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第22話 ソータの支援魔法
しおりを挟む「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」
これ以上ゆっくりしていると、オリバたちに差をつけられてしまうかもしれない。
そう思って、俺たちはオリバたちの後を追うことにした。
「……それにしても、凄いぞ。この体の軽さは」
少し早足気味に歩いていると、サラさんはその場でぴょんぴょんと跳ねて体の調子を確認していた。
その軽やかな体の動きを前に、俺は声を漏らして驚いていた。
「軽く跳んでように見えるのに、凄い跳躍力ですね」
「いや、いつもはこんなに体が軽くはないんだ。これって、筋力増強の枠に収まらないんじゃないか?」
「そんなにですか?」
攻撃魔法の威力が普通よりも強いことは試して分かっていたが、支援魔法についてはいつもと変わらないので、古代魔法だと言われても実感がなかった。
それでも、初めて俺の支援魔法をかけられたサラさんにこんな驚く反応をされれば、俺の魔法が普通とは違うものだということが分かってくる。
「でも、なんで魔物と遭遇する前から援魔法をかけたんだい?」
サラさんが不思議そうに首を傾げていた。
そうだった、普通は支援魔法ってかけっぱなしにしなんだっけ?
俺がそんなことを考えていると、ケルがちょこちょこっとサラさんの近くまで歩いていき、小さく胸を張る。
「ソータの支援魔法は一度かけると、常時発動したままになる。だから、魔物と遭遇する前からかけても問題はないのだ」
「常時発動⁉」
サラさんは目を見開いて、勢いよく俺をバッと見たまま固まってしまった。
常時発動の支援魔法って、そんなに凄いものなのだろうか?
オリバたちには基本的な弱い支援魔法なんだから、ずっとかけてるくらいで調子に乗るなって言われていた。
だから、そんなに驚かれると新鮮な気持ちになる。
「せっかくなら、支援魔法がかかった状態で試し斬りでもしたいものだな」
「あっ、それなら、ここから少し行った所に魔物たちが数体……あれ?」
ちょうど『魔力探知』に反応があったのだが、どうもその様子がおかしい。
どういうことだ?
俺が少し黙って考え込んでいると、ケルが前足を俺の脚に掛けた。
「ソータ、どうしたのだ?」
「いや、この先にはオリバたちがいるはずなのに、魔物たちの数が減るのがかなり遅いんだ。どういうことだろう?」
ここはC級ダンジョン。
S級パーティであるオリバたちが苦戦する魔物たちなんているはずがないのに、『魔力探知』に引っかかった魔物たちが中々倒されない。
もしかして、オリバたちが苦戦しているのか? いや、そんなはずは……。
「ほぅ、それは気になるな。ぜひ行ってみようじゃないか」
ケルは尻尾を振りながらそう言うと、軽やかな足取りでオリバたちのいる方に小走りで向かっていった。
一体、何が起きてるんだ?
俺は疑問を抱きながら、前を歩くケルの後を追うように走り出した。
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