上 下
23 / 88

第23 苦戦するオリバたち

しおりを挟む

 一方オリバたちのパーティ。

 ソータたちよりも先にダンジョンの奥に進んだオリバたちは、ダンジョン内の魔物に苦戦を強いられていた。

 襲ってきた魔物はゴブリンやハイウルフ、そしてゴブリンより一回り大きなハイゴブリンだった。

 いつもなら簡単に倒せる魔物たち。それだというのに、いつまで経っても魔物の数が減らない。

そんな現状を前に、オリバは苛立ちを隠せないでいた。

「リリス! 早く魔法を打てよ!!」

「そう言うなら、魔物の動きを止めなさいよ! あんた前衛でしょ!」

 オリバが魔物たちを食い止めながらリリスに命令をするが、リリスはオリバとロードが抑えきれなかった魔物の処理に追われており、大きな魔法を打つための魔力を溜められずにいた。

「オリバ、こいつら妙に強くないか⁉ 一撃が重い気がするぞ!」

「クソッ! 何がC級ダンジョンだ! 冒険者ギルドの連中、適当なこと言いやがって!」

 オリバは焦るロードの様子を横目に見ながら、目の間にいる魔物を怒りに任せて斬りつける。

しかし、オリバの刃は途中で止まって、魔物の肉に食い込んでしまった。

「クソったれが!!」

オリバは刃が途中で止まったことに苛立ちながら、刃を引き抜くために魔物を雑に蹴り倒す。

「はー、はー……おい、ナナ! おまえ支援魔法も使えただろ! 俺たちにかけろ!」

 いつになく戦闘で疲れを感じたオリバは、息を切らしながらナナにそう叫んだ。

 しかし、ナナは魔物から逃げるようにしながら、キッと強くオリバはを睨む。

「と、とっくに使ってますよ!」

「はぁ? これで使ってるだと?」

 オリバはいつもよりも体が重いのに、支援魔法が使われているという現状が理解できずにいた。

 それもそのはず。

 ナナが使っているのは現代魔法の支援魔法。ソータが使う古代魔法の支援魔法に慣れてしまった体は、ナナの支援魔法では満足できなくなっていた。

 体が重くなくなって調子が悪いのではなく、軽くなくなっただけなのだが、誰もその事実にも気づけていなかった。

「オリバ! 魔物たちが強すぎる! ここは、一旦退いて――」

 ロードが大声でオリバに呼びかけたとき、オリバたちの間をかいくぐるようにして三つの影が現れた。

「『一の型、白蓮』」

「『火球』!」

 急にオリバたちの前に現れた影たちは、目にもとまらぬ速さで魔物たちを斬りつけたり、炎の玉を自在に操ったりして魔物たちを軽くあしらった。

オリバの前にいる魔物たちを倒してから、突然現れた三人組はオリバたちの方を振り返る。

「……は?」

 そこにいたのは、他でもない余裕の表情をしているソータたちだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

眼の前で婚約者が浮気をしております!【完結】

恋愛 / 完結 24h.ポイント:369pt お気に入り:121

攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

BL / 完結 24h.ポイント:298pt お気に入り:2,645

ショートショート 恋重ね

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:235pt お気に入り:1

余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:45,660pt お気に入り:29,991

ブラックボックス 〜禁じられし暗黒の一角〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:242pt お気に入り:5

不憫な侯爵令嬢は、王子様に溺愛される。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:596pt お気に入り:1,720

悪女と言ったのは貴方です

恋愛 / 完結 24h.ポイント:319pt お気に入り:1,192

稲森兄弟のおひるねのじかん

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:5

冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:986pt お気に入り:8,901

処理中です...