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ドキドキ? 学園生活♪ 【真実 side】
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ヴヴ……。
お、メッセだ。何々? ふんふん。
「柳、連絡来たよ~。片岡と合流したから、今からこっちに向かうってさ」
「そっか! じゃあ、はとりさん。ココアをお願いします!」
「ふふ。了解です」
兄弟からのメッセを確認すると、カウンター越しで柳がはとりさんに向かって大好きなココアを注文する。久々に店へと訪れた柳を嬉々として迎えたはとりさんはいつもよりテンションが高い。メンバーの中で一番のお気に入りが柳なんだから、その気持ちはわからないでもない。今日は多分、マシュマロと生クリームのトッピングが無料でつくことだろう。
カウンターに並んで座るのは、俺、柳、るーちゃんの順。そんでもって、テーブル席の方に八名のメンバーが集まっている。これが全員集まると、このロワゾの全テーブル席が埋まるくらいになるわけだけど、皆も高校生になったということからか、部活動やら受験勉強やらで何かと忙しい。俺も三年になったら受験だしなぁ。
それはともかくとして、ここにいるメンバーは久々に現れた柳の姿を見て、普段の倍の笑顔を見せる。そりゃそうだ。俺達に負けず劣らず、柳が大好きなんだから。ただ……
平々凡々の、黒髪眼鏡のいつもの柳の姿を見て。
中には落胆の様子を見せる奴がいるのもホントで。まぁ、あからさまな態度はないけど、その面には苦笑を浮かべていた。
正直なところ、もう無理だろって思ってた。ああ、変な意味じゃなくてさ。なんてーの? 穏やかな日々を過ごすために、もうバレバレの隠し事なんか、柳には無理だろって思うんだよ。だってそうだろ? 本人はもう、俺らから話して欲しいはずなんだからさ。
ちらりと横目で柳を見ると、彼はワクワクした様子でホットココアを作っているはとりさんの後姿を眺めていた。もう、本当に俺らと同じ歳なのって疑っちまうくらい無邪気で可愛いんだから、ヤベぇよなぁ。
と、下半身がちょっと反応しそうなところで、いかんいかんと首を振る。そんな俺の様子に気づいたのは、一つ向こう側に座るるーちゃんだった。表情を変えずに冷やかな眼差しを向けている。しょーがねぇじゃん。俺は健全な男子なんだから。
そんな俺らの無言のやり取りに気づかない柳が。
「僕、はとりさんのココア、大好きなんだ~」
と、可愛い笑顔で言っている。一見、はとりさんを誘惑しているように見えなくもないが、マジでココアが大好きと言っている。誤解させかねないこの言葉も、柳にとっては日頃の感謝をこめているようなものだ。企みなんて一切ない。そんな柳を、はとりさんもわかっていて。
「そうなの? じゃあトッピング、奮発しちゃおうかな」
「やったぁ! マシュマロがのったココア、大好き! 廻もココア飲むよね?」
満面の笑みで喜ぶ柳に、るーちゃんはコクリと無言で頷く。けど、俺はわかってんよ。るーちゃん、今すげぇ喜んでるでしょ。ハイテンションでしょ。心のチンコ、おっ勃ててんでしょ。俺、わかってんだからね。
僅かにほっぺが赤くなってるるーちゃんに仕返しとばかりに笑ってやると、今度ははとりさんが俺に尋ねてくる。
くるんだけど……。
「真君はどうする? ココア? それともコーヒー……って、君は真君だよね?」
「どっちだと思う?」
「ごめんね。君たち本当にそっくりだから、なかなか見分けがつかなくて……柳君が真君だって断言してるから、間違いないと思うんだけど」
「あっはは! 真で正解。俺はコーヒーがいいです」
「ん。わかりました」
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