3人play。

遊虎りん

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29 ジュラン①

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***

「……ガキが慚さんを殺しやがった」

容易く男の首をはねると男達は呆然とした顔で口々に信じられない、と騒ぎ出す。
濃厚な血の臭いが充満する。
城の中に居ても王や次期王である俺は命を狙われることがある。護衛がいても、魔術を使われると城に侵入するのは不可能ではない。
王は自らの命を守れるよう、厳しい鍛練を積み重ねている。

己に刃を向けるもの、己の命を奪おうとするものに屈するのは何よりの裏切り。

剣から手に残る首を切った時の感触が気持ち悪い。

俺は眉をしかめた。首がなくなった男の腕におさまっていた誰か分からない顔が視界にうつると、身体が勝手に動き出す。

愛しい、という感情が雷のように流れる。これは俺のものではなくランジュものだ。

気を失っている人をしっかりと抱き締める。
瞬間的に移動する魔術を使ってその場から逃げた。

『あの長髪の男は厄介そうだし、後ろにもボスっぽい感じの奴が控えている。何も対策を考えずルイの住み処に戻るのは危険だ、僕はルイを連れて城に戻る』

ランジュの考えが伝わってくる。

分かった、城で待ってると思った瞬間俺は目を覚まし自分の薄暗い部屋の天井を見上げていた。

「ジュラン、とりあえずただいま」

「…お帰り」

姿を現したランジュと視線が合う。
その顔はいつものランジュと少し違う。何事にも興味を持たず流れに身を任せてきたランジュとは違って見えた。

ランジュはベットに大切そうに抱き上げあげていた人を下ろした。
苦しそうな寝顔でランジュの顔が歪むのを見て俺も胸が痛んだ。
他人の顔を見て心を動かすランジュを見ると焦る。
俺とは違う生き物になったみたいだ。

幼い頃の俺はランジュに依存していた。
俺を分かってくれるのは、ランジュがいればいい。あいつは俺だ。
俺以外、俺を分からない。
薄っぺらい顔で、次の王だという理由で俺に忠誠心を誓うやつらが信じられなかった。

「……ん、……」

女の色っぽい声が聞こえた。どきり、としてそちらに視線を向けるとランジュが胸に抱いていた奴をベットに寝かしていた。
寝ている奴の服を全て脱がしていた。まだ、花が咲くまえの蕾のような少女の白く華奢な肉体が目に前にあり俺は喉をならし唾をのみこんだ。
胸の膨らみは僅かな、平らと表現しても文句は言えない身体。
俺は豊満な胸の女が好きだ。ガキなんかに興味はない。胸がでかい雌穴が気に入っていた。
それなのに、俺の雄はずきりと甘く疼いた。

「…ルイ、僕がルイのからだを綺麗にしてあげるからね。下劣な狼におまたを舐められていたなんて、かわいそう……処女も僕が奪ってあげる」
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