16 / 132
ショタ推しの変化
しおりを挟む「私ももっと強くなってたくさんの人を助けられるようになりたいな。今はまだ力が安定するように、禊をやってるんだけれど……」
「禊か。それも大事だよな。身を清めて魔が近づかないように体の周りに膜の結界を張りやすくしたり、力を安定させたり、霊力を高めたり……デメリットがいっこもないんだって」
「らしいね」
真智もやっているの、と聞くと場所がないので週に一度、近くの山の滝に滝行を兼ねて行っているそうだ。
というか、この学校、二年生に上がると週に一度禊が授業に組み込まれるらしい。
やはり禊で身を清め、霊力を高める修行は早いうちからやった方がいいということなのだろう。
ぶっちゃけ記憶に薄いが、一年生でも一ヶ月に一度坐禅の授業があるんだとか。
私、一度も受けてないけれど……まだ機会に恵まれてないだけ?
まあ、小学一年生がおとなしく授業とはいえ坐禅なんて組んでいられないもんなぁ。
一年生のうちは“小学校”というものに慣れさせ、勉強の基礎を学ぶ基礎を作る時期。
二年生に上がってからが、ようやく修行らしいことを始められるって感じらしい。
それもそうか。
「お前の家、海近いのいいな。毎朝禊できるんだ」
「うん。今朝もしてきた。ちょっとずつだけど、朝の寒い時間の凍えるような冷たさとか、霊力の結界で寒くない感じにできるようになってきたんだ」
「へー、やっぱ毎日やると効果が全然違うんだなー。いいなー」
禊してきて『いいなー』って羨ましがられることがあるんだ。
すげぇな、仏神学校生徒。
「でも、今までは小さい池だったから、海で禊するの怖いんだよね。波があるし」
「そういうのがあるのか」
「うん。攫われそう。波に」
今朝初めて海で禊を試してみた結果、本家の池の禊がどれほど安全だったのか心底思い知った。
海、マジ、危ない。
まず一番ヤバいのは波に攫われそうになる――粦が助けてくれた。
浜に細かい視認できないレベルの小虫が飛び跳ねてる――虫苦手ってわけじゃないけどシンプルに気色悪いしウザい。
体がベタベタになる――潮水舐めてた。
家からの距離がそれなりにあるため、朝がもっと早起きになる――今日やってみて気づいたけど朝風呂入らないと学校に来れない。体ベタベタになるから。
「って感じでそれなりにデメリットがある。海の禊」
「海といえば水の気がある場所だから、そこまでしんどいとは思わなかったな。海……海か……場所によってはかなり危険な場所だよな、海」
「うん。でも、朝の五時半とか……太陽が出てからだから、禊をやるの」
「じゃあ大丈夫か」
じゃあ大丈夫か、とか言われるくらい陽光ってやっぱり重要なファクターなんだ。
太陽の光ってそんなに強いんだ、と呟くと真智は「色々、魂の属性はあるけれど太陽は一番強い」と教えてくれた。
属性とかあるんだ。
まあ、ゲームの世界だもんな。
戦闘もあったし。
ああ、思い返すとあった気がするな~。
カードの端っこに『太陽』『火』『水』『土』『風』『雷』ってあった気がするなぁ。
キャラクターごとに属性が固定で決まっていて、それで戦っていたような……あー、思い出してきた、ちょっとずつ。
ストーリーが公開されているキャラクターが三人しかいなかったから、カード育成クエストで他のキャラの属性がわかる、みたいな感じだったっけ。
主人公であるヒロインは当然『太陽属性』。
祟り神をも浄化する、強力な力を持つ――だったかな。
でも、色々知っていくと祟り神を倒すとか浄化するとか、そんなの不可能なんじゃないのって思っちゃう。
その辺はゲームとは違うのかな?
それとも、ゲームが始まる頃になったらなにか起こるのかな?
もしくはヒロインが異常な存在なのか。
「覚えることがいっぱいあるね」
「そうだな。でも、それだけ強くなれるってことだからな」
「確かに」
真智、本当にゲームとはだいぶキャラ違うな。
復讐! 復讐! 復讐! 悪魔見つけたらなにを置いても真っ先に潰す!
……みたいな人だったのに。
強くなって悪魔を倒す、という根本的な部分はそのままだけれど「強くなってたくさんの人を助ける」と言っているのだからやはりゲームとは違うんだろう。
このまま成長していけば、私も真智も祟り神にならずに済むかも。
でもそうなると他の攻略対象が心配か?
「あ、ねえねえ。聞こうと思ってたんだけど」
「なんだ?」
「真智の家にはパソコン、ある?」
「パソコン? あるぞ」
「やっぱりあるの!?」
衝撃の返答。
パソコンは、やはり、あった!
「叔父さんのやつだけど、あった。使ったことはないけれど」
「そうだよね、あるよね! よかった~。時代が終わってるのかと思ったよ~」
「時代が終わってる……?」
「あ、始まってもいない?」
「始まってもいない……?」
すまないな、真智にはまだわからないかもしれないが私にとってパソコンの有無は今後の人生に大きく関わることなんだ。
推し活ができるか否か。
Vtuberが存在するか否か……。
推し活したーい。
「本家の方、パソコンなかったんだよね。それで、存在するのかどうか気になって」
「パソコンがない!? どうやって仕事受注してるんだお前んち」
「……言われてみると確かに」
私が見なかっただけなのかも? って気持ちになってきたな。
でも……最悪あの鬼ババアたち仕事やってない可能性がある。
電話とか、一見さんお断りとかの可能性も、あるか?
5
あなたにおすすめの小説
転生者だからって無条件に幸せになれると思うな。巻き込まれるこっちは迷惑なんだ、他所でやれ!!
柊
ファンタジー
「ソフィア・グラビーナ!」
卒業パーティの最中、突如響き渡る声に周りは騒めいた。
よくある断罪劇が始まる……筈が。
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます
水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか?
私は、逃げます!
えっ?途中退場はなし?
無理です!私には務まりません!
悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。
一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
【完結】前提が間違っています
蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった
【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた
【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた
彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語
※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。
ご注意ください
読んでくださって誠に有難うございます。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる