とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

篠原愛紀

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三、当日×材料

三、当日×材料④

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 それから数日が立ち、クリスマスまでもう指で数えたらすぐになった。
 引っ越し準備は、業者をいれてついでに彼に荷解きもして、新居に移って数日はばたばたした。
 それと結婚報告と年賀状が同時になり、仕事が多忙な彼のため、全て私が引き受けることになった。
 クリスマスは絶対に家にいるとは言ったけれど、最近全く顔を合わせていない。

「しまった!」

 気づいて起き上がったときには、すでに同じベットで眠っている彼のスペースは冷たくなっている。
 慌てて下に降りると、ラップを巻いたご飯のおかずと、電子レンジにはお味噌汁。ほかほかのご飯も炊飯器の中にある。

「……喬一さん」

 あの人、いつ寝ていつ起きてるの?ってぐらい多忙。
 学会前だからと、論文を作ってそのままソファで眠ってしまうって言うズボラさが少し可愛いなって思っていたけど、違う。
 ズボラじゃなくて、忙しすぎて寝てる暇がないから、あんな睡眠のとり方をしているんだ。
 外科医は手術が多い分、患者さんやご家族の説明はもちろん、書類も多いし学会とか学業的な仕事も多い。

 そんな多忙な中、私のご飯なんて作らなくていい。もっと寝てほしい。
 一緒のベットに寝たい。
 温めてご飯を食べる。彼が用意してくれた食事は、並べただけでも美しい。

「……美味しい」
 鰆の西京焼きのおいしさにほろりと涙が出そう。
 髪もボサボサ、ノーメイク、パジャマ姿。
 そんなだらしない姿で、朝から美味しいご飯を食べると、嬉しいけど申し訳なくて複雑な気持ちだ。

 明日は土曜だし、今日こそは私が寝ないでずっと起きて彼を待っていよう。
 お皿を洗いにキッチンへ向かうと、お弁当まで用意されていて、もう申し訳なさ過ぎて消えてしまいそうになった。




「あんたの弁当、めっちゃ美味しそうね」

 お昼にランチに誘われ、断ると食堂へ誘導されてしまった。
 小春は、肉食系女子の言葉ぴったりなカツ丼。
 私は彼が作ってくれたロコモコ丼だ。玉子だって半熟で、丸い保温タイプのお弁当箱だからまだ温かくご飯も柔らかい。

これは、彼が作ったとは言わないでほしいと言われている。


 男が料理云々に前に、女性に料理ができる男だと思われるのが過去の経験上どうしても嫌らしい。
 で、彼は職場でお嫁さんから作ってもらったと、堂々とお弁当を広げることができると嬉しそうだった。
 それって、どうなんだろう。私はウソツキみたいでいやなんだけど、でも今まで趣味を黙っていた彼のことを思うと強く言えない。

「忙しい時ぐらいは私もご飯作りたいなって思うけど」
 でも趣味の料理を奪うことも、彼よりうまく作れる自信はない。
 でも、私が料理を少しでも作れるようになったら、彼はソファで寝るような多忙が少しは改善されるんじゃないかな?
「なに? あんな最高な旦那をゲットしといて悩みがあんの?」
「……もっと新婚みたいに二人の時間が欲しいのかもしれない」
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