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初☆デート!
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――――…
「おなかいっぱい~……!」
「でしょうね」
「う~……苦しい……」
「自業自得です」
「う~……」
「特大サイズのポップコーンにコーラ二杯。その上、パフェやデザートを合わせて三品も食べていたとは……貴方の将来が不安になります」
「うぅ……」
映画が終わると、僕は食べすぎで苦しんでいた。車の中でお腹を抑え、苦しげな呼吸を繰り返す僕に、ハンドルを握っている旦那さまは呆れたようにため息をついた。その通りなんだけどね。
あ、そうそう車はね。海さんが乗ってきた車なんだよ。海さん、免許持ってたんだよ。びっくりだね。僕は綾瀬さんに送ってもらったけど、海さんは一人でここに来たからね。でも、初めて見る車なんだけどこれ国産車じゃないよね? ……ああ、そんなことよりお腹苦しい。
ひっひっふー。
「帰ったら胃薬を飲みなさい。それから、明日は粥を作ってあげますから、それを食べなさい」
「はぁいぃ……」
う~。苦しい。
お腹を抑えて楽な姿勢はないものかと、横になったり、仰向けになったり、海さんの隣でゴロゴロと体勢を変える。シートベルトをしているから、余計に苦しい。
いっそのことうつ伏せになれば……。そう思って、ぐっと右側に傾くと、ゴツゴツした何かが僕の骨盤を刺激した。
あ。そうだった。ジーンズのポケットにしまったまんま……これ、忘れてた。
「海さん」
車が赤信号で停車した時に、僕は声を掛けた。
「はい」
「今日、その……いろいろあったけど、楽しかったよ。最後に観たホラーも、すごく恐くて面白かったし」
「はい」
「それでね。その……もしかしたら、気に入らないかもしれないんだけどね。あの……ね。僕、一人になった時に、お土産コーナーにいたの。そこでね……あ、海さん。片手だけ出してくれる?」
「?」
海さんが出してくれた左手に、僕はそっとある物を乗せた。
それは……
「ストラップ?」
「真ん中にね、トルコ石がついているの。海さん、お誕生日が十二月でしょ。お誕生日プレゼントには、まだ早いかもしれないけど……」
今日は楽しかったから。
「ありがとうね」
お礼をしたかったから。
「あ、もしかしたら嫌いかもしれないんだけど。でも、スマホに付けられると思うし……海さん、こういうの、嫌?」
嫌かな。嫌だったら、残念なんだけど……。
「わっ!?」
不意討ち。とはこのことだってくらい、急なことだった。
頭を撫でられた。ただそれだけなんだけど、びっくりして海さんを見る。
すると。
「ありがとう。一生、大切にします」
海さんが、見たこともない「キレイ」な笑顔を見せたんだ。
どきん。
「おなかいっぱい~……!」
「でしょうね」
「う~……苦しい……」
「自業自得です」
「う~……」
「特大サイズのポップコーンにコーラ二杯。その上、パフェやデザートを合わせて三品も食べていたとは……貴方の将来が不安になります」
「うぅ……」
映画が終わると、僕は食べすぎで苦しんでいた。車の中でお腹を抑え、苦しげな呼吸を繰り返す僕に、ハンドルを握っている旦那さまは呆れたようにため息をついた。その通りなんだけどね。
あ、そうそう車はね。海さんが乗ってきた車なんだよ。海さん、免許持ってたんだよ。びっくりだね。僕は綾瀬さんに送ってもらったけど、海さんは一人でここに来たからね。でも、初めて見る車なんだけどこれ国産車じゃないよね? ……ああ、そんなことよりお腹苦しい。
ひっひっふー。
「帰ったら胃薬を飲みなさい。それから、明日は粥を作ってあげますから、それを食べなさい」
「はぁいぃ……」
う~。苦しい。
お腹を抑えて楽な姿勢はないものかと、横になったり、仰向けになったり、海さんの隣でゴロゴロと体勢を変える。シートベルトをしているから、余計に苦しい。
いっそのことうつ伏せになれば……。そう思って、ぐっと右側に傾くと、ゴツゴツした何かが僕の骨盤を刺激した。
あ。そうだった。ジーンズのポケットにしまったまんま……これ、忘れてた。
「海さん」
車が赤信号で停車した時に、僕は声を掛けた。
「はい」
「今日、その……いろいろあったけど、楽しかったよ。最後に観たホラーも、すごく恐くて面白かったし」
「はい」
「それでね。その……もしかしたら、気に入らないかもしれないんだけどね。あの……ね。僕、一人になった時に、お土産コーナーにいたの。そこでね……あ、海さん。片手だけ出してくれる?」
「?」
海さんが出してくれた左手に、僕はそっとある物を乗せた。
それは……
「ストラップ?」
「真ん中にね、トルコ石がついているの。海さん、お誕生日が十二月でしょ。お誕生日プレゼントには、まだ早いかもしれないけど……」
今日は楽しかったから。
「ありがとうね」
お礼をしたかったから。
「あ、もしかしたら嫌いかもしれないんだけど。でも、スマホに付けられると思うし……海さん、こういうの、嫌?」
嫌かな。嫌だったら、残念なんだけど……。
「わっ!?」
不意討ち。とはこのことだってくらい、急なことだった。
頭を撫でられた。ただそれだけなんだけど、びっくりして海さんを見る。
すると。
「ありがとう。一生、大切にします」
海さんが、見たこともない「キレイ」な笑顔を見せたんだ。
どきん。
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