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五、溺愛×賞味
五、溺愛×賞味④
しおりを挟む御節に休み中に作った鳥ハムと、燻製のベーコン、筑前煮、そば、お雑煮。
喬一さんはどこに出ても恥ずかしくないほど、一流の料理の腕前をしていた。
これが趣味というから不思議。一流レストランの料理人と言われたら全力で納得してしまう。
最初、一人で作ってるときは達成感と私の感想で満たされているように見えた。
一緒に作るようになって、小さなこだわりを教えてくれる時に彼らしい几帳面な部分が垣間見えて、それで教えるのが楽しそうに見えたっけ。
彼は料理後に味として現れる結果が好きなんだと思っていたけど、今は私に教えるロコ美も知った、ということなのかな。
そばを食べながら「おいしい!」と驚いた私に笑っていたのだから。
「紗矢、冷えるよ」
朝日を見たくて二階から初日の出を眺めていたら、大げさにコートを二枚も羽織わせてもらった。
「夕方ぐらいに初詣行きたいな」
「いいね。熱が下がったら、だけど」
コートを二枚羽織り、尚且つ後ろから、喬一さんのコートに覆われ抱きしめられる。
そうだね。熱が下がったら行きたい。林檎飴とチョコバナナと焼きそばも食べて、おみくじで大吉を引きたい。
一緒に朝日を拝みながら、緩やかにただそう願う。
私も多くを望むわけじゃない。
ただ仕事中はピリピリしないといけない彼の、帰る場所としてちゃんとしたい。
「喬一さん、今年もよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします」
鼻が冷たいよ、とお互いの鼻を擦り合わせてから、新年初めの甘いキスを交わしたのだった。
***
お正月ぐらいはゆっくりしてもいいよね、と喬一さんにおばあちゃんから送られてきた蜜柑を剥いて、お互い食べさせてだらだらしていた。
けれど、朝一番に送られてきた年賀状の数に驚愕する。
業者に依頼して結納時の写真を使って作った年賀状の倍、いや三倍は届いている。
私の方の親戚はほぼ数通りだし、同期の皆とは大変だから送らず上司だけにしてるし。
選別し終わって、喬一さんの年賀状を見る。私の分と彼の分は、砂場のお山とエベレストぐらい年賀状の高さの差が酷い。
「あのう、喬一さん」
「初詣、着物で行こうかと思ったけど、着物全部、実家だった。紗矢は?」
「私も着つけが面倒だし、喬一さんがくれたプレゼントつけたいからコートでって、喬一さん! 隣に座ってください」
年賀状をスルーしようとしていたので、炬燵の隣を叩くと、なぜかわざわざ私の後ろから座って抱きしめてきた。
「うちと同じ苗字の年賀状は、一切送っていないので、中身も見なくていいです」
一気にエベレストが、富士山の高さになる。
「で、仕事関係の年賀状も、仕事場から出してるから問題ないよ」
富士山並に残っていた年賀状が、近所の山ぐらいの高さになる。
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