなんて我儘なんか言えない。
両親が働いているから自分は不自由なく暮らせている。
父も母も自分の仕事に誇りをもっている。
2人の人生を子供だからって邪魔しちゃ駄目だ。
「……俺は父さんと母さんの半分こでひとつ」
暗い部屋の電気をつけて真央は誰もいないしん、と静まり返った空気を感じぽつりと呟いた。
コウノドリさんがどこからか赤ちゃんを子供が欲しいと願う夫婦のもとへと運ぶのなら、ふたりと生まれたところが違うし生まれた遠い故郷を懐かしく感じて、気持ちがすれ違うこともあるだろう。
でも、夫婦のいいところも悪いところも半分ずつもらってつくった子供ならふたりを理解できなくても、理解しても、認めたくなくても、ふたりがひとつになって生まれたものであることというのは違いない。
俺は父さんと母さん、ふたりの分身。応援しなきゃと、言い聞かせて寂しい気持ちを紛らわし冷蔵庫にあるラップがかかった皿を取り出した。
今日はハンバーグだった。
佐々木家もハンバーグだと思いながら食べる。
天使のような優翔が頭の中に現れた。今まで見た、誰よりも美しくて可愛い。天使であり、我儘で甘え上手な真っ白な猫のようでもある。
なんだか、心もからだも甘く痺れてムズムズとした。
花の蜜の甘さを含んだ春の風に包み込まれたような気持ちになった。
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