23 / 63
三、当日×材料
三、当日×材料④
しおりを挟む
*
それから数日が立ち、クリスマスまでもう指で数えたらすぐになった。
引っ越し準備は、業者をいれてついでに彼に荷解きもして、新居に移って数日はばたばたした。
それと結婚報告と年賀状が同時になり、仕事が多忙な彼のため、全て私が引き受けることになった。
クリスマスは絶対に家にいるとは言ったけれど、最近全く顔を合わせていない。
「しまった!」
気づいて起き上がったときには、すでに同じベットで眠っている彼のスペースは冷たくなっている。
慌てて下に降りると、ラップを巻いたご飯のおかずと、電子レンジにはお味噌汁。ほかほかのご飯も炊飯器の中にある。
「……喬一さん」
あの人、いつ寝ていつ起きてるの?ってぐらい多忙。
学会前だからと、論文を作ってそのままソファで眠ってしまうって言うズボラさが少し可愛いなって思っていたけど、違う。
ズボラじゃなくて、忙しすぎて寝てる暇がないから、あんな睡眠のとり方をしているんだ。
外科医は手術が多い分、患者さんやご家族の説明はもちろん、書類も多いし学会とか学業的な仕事も多い。
そんな多忙な中、私のご飯なんて作らなくていい。もっと寝てほしい。
一緒のベットに寝たい。
温めてご飯を食べる。彼が用意してくれた食事は、並べただけでも美しい。
「……美味しい」
鰆の西京焼きのおいしさにほろりと涙が出そう。
髪もボサボサ、ノーメイク、パジャマ姿。
そんなだらしない姿で、朝から美味しいご飯を食べると、嬉しいけど申し訳なくて複雑な気持ちだ。
明日は土曜だし、今日こそは私が寝ないでずっと起きて彼を待っていよう。
お皿を洗いにキッチンへ向かうと、お弁当まで用意されていて、もう申し訳なさ過ぎて消えてしまいそうになった。
*
「あんたの弁当、めっちゃ美味しそうね」
お昼にランチに誘われ、断ると食堂へ誘導されてしまった。
小春は、肉食系女子の言葉ぴったりなカツ丼。
私は彼が作ってくれたロコモコ丼だ。玉子だって半熟で、丸い保温タイプのお弁当箱だからまだ温かくご飯も柔らかい。
これは、彼が作ったとは言わないでほしいと言われている。
男が料理云々に前に、女性に料理ができる男だと思われるのが過去の経験上どうしても嫌らしい。
で、彼は職場でお嫁さんから作ってもらったと、堂々とお弁当を広げることができると嬉しそうだった。
それって、どうなんだろう。私はウソツキみたいでいやなんだけど、でも今まで趣味を黙っていた彼のことを思うと強く言えない。
「忙しい時ぐらいは私もご飯作りたいなって思うけど」
でも趣味の料理を奪うことも、彼よりうまく作れる自信はない。
でも、私が料理を少しでも作れるようになったら、彼はソファで寝るような多忙が少しは改善されるんじゃないかな?
「なに? あんな最高な旦那をゲットしといて悩みがあんの?」
「……もっと新婚みたいに二人の時間が欲しいのかもしれない」
それから数日が立ち、クリスマスまでもう指で数えたらすぐになった。
引っ越し準備は、業者をいれてついでに彼に荷解きもして、新居に移って数日はばたばたした。
それと結婚報告と年賀状が同時になり、仕事が多忙な彼のため、全て私が引き受けることになった。
クリスマスは絶対に家にいるとは言ったけれど、最近全く顔を合わせていない。
「しまった!」
気づいて起き上がったときには、すでに同じベットで眠っている彼のスペースは冷たくなっている。
慌てて下に降りると、ラップを巻いたご飯のおかずと、電子レンジにはお味噌汁。ほかほかのご飯も炊飯器の中にある。
「……喬一さん」
あの人、いつ寝ていつ起きてるの?ってぐらい多忙。
学会前だからと、論文を作ってそのままソファで眠ってしまうって言うズボラさが少し可愛いなって思っていたけど、違う。
ズボラじゃなくて、忙しすぎて寝てる暇がないから、あんな睡眠のとり方をしているんだ。
外科医は手術が多い分、患者さんやご家族の説明はもちろん、書類も多いし学会とか学業的な仕事も多い。
そんな多忙な中、私のご飯なんて作らなくていい。もっと寝てほしい。
一緒のベットに寝たい。
温めてご飯を食べる。彼が用意してくれた食事は、並べただけでも美しい。
「……美味しい」
鰆の西京焼きのおいしさにほろりと涙が出そう。
髪もボサボサ、ノーメイク、パジャマ姿。
そんなだらしない姿で、朝から美味しいご飯を食べると、嬉しいけど申し訳なくて複雑な気持ちだ。
明日は土曜だし、今日こそは私が寝ないでずっと起きて彼を待っていよう。
お皿を洗いにキッチンへ向かうと、お弁当まで用意されていて、もう申し訳なさ過ぎて消えてしまいそうになった。
*
「あんたの弁当、めっちゃ美味しそうね」
お昼にランチに誘われ、断ると食堂へ誘導されてしまった。
小春は、肉食系女子の言葉ぴったりなカツ丼。
私は彼が作ってくれたロコモコ丼だ。玉子だって半熟で、丸い保温タイプのお弁当箱だからまだ温かくご飯も柔らかい。
これは、彼が作ったとは言わないでほしいと言われている。
男が料理云々に前に、女性に料理ができる男だと思われるのが過去の経験上どうしても嫌らしい。
で、彼は職場でお嫁さんから作ってもらったと、堂々とお弁当を広げることができると嬉しそうだった。
それって、どうなんだろう。私はウソツキみたいでいやなんだけど、でも今まで趣味を黙っていた彼のことを思うと強く言えない。
「忙しい時ぐらいは私もご飯作りたいなって思うけど」
でも趣味の料理を奪うことも、彼よりうまく作れる自信はない。
でも、私が料理を少しでも作れるようになったら、彼はソファで寝るような多忙が少しは改善されるんじゃないかな?
「なに? あんな最高な旦那をゲットしといて悩みがあんの?」
「……もっと新婚みたいに二人の時間が欲しいのかもしれない」
1
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる