43 / 63
五、溺愛×賞味
五、溺愛×賞味⑥
しおりを挟む
おみくじは抜群の大吉で、喬一さんは私に見せてくれずさっさと届かない木の枝に結び付けていた。
その後、お守りと玄関に飾る縁起物を購入し、焼きそばと林檎飴を食べて幸せな時間を過ごした。
実家も二人でゆっくりすればいいというスタンスで、兄なんて海外旅行に一人でふらりと行っていて自由にしているようだ。実家は実家で母と父が良い歳こいていちゃいちゃ新婚ごっこをしているらしい。祖父と祖母も正月は野菜造りを休み、温泉旅行。
喬一さんに伝えると『俺たちもそんな夫婦で居たいよね』と言うので照れてしまった。
なので仕事が休みの喬一さんと家でのんびり過ごすことにしてみた。
御節を食べ、本を読む彼の隣に引っ付いてゲームをしたり、一緒にお風呂に入る、入らない、の攻防戦を繰り広げていた。
そんな仕事休み最後の日、急遽喬一さんのご実家にお呼ばれすることになった。お姉さんの方から話したいことがあると、時間を作ってほしいと言われた。
私たちはその日も家でのんびりする予定だったので、もちろん行くことに。急いで着物を着たりと大慌てだった。
そんな慌ただしい中、インターフォンが鳴った。こんなお正月で忙しい時期に、段ボール二箱も届けてくれる宅配業者さんには頭が下がる。
「お婆ちゃんからです」
「お、野菜か。俺が持つよ」
軽々と段ボールを二箱持つと、うきうきとした足取りでキッチンへ向かう。
段ボールを開けると、お米と土がついたごぼうと大根、キャベツと人参、玉ねぎまである。
「贅沢だね。この野菜たっぷりの鍋が食べたい」
「いいですね。おばあちゃんも喜びます」
「おや、きゅうりがないようだけど」
「喬一さん!」
大根を握ると『生ハム大根』と呟いて爆笑していた。久しぶりの長期休暇に、心なしか喬一さんも浮かれているように思える。
お返しにうちのおばあちゃんにハンドクリームと手袋、そして美味しい新茶など抜かりなく贈っているこの人は、私の旦那ではなくもしやお嫁さん?
「それより早く着換えないと、お姉さんを待たせてしまいますよ」
「そうだね。野菜は名残惜しいけど、帰りに一緒にスーパーにでもよって鍋の買い物もしたいし」
喬一さんは手馴れた様子で私の着付けを手伝ってくれた。自分は手元にないからとラフな格好で行こうとしてるくせに、私の着物や小物を楽しそうに選んでいる。
女性の着付けもできるとは、喬一さん、できないことないんじゃないかな。
色を選ぶセンスはないけど、と苦笑しつつ丁寧に着付けてくれた。
「あの、お野菜段ボール二箱もあるし、喬一さんのご実家に分けましょうか」
「え、あー……俺が全部食べたいけど」
「土のついた野菜とか失礼じゃなければ、ですが」
「全部俺のものって気持ちの方が強いけど……せっかくだし俺が絶賛する紗矢のおばあさまの野菜、持っていこうか」
若干、会話がかみ合っていないようだったがなんとか収まるところで収まったようだった。
どうしても野菜は全部使い切りたいようだ。
その後、お守りと玄関に飾る縁起物を購入し、焼きそばと林檎飴を食べて幸せな時間を過ごした。
実家も二人でゆっくりすればいいというスタンスで、兄なんて海外旅行に一人でふらりと行っていて自由にしているようだ。実家は実家で母と父が良い歳こいていちゃいちゃ新婚ごっこをしているらしい。祖父と祖母も正月は野菜造りを休み、温泉旅行。
喬一さんに伝えると『俺たちもそんな夫婦で居たいよね』と言うので照れてしまった。
なので仕事が休みの喬一さんと家でのんびり過ごすことにしてみた。
御節を食べ、本を読む彼の隣に引っ付いてゲームをしたり、一緒にお風呂に入る、入らない、の攻防戦を繰り広げていた。
そんな仕事休み最後の日、急遽喬一さんのご実家にお呼ばれすることになった。お姉さんの方から話したいことがあると、時間を作ってほしいと言われた。
私たちはその日も家でのんびりする予定だったので、もちろん行くことに。急いで着物を着たりと大慌てだった。
そんな慌ただしい中、インターフォンが鳴った。こんなお正月で忙しい時期に、段ボール二箱も届けてくれる宅配業者さんには頭が下がる。
「お婆ちゃんからです」
「お、野菜か。俺が持つよ」
軽々と段ボールを二箱持つと、うきうきとした足取りでキッチンへ向かう。
段ボールを開けると、お米と土がついたごぼうと大根、キャベツと人参、玉ねぎまである。
「贅沢だね。この野菜たっぷりの鍋が食べたい」
「いいですね。おばあちゃんも喜びます」
「おや、きゅうりがないようだけど」
「喬一さん!」
大根を握ると『生ハム大根』と呟いて爆笑していた。久しぶりの長期休暇に、心なしか喬一さんも浮かれているように思える。
お返しにうちのおばあちゃんにハンドクリームと手袋、そして美味しい新茶など抜かりなく贈っているこの人は、私の旦那ではなくもしやお嫁さん?
「それより早く着換えないと、お姉さんを待たせてしまいますよ」
「そうだね。野菜は名残惜しいけど、帰りに一緒にスーパーにでもよって鍋の買い物もしたいし」
喬一さんは手馴れた様子で私の着付けを手伝ってくれた。自分は手元にないからとラフな格好で行こうとしてるくせに、私の着物や小物を楽しそうに選んでいる。
女性の着付けもできるとは、喬一さん、できないことないんじゃないかな。
色を選ぶセンスはないけど、と苦笑しつつ丁寧に着付けてくれた。
「あの、お野菜段ボール二箱もあるし、喬一さんのご実家に分けましょうか」
「え、あー……俺が全部食べたいけど」
「土のついた野菜とか失礼じゃなければ、ですが」
「全部俺のものって気持ちの方が強いけど……せっかくだし俺が絶賛する紗矢のおばあさまの野菜、持っていこうか」
若干、会話がかみ合っていないようだったがなんとか収まるところで収まったようだった。
どうしても野菜は全部使い切りたいようだ。
1
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる