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第二章 メモリー&レイルート

俺、神林慎一郎は過去にモテ期があった。

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「……それは神林慎一郎、君に会いたかったからだ。」

「…ナオも言っていたが、何でお前が俺を知ってたんだ。お前とは会ったことも無かったのに。」

 それが一番の疑問だった。誰かからの噂?いや、そんな事は無いだろう。大陸を越えて伝わるほど大袈裟な事を俺は別にやってない。何故俺の本名までも知ってるのか?……相変わらず本当に謎だった。

「それは、君にも同じことが言えないかな?……例えば、今回はエドは最初いなかった、なのに君はエドを知っていた。それは何でなんだい?」

 俺の質問に対して、そんな問いでミミは返す。……そのミミの答えから、俺は一つの仮説を立てる。

「質問の投げ掛けあいになっちゃうのは申し訳ないけど、アンタって日本出身?」

 俺の仮説はこうだ。ミミは明らかに俺より長いことこの世界にいるが、実は外の世界出身で俺と同郷。そうして心細い中で自分と同じような人間がこの世界にいないか調べた。そうしてアンテナを張り巡らせていたため、俺の存在にいち早く気づいた。ゲームが得意なのも理由の一つだ。

 しかし俺の問いを聞いたミミは、キョトンとした顔でいた。そして何か思い付いたように口を開く。

「ああ、君の考えている事は何となく分かった。質問の答えだが、…すまないがNOだ。だが私の知り合いにアンタと同郷の人間はいる。」

「マジか!!どんな奴だ、そいつは。」

「……恐らく君は知っている。…君の想い人だ。」


 想い人。そう聞いて思いつく人間は…。

「え、カナ………?」

「え?何?私全然話聞いてなかったんだけど。」

 カナの方を向くと、彼女はハナと一緒にまだゲームをやっていた。その反応を見るにカナでは無いように思えるが…。

「そうか、…君の想い人は彼女じゃないのか。じゃああの娘は可愛そうな事に片想いだったんだな。」

 そう言って笑うミミ。彼女というのは誰の事だと俺が問うと、ミミはまた笑った。

「……君は過去に、誰かに好意を持たれている、モテていると思ったことはないかい?そして君も彼女に対して少しばかり好意を持っていた。そんな覚えはないかい?」

 思い当たる節はあった。一つはレイだ。レイははっきりと俺に愛の告白をした。レイに好意があったのは間違いない。そして少なからず俺もレイに対しては好意を抱いている。だがレイには申し訳ないが、俺はカナ以上にレイを愛する事は無い。そう断言できる。

 それにレイはミミの言う彼女ではない。北の国を出る時、俺はレイから聞いた、レイの故郷や生い立ちの話を。彼女は北の国の生まれで、俺のように外から来た人間じゃない、そう言っていた。証拠や確証は無いが、俺はレイの言葉は真実だと思っている。……もう一人俺には思い当たる人物がいるからだ。

 俺、神林慎一郎は過去にモテ期があった。

 小学校の時だ。俺の持論たが小学生は足が速い奴と頭がいい奴がモテると思っている。頭がよかった俺は、当時はちやほやされ、女子からキャーキャー言われたものだ。

 そしてその中に、特に俺と親しく、少しばかり好意を抱いてた女の子がいたのだ。彼女とは小学校を卒業してからは、お互い別の中学校に行った為、小学校以来会っていないが、まだ少し、未練たらしいかもしれないが、まだ俺は彼女を…。

「…誰か分かったかい?」

「……ああ。」

 そして俺は言った。その彼女の名を。俺が………“愛していた”少女の名を。

「……白雪七海。」

 ……その名を言うことに、少し緊張してしまう自分がいた。ああ、やっぱり俺は彼女を………浮気性だなぁ。

 そんな事を考えているとミミがまたもや笑顔を浮かべて言った。

「ご名答だよ。慎一郎くん。」




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