とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

篠原愛紀

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五、溺愛×賞味

五、溺愛×賞味⑥

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 おみくじは抜群の大吉で、喬一さんは私に見せてくれずさっさと届かない木の枝に結び付けていた。
 その後、お守りと玄関に飾る縁起物を購入し、焼きそばと林檎飴を食べて幸せな時間を過ごした。

 実家も二人でゆっくりすればいいというスタンスで、兄なんて海外旅行に一人でふらりと行っていて自由にしているようだ。実家は実家で母と父が良い歳こいていちゃいちゃ新婚ごっこをしているらしい。祖父と祖母も正月は野菜造りを休み、温泉旅行。

 喬一さんに伝えると『俺たちもそんな夫婦で居たいよね』と言うので照れてしまった。
なので仕事が休みの喬一さんと家でのんびり過ごすことにしてみた。

 御節を食べ、本を読む彼の隣に引っ付いてゲームをしたり、一緒にお風呂に入る、入らない、の攻防戦を繰り広げていた。

 そんな仕事休み最後の日、急遽喬一さんのご実家にお呼ばれすることになった。お姉さんの方から話したいことがあると、時間を作ってほしいと言われた。

 私たちはその日も家でのんびりする予定だったので、もちろん行くことに。急いで着物を着たりと大慌てだった。

 そんな慌ただしい中、インターフォンが鳴った。こんなお正月で忙しい時期に、段ボール二箱も届けてくれる宅配業者さんには頭が下がる。

「お婆ちゃんからです」
「お、野菜か。俺が持つよ」

 軽々と段ボールを二箱持つと、うきうきとした足取りでキッチンへ向かう。

 段ボールを開けると、お米と土がついたごぼうと大根、キャベツと人参、玉ねぎまである。

「贅沢だね。この野菜たっぷりの鍋が食べたい」
「いいですね。おばあちゃんも喜びます」
「おや、きゅうりがないようだけど」
「喬一さん!」


 大根を握ると『生ハム大根』と呟いて爆笑していた。久しぶりの長期休暇に、心なしか喬一さんも浮かれているように思える。

 お返しにうちのおばあちゃんにハンドクリームと手袋、そして美味しい新茶など抜かりなく贈っているこの人は、私の旦那ではなくもしやお嫁さん?

「それより早く着換えないと、お姉さんを待たせてしまいますよ」
「そうだね。野菜は名残惜しいけど、帰りに一緒にスーパーにでもよって鍋の買い物もしたいし」
 喬一さんは手馴れた様子で私の着付けを手伝ってくれた。自分は手元にないからとラフな格好で行こうとしてるくせに、私の着物や小物を楽しそうに選んでいる。
 女性の着付けもできるとは、喬一さん、できないことないんじゃないかな。
 色を選ぶセンスはないけど、と苦笑しつつ丁寧に着付けてくれた。

「あの、お野菜段ボール二箱もあるし、喬一さんのご実家に分けましょうか」
「え、あー……俺が全部食べたいけど」
「土のついた野菜とか失礼じゃなければ、ですが」
「全部俺のものって気持ちの方が強いけど……せっかくだし俺が絶賛する紗矢のおばあさまの野菜、持っていこうか」

 若干、会話がかみ合っていないようだったがなんとか収まるところで収まったようだった。
 どうしても野菜は全部使い切りたいようだ。
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