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ショタ時代の推し
しおりを挟む「――そうなんだ。悪魔に……」
「ああ。それで……誰もおれを引き取ってはくれなかったんだけど……再婚したばかりの叔父さんが、新しい奥さんとの仲を……その……気にして……」
なるほど。
両親が悪魔に殺されて、行き場がなくなった。
次の保護者として叔父夫婦に引き取られたけれど、叔父夫婦は再婚したばかりのある意味新婚。
そこに血の繋がらない真智が来て、虐げられているんだ。
でも叔父さんの再婚相手の気持ちもわからないでもない。
せっかく好きな人と結婚したのに、その甥っ子が親が亡くなって仕方なく家に招き入れられたら、突然子持ちみたいなっちゃう。
まだ自分と好きな人との間に子どもも生まれていないのに、二人きりの時間を邪魔されたように感じてしまうのは仕方ない。
「でも――」
「ホントの母さんと父さんみたいにしてほしいわけじゃない。ちゃんとわかってる、おれ。おれが邪魔だから、っていうか、いてほしくないって。だからおれが自分で自分のご飯、用意して食べるから、いらないって言ってる」
「え? そっち?」
てってきり叔父夫婦が用意してくれないのかと思っていたら、叔父夫婦のことを気にして真智が自主的にご飯を拒否していたらしい。
おいおいおいおい。
それ、逆じゃん!
「真智くん、ちゃんとおじさんとおばさんとお話しした方がいいよ。それだと、子どもにご飯をあげないっておじさんとおばさんが悪者になっちゃうよ」
「え……!?」
「そーゆーの“ほごせきにんしゃいき”っていうんだよ。真智くんはちゃんとご飯もらって、お風呂入って、あったかくして寝ないとおじさんとおばさんが悪い人扱いされるんだから! ちゃんと真智くんが『邪魔してませんか? 邪魔だったらどう生活したらいいですか? 今のまま自分でご飯を用意するから、寝るところはここでいいですか?』って聞いてみな? 絶対その方がいいよ」
「悪者になっちゃう……」
うちとは違って改善の余地ありまくりじゃないの。
絶対話し合った方がいい!
私の言葉にもごもごしていたから、ゴミ箱からとってきたおにぎりを二つ押しつける。
「これ食べて、お腹いっぱいになってちゃんと頭働かせな! 頑張れ!」
「う、うん」
いや、頑張れ、じゃない。
我々このあと学校行くんよ。
なんならもう多分しっかり遅刻だよ。
まっずい。
でも、もぐもぐし始まる真智を見て、ひとまずそれは置いておいて、真智がご飯を食べ終わるまで待つことにした。
おにぎりを二つ、あっさりと平らげる真智。
うーん、ショタ真智マジ天使~。
ホントに可愛い~。
「ごちそうさまでした」
「あ。私も。ごちそうさまでした」
そうだ、こうして感謝を言葉にするのも“よい気”を招くものだ。
手を合わせて感謝するのも、食事そのものができていなかったから忘れていた。
真智はちゃんとできている。
すごいなぁ。
「じゃあ学校に行こうか」
「うん」
立ち上がると手を差し出していた。
自分でもびっくりするほどに自然に。
なんていうか、やはりご飯を食べると気持ちが明るくなるな。
ご飯ってすごいんだなあ。
二人で手を繋いで学校に向かう。
校門は閉まっていたけれど、裏門に回ると鍵はかかっていない。
入った瞬間空気が変わったのを感じる。
裏門の横には石畳が一枚、不自然に設置してあった。
それを見ると五芒星。
これ、結界だ。
今まで気づかなかった。
そうか、結界が張ってあるんだ。
これって私の知識や霊力が、それが理解できるくらいに成長したってことなのかな。
だとしたら、嬉しい。
でも、そうすると本当に色々と見方が変わる。
校舎に入ると校舎の向きや建物に設置してあるマークや札の意味がなんとなくだけれどわかるようになってきた。
ちょうどチャイムが鳴り響き、教室がざわざわし始める。
やば、一限目終わった。
「真智くん、クラスどこ?」
「二組」
「私、一組」
クラスが違ったから、攻略対象がいたのに気づかなかったんだ。
もしかして、他の攻略対象もいるのかな?
いや、もしくはご飯を食べてなかったし、母親が亡くなったばかりで周りをよく見えていなかったのかも。
そうか……私、それでなくともこの世界のことよく知らないのに……見て、知ろうとしていなかった。
視野狭窄とかいうんだっけ? こういうの。
破滅エンドを回避するために、私、もっと色々なことを見て聞いて知って理解して考えなければいけない。
まずは――
「じゃあ、今度また遊ぼ。真智くんがおじさん、おばさんと話した結果も知りたいし」
「また……話してくれるのか?」
「もちろん! もう友達でしょ、私たち」
同じゴミ箱の飯を食った、って感じで?
よくないけれどねー、ゴミ箱の飯食うって。
衛生的にもよくないし、お店としても迷惑になるよね。
わかってるけど、やっぱ命の方が大事だからさー。
今後も二食以上抜くことになりそうだったらコンビニのゴミ箱にお世話になることにしよう。
まあ、昼は普通に給食で命繋げるけれど。
「ともだち」
「うん?」
呟かれた言葉に首を傾げる。
そりゃあ、将来的に推しの声に成長するんだもん、仲良くしておきたいよ。
なにより、攻略対象たちも私と同じく破滅エンドが存在する。
しかも、主人公の選択肢次第。
そんなの納得いかないよね。
主人公の選択肢関係なく、私も、君も、死にたくないよね。
だから、私は私の意思で破滅エンドを絶対回避できるように他の攻略対象も助けられるように頑張ろう。
そのためにも、強くなろう。
「うん。また、話そう。ありがとう。……えっと、まよい、ちゃん」
「うん! またね!」
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