186 / 237
こんなところに異世界 ―俺は勇者じゃないとそろそろ気づいてほしい―
謎の存在の正体
しおりを挟む
謎の人物が召喚しているようでグールが絶え間なく現れている。
俺たちは協力しながら攻撃を防いでいた。
「まさか、モンスターを召喚する魔術があるなんて」
今までの経験では、そんなことが可能だとは想像もつかなかった。
だが、現にグールはどこからか現れて襲いかかってくる。
精鋭たちの力で応戦できているものの、劣勢になるのは時間の問題だ。
「……今ならやれるか」
謎の人物が鍵を握っていることは明らかだった。
俺は波状攻撃の隙を突いて、玉座に座る人物へと火球を放った。
「くっ、ダメか……」
威力が不十分なようで見えないか何かに遮断された。
「カナタ、あいつを攻撃したいのか?」
「ええ、どう見てもあれが怪しいです」
「よしっ、任せろ」
オーウェンは懐から短剣を取り出すと、謎の人物に向けて投げつけた。
それは速度を保ったまま頭部に直撃した。
「――やったか!?」
たしかに短剣は頭部を居抜いたはずだった。
しかし、血が流れることもなければ叫び声が上がることもなかった。
「……どうなってるんだ」
得体の知れない存在に恐怖を覚えていた。
謎の人物は何事もなかったかのように突き刺さった短剣を抜き取ると、他愛もないと言いたげな動作で投げ捨てた。ナイフの着地する金属音が空(むな)しく鳴り響く。
ふと、いつの間にか目深に被っていたフードが脱げていることに気づいた。
「――何と奇妙な!?」
「……不気味ですね」
俺とオーウェンはその様子に注視していた。
フードの下にはむき出しの骸骨と怪しい光を浮かべる二つの赤い瞳があった。
「おいおい! 突っ立てたら危ないぞ!」
俺とオーウェンが気を取られていると、リュートが援護してくれた。
いつの間にか複数のグールが近づいていた。
咄嗟に火の魔術を発動して、正面にいる敵を吹き飛ばした。
やがて、同じ空間にいるグールを全て倒しきった。
この期に及んでも、謎の人物は玉座に陣取ったままだった。
身じろぎせずに赤く不気味な瞳でこちらを見ている。
「ほう、なかなかやるではないか」
くぐもったような奇妙な声が響いた。
「ガイコツ野郎、何が目的だ」
リュートが挑戦的な様子で語りかけた。
「我はネクロマンサー。死を司る者なり」
謎の人物は彼の言葉を無視して、名乗りを上げた。
「何、ネクロマンサーだと……」
オーウェンが困惑したように言った。
「何か知ってますか?」
「大した情報は持ち合わせてないが、ネクロマンサーとは伝承に登場する死神の一種だ。本来なら死を司る存在がそれがなぜこんなところに……」
彼の死を司る者という言葉に恐怖を覚えた。
「……もしや、さらわれた人々はグールにされたということか」
「猛き戦士よ、おぬしの想像通りだ。配下を増やすためにさらった」
「貴様、何ということを……」
オーウェンは拳を握りしめて、怒りの感情を露わにした。
今にも飛びかからんとばかりに険しい表情をしている。
「おいっ、ちょっと待て。おれたちが斬ったのは市民だったということか」
「あのドクロの話が本当なら、そういうことになりますね」
リュートとエレンは意見が一致したように互いを見合わせた。
「それを聞いて、生かしておけるわけがねえ!」
「癪ですが、同意見ですよ」
二人は軽やかな身のこなしで駆け出した。
チーターなどの猛獣を彷彿とさせる素早い動作だった。
そして、彼らは距離を詰めてネクロマンサーに突きを見舞った。
二本の槍がフードの外れた骸骨に突き刺さった。
「どうだ!」
「座ったままだなんて、いくらなんでも隙だらけですよ」
リュートとエレンは勝ち名乗りを上げるように言葉を吐いた。
「――槍使い諸君、これで終わりかね」
がらんどうの頭部から気怠さを纏うような声が発せられた。
そして、からからと嘲るような声が聞こえた後、突風が吹き抜けた。
「くっ、何だ!?」
「一体、何が!?」
二人はその風に飛ばされて、こちらに戻ってきた。
「これは手こずりそうな相手ですね」
「カナタ、簡単に諦めてくれるなよ」
「ええ、当然です」
オーウェンは助力を求めるような表情でこちらを見ていた。
俺たちは協力しながら攻撃を防いでいた。
「まさか、モンスターを召喚する魔術があるなんて」
今までの経験では、そんなことが可能だとは想像もつかなかった。
だが、現にグールはどこからか現れて襲いかかってくる。
精鋭たちの力で応戦できているものの、劣勢になるのは時間の問題だ。
「……今ならやれるか」
謎の人物が鍵を握っていることは明らかだった。
俺は波状攻撃の隙を突いて、玉座に座る人物へと火球を放った。
「くっ、ダメか……」
威力が不十分なようで見えないか何かに遮断された。
「カナタ、あいつを攻撃したいのか?」
「ええ、どう見てもあれが怪しいです」
「よしっ、任せろ」
オーウェンは懐から短剣を取り出すと、謎の人物に向けて投げつけた。
それは速度を保ったまま頭部に直撃した。
「――やったか!?」
たしかに短剣は頭部を居抜いたはずだった。
しかし、血が流れることもなければ叫び声が上がることもなかった。
「……どうなってるんだ」
得体の知れない存在に恐怖を覚えていた。
謎の人物は何事もなかったかのように突き刺さった短剣を抜き取ると、他愛もないと言いたげな動作で投げ捨てた。ナイフの着地する金属音が空(むな)しく鳴り響く。
ふと、いつの間にか目深に被っていたフードが脱げていることに気づいた。
「――何と奇妙な!?」
「……不気味ですね」
俺とオーウェンはその様子に注視していた。
フードの下にはむき出しの骸骨と怪しい光を浮かべる二つの赤い瞳があった。
「おいおい! 突っ立てたら危ないぞ!」
俺とオーウェンが気を取られていると、リュートが援護してくれた。
いつの間にか複数のグールが近づいていた。
咄嗟に火の魔術を発動して、正面にいる敵を吹き飛ばした。
やがて、同じ空間にいるグールを全て倒しきった。
この期に及んでも、謎の人物は玉座に陣取ったままだった。
身じろぎせずに赤く不気味な瞳でこちらを見ている。
「ほう、なかなかやるではないか」
くぐもったような奇妙な声が響いた。
「ガイコツ野郎、何が目的だ」
リュートが挑戦的な様子で語りかけた。
「我はネクロマンサー。死を司る者なり」
謎の人物は彼の言葉を無視して、名乗りを上げた。
「何、ネクロマンサーだと……」
オーウェンが困惑したように言った。
「何か知ってますか?」
「大した情報は持ち合わせてないが、ネクロマンサーとは伝承に登場する死神の一種だ。本来なら死を司る存在がそれがなぜこんなところに……」
彼の死を司る者という言葉に恐怖を覚えた。
「……もしや、さらわれた人々はグールにされたということか」
「猛き戦士よ、おぬしの想像通りだ。配下を増やすためにさらった」
「貴様、何ということを……」
オーウェンは拳を握りしめて、怒りの感情を露わにした。
今にも飛びかからんとばかりに険しい表情をしている。
「おいっ、ちょっと待て。おれたちが斬ったのは市民だったということか」
「あのドクロの話が本当なら、そういうことになりますね」
リュートとエレンは意見が一致したように互いを見合わせた。
「それを聞いて、生かしておけるわけがねえ!」
「癪ですが、同意見ですよ」
二人は軽やかな身のこなしで駆け出した。
チーターなどの猛獣を彷彿とさせる素早い動作だった。
そして、彼らは距離を詰めてネクロマンサーに突きを見舞った。
二本の槍がフードの外れた骸骨に突き刺さった。
「どうだ!」
「座ったままだなんて、いくらなんでも隙だらけですよ」
リュートとエレンは勝ち名乗りを上げるように言葉を吐いた。
「――槍使い諸君、これで終わりかね」
がらんどうの頭部から気怠さを纏うような声が発せられた。
そして、からからと嘲るような声が聞こえた後、突風が吹き抜けた。
「くっ、何だ!?」
「一体、何が!?」
二人はその風に飛ばされて、こちらに戻ってきた。
「これは手こずりそうな相手ですね」
「カナタ、簡単に諦めてくれるなよ」
「ええ、当然です」
オーウェンは助力を求めるような表情でこちらを見ていた。
1
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。
希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。
手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。
「このまま死ぬのかな……」
そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。
そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。
試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。
「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」
スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。
たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。
※本作は小説家になろうでも投稿しています。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる