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第三章 ワールドウォー・トゥモロー
神林慎一郎は甘えられたい!
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「……おはよう。チロ。」
「ああ、おはよう。…カナ。」
清々しい朝だった。目を覚まして、その瞬間視界に写るのは愛おしい人の笑顔。この上ない最高の目覚めだった。
昨晩、俺ははカナと共に寝た。カナと一緒に寝るのは始めてでは無いが、今回はカナとお互いの想いを語り合ってからは初めての事なので何か新鮮な感覚だった。
しかしそれでも緊張というのは殆ど無かった。流石に全く無いという事は無かったが、一緒に寝れる嬉しさや心地よさが上回っていた。それはやはり俺がカナに心を預けているからだろう。
それにしても本当に俺はカナと結ばれたのか。そう思うと嬉しさが込み上げてくる。実際は俺の体は女のままなので完全では無いのだが。
「本当に、…本当にありがとう。カナ。こんな俺を愛してくれて、俺の思いに答えてくれて本当にありがとう。」
「こちらこそだよ、チロ。チロがいなかったら今の私は絶対に無い。だからこそ私がお礼を言わなくちゃならない。ありがとうだよ、チロ。」
カナは笑顔で俺の頭を撫でる。よく考えてみたら、カナは俺より年上なんだよな。一緒に付き合っているとどうしてもカナの幼い部分が目立って気にならないけども、実際にはカナはお姉さんなのだ。
今まで俺は年上彼女にはいささか抵抗があった。何かと気を使ったりすることもあるだろうし、何といっても俺は甘えられたいのだ。
でも考えてみたら俺はカナに甘えっぱなしで、頼ってばっかりだった気がする。そう考えると矛盾してるな。……カナには本当に何度も助けてもらった。感謝してもしきれないくらいに…。
「ありがとう。……愛してるし、頼りにしてるよ。カナ。」
「……ねぇ、私はチロの頼れる存在になれたかな?」
「ああ、本当に俺は助けてもらってばっかりで、大した事も出来ないけど俺も頑張るから、だからこれからもよろしくな?」
「ふふ、ありがとう。これからも一緒だよ?」
そう言って見せる笑顔はとても輝いて見えて、とても愛おしかった。
これからも一緒に…。その言葉は白雪七海との最後を連想させる。
その問いに七海はNOと答え、カナはYESと答えた。
白雪七海とカナ。どちらを選ぶかを悩んでいたが、今答えが出た。……やはり俺と一生一緒にと言ってくれたあの娘に…。
「…ラブラブなところ悪いけど、私はさっきからここにいるんだが。それにスルーは酷くないかな?」
「何だよ、ノック位しろよ。常識だぜベイベー。」
「ノックならしたし、それにここは元々は私が使うはずだった部屋だし、私が部屋を離れた途端に占拠されるし、文句を言おうにもお二人はお取り込み中だったし…。」
そうグチグチと文句を垂れるミミ。……それにしても…。
「……覗いたのか、お前。」
「それに関しては謝るが、鍵を閉めないそちらにも非はあると思うけどね。」
確かにそうだ、鍵を閉めなかった俺らも悪い。だが世の中には言ってはいけない事もある。別に覗いたことをいちいち言う必要も無かっただろう。そしてそれを知ってしまったカナは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている。
「それにしても驚いたのは、カナ様。彼を男として見ていたんですね。」
「悪い?別にいいでしょ?」
「あらら、拗ねちゃったよ。」
顔をプイッと背けるカナ。そんな拗ねているカナも可愛い。
「所で本題だが、私達はこのまま朝食を取らないで帰ることにする。」
「そうなのか?じゃあ見送りを…。」
拗ねているカナの顔色を見ながら俺は見送りの提案をする。しかしカナは何も答えない。
「いや、その必要は無い。実はある人物を待たせていてね。急いで帰らなきゃならないんだ。」
「ある人物って言うのは…?」
「それは極秘だ。他人に話すことは出来ない。」
「そうなのかー。」
怪しさしか感じないが、厄介事になるのは御免だ。なので俺は突っかからず、この場でミミ達と別れの挨拶を済ますことにした。
その後にやって来たハナや南の国守護者とも軽く談笑したのち別れを告げる。
そうして南の国一行は中央の国を後にして行ったのだった。
「……すいません、お待たせしました。」
「……白雪七海さま。」
「ああ、おはよう。…カナ。」
清々しい朝だった。目を覚まして、その瞬間視界に写るのは愛おしい人の笑顔。この上ない最高の目覚めだった。
昨晩、俺ははカナと共に寝た。カナと一緒に寝るのは始めてでは無いが、今回はカナとお互いの想いを語り合ってからは初めての事なので何か新鮮な感覚だった。
しかしそれでも緊張というのは殆ど無かった。流石に全く無いという事は無かったが、一緒に寝れる嬉しさや心地よさが上回っていた。それはやはり俺がカナに心を預けているからだろう。
それにしても本当に俺はカナと結ばれたのか。そう思うと嬉しさが込み上げてくる。実際は俺の体は女のままなので完全では無いのだが。
「本当に、…本当にありがとう。カナ。こんな俺を愛してくれて、俺の思いに答えてくれて本当にありがとう。」
「こちらこそだよ、チロ。チロがいなかったら今の私は絶対に無い。だからこそ私がお礼を言わなくちゃならない。ありがとうだよ、チロ。」
カナは笑顔で俺の頭を撫でる。よく考えてみたら、カナは俺より年上なんだよな。一緒に付き合っているとどうしてもカナの幼い部分が目立って気にならないけども、実際にはカナはお姉さんなのだ。
今まで俺は年上彼女にはいささか抵抗があった。何かと気を使ったりすることもあるだろうし、何といっても俺は甘えられたいのだ。
でも考えてみたら俺はカナに甘えっぱなしで、頼ってばっかりだった気がする。そう考えると矛盾してるな。……カナには本当に何度も助けてもらった。感謝してもしきれないくらいに…。
「ありがとう。……愛してるし、頼りにしてるよ。カナ。」
「……ねぇ、私はチロの頼れる存在になれたかな?」
「ああ、本当に俺は助けてもらってばっかりで、大した事も出来ないけど俺も頑張るから、だからこれからもよろしくな?」
「ふふ、ありがとう。これからも一緒だよ?」
そう言って見せる笑顔はとても輝いて見えて、とても愛おしかった。
これからも一緒に…。その言葉は白雪七海との最後を連想させる。
その問いに七海はNOと答え、カナはYESと答えた。
白雪七海とカナ。どちらを選ぶかを悩んでいたが、今答えが出た。……やはり俺と一生一緒にと言ってくれたあの娘に…。
「…ラブラブなところ悪いけど、私はさっきからここにいるんだが。それにスルーは酷くないかな?」
「何だよ、ノック位しろよ。常識だぜベイベー。」
「ノックならしたし、それにここは元々は私が使うはずだった部屋だし、私が部屋を離れた途端に占拠されるし、文句を言おうにもお二人はお取り込み中だったし…。」
そうグチグチと文句を垂れるミミ。……それにしても…。
「……覗いたのか、お前。」
「それに関しては謝るが、鍵を閉めないそちらにも非はあると思うけどね。」
確かにそうだ、鍵を閉めなかった俺らも悪い。だが世の中には言ってはいけない事もある。別に覗いたことをいちいち言う必要も無かっただろう。そしてそれを知ってしまったカナは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている。
「それにしても驚いたのは、カナ様。彼を男として見ていたんですね。」
「悪い?別にいいでしょ?」
「あらら、拗ねちゃったよ。」
顔をプイッと背けるカナ。そんな拗ねているカナも可愛い。
「所で本題だが、私達はこのまま朝食を取らないで帰ることにする。」
「そうなのか?じゃあ見送りを…。」
拗ねているカナの顔色を見ながら俺は見送りの提案をする。しかしカナは何も答えない。
「いや、その必要は無い。実はある人物を待たせていてね。急いで帰らなきゃならないんだ。」
「ある人物って言うのは…?」
「それは極秘だ。他人に話すことは出来ない。」
「そうなのかー。」
怪しさしか感じないが、厄介事になるのは御免だ。なので俺は突っかからず、この場でミミ達と別れの挨拶を済ますことにした。
その後にやって来たハナや南の国守護者とも軽く談笑したのち別れを告げる。
そうして南の国一行は中央の国を後にして行ったのだった。
「……すいません、お待たせしました。」
「……白雪七海さま。」
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