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街が壊滅状態になってほにゃらら~、と騎士の朝礼で報告されご褒美に目がくらみ魔物討伐隊の参加すると名乗った。
その後ジュラン坊やのお守り……クソガキのぱしり、表向きは王子の警護という立派で重要な役目を命じられ私はすこぶる機嫌が良かった。
「……ユイの姐御勘弁してください!!」
サンドバック、いや、朝の訓練の相手をしていたミックが命乞いを始めた。熊のような大男で頼れる兄貴肌をしているらしいが、私の前では怯える狸のような顔をする。
「ああ、だいぶ気持ちが……身体が解れてきた。これで健やかに討伐の準備に取り掛かれる。ありがとう、ミック」
「…っす」
偶然私の前を通りかかったのが運のつき。八つ当りをして申し訳ない。と、心の中でテヘペロと謝りながら握手を求めるとミックは力なく手を握り返した。それは天に召される直前の老人のような力のなさだ。
討伐の準備といっても、魔物と戦いに行くだけのこと。装備をいつもより厳重にして携帯食料を3日分確保しておけばいいだろう。余計な心配をしてあれやらこれやら持っていくのは私にとっては無駄なこと。ピクニックではあるまいし。
私は準備を整えて討伐隊の集合場所へと向かった。
重々しい雰囲気で緊張感がある。身が引き締まる思いだが、それを一瞬でぶっ飛ばす人物が来た。
ジュランとランジュだ。
軽い談笑をして和やかな雰囲気を出している。装備も軽装でちょっとそこまでピクニック、という感じのノリだ。
「……おい、お前ら、何か勘違いしてないか?魔物を討伐しに行くんだ。遊びに行くんじゃないぞ。そのヘラヘラした面を小さくたたんでしまえ」
「勘違いなんかしていないよ。でも、遊びに行く感じなのは当たり。ユイと魔物討伐デートできるなんて嬉しいよ」
ランジュは笑顔でふざけたことを言った。ヘラヘラした面をしまうどころかポケットからはみ出ている。
「俺が直々に魔物討伐へ赴くんだ。一瞬で終わらせて、近場にある秘湯でユイに戦闘で疲れた身体を労ってもらう」
ジュランは魔物討伐デートの後のちょっと休憩しよう、からのエッチ計画をするっと口から出した。
このふざけたクソガキを討伐したい。
押さえろ、怒っても無駄だ。疲れるだけだ。体力と気力を温存しろ。
震える拳を握り締めて私は白馬に股がった。騎士の移動手段は馬だ。愛馬のルークは凛々しい顔立ちをしている。目は優しいがどの馬よりも俊敏で体力がある私の相棒である。
王子様が乗った馬車の前を走る。
天気がよく、何処までも青空が広がっている。風が心地いい。この先には魔物討伐隊の到着を心待にしている人々がいる。
私は身と心を緊張感を持たせた。
街が壊滅状態になってほにゃらら~、と騎士の朝礼で報告されご褒美に目がくらみ魔物討伐隊の参加すると名乗った。
その後ジュラン坊やのお守り……クソガキのぱしり、表向きは王子の警護という立派で重要な役目を命じられ私はすこぶる機嫌が良かった。
「……ユイの姐御勘弁してください!!」
サンドバック、いや、朝の訓練の相手をしていたミックが命乞いを始めた。熊のような大男で頼れる兄貴肌をしているらしいが、私の前では怯える狸のような顔をする。
「ああ、だいぶ気持ちが……身体が解れてきた。これで健やかに討伐の準備に取り掛かれる。ありがとう、ミック」
「…っす」
偶然私の前を通りかかったのが運のつき。八つ当りをして申し訳ない。と、心の中でテヘペロと謝りながら握手を求めるとミックは力なく手を握り返した。それは天に召される直前の老人のような力のなさだ。
討伐の準備といっても、魔物と戦いに行くだけのこと。装備をいつもより厳重にして携帯食料を3日分確保しておけばいいだろう。余計な心配をしてあれやらこれやら持っていくのは私にとっては無駄なこと。ピクニックではあるまいし。
私は準備を整えて討伐隊の集合場所へと向かった。
重々しい雰囲気で緊張感がある。身が引き締まる思いだが、それを一瞬でぶっ飛ばす人物が来た。
ジュランとランジュだ。
軽い談笑をして和やかな雰囲気を出している。装備も軽装でちょっとそこまでピクニック、という感じのノリだ。
「……おい、お前ら、何か勘違いしてないか?魔物を討伐しに行くんだ。遊びに行くんじゃないぞ。そのヘラヘラした面を小さくたたんでしまえ」
「勘違いなんかしていないよ。でも、遊びに行く感じなのは当たり。ユイと魔物討伐デートできるなんて嬉しいよ」
ランジュは笑顔でふざけたことを言った。ヘラヘラした面をしまうどころかポケットからはみ出ている。
「俺が直々に魔物討伐へ赴くんだ。一瞬で終わらせて、近場にある秘湯でユイに戦闘で疲れた身体を労ってもらう」
ジュランは魔物討伐デートの後のちょっと休憩しよう、からのエッチ計画をするっと口から出した。
このふざけたクソガキを討伐したい。
押さえろ、怒っても無駄だ。疲れるだけだ。体力と気力を温存しろ。
震える拳を握り締めて私は白馬に股がった。騎士の移動手段は馬だ。愛馬のルークは凛々しい顔立ちをしている。目は優しいがどの馬よりも俊敏で体力がある私の相棒である。
王子様が乗った馬車の前を走る。
天気がよく、何処までも青空が広がっている。風が心地いい。この先には魔物討伐隊の到着を心待にしている人々がいる。
私は身と心を緊張感を持たせた。
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