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58、…斗真さん… 奏side
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車に揺られながらパーカーを握り視界を狭くする。
今から病院…
一昨日行ったとこだって斗真さんにさっき教えてもらったけど、あんまり覚えてない…
それに今日は診察?色々調べるって言ってた。
調べるって何するんだろう。
分からないことばかりでまだ着いてないのに心臓がバクバクいってる。
「大丈夫?」
さっきから何度も斗真さんが話しかけてくれてるのになぜかまた声が出なくて頷くことしかできない。
斗真さんの顔も見れずにずっと俯いたまま病院に着くのをじっと待った。
「もうすぐ着くからね。」
_______________
「着いたよ。透に電話するからちょっと待ってね。」
「あ、もしもし、病院着いたよ。…分かった。」
「シートベルト外そうか。」
「ん?どうした?大丈夫だよ。大丈夫、大丈夫。」
シートベルトを外した斗真さんの腕を思わず掴んでしまった。
その手はかっこ悪いほど震えていて余計に不安が抑えられなくなってしまう。
「大丈夫だよ。おいで、」
斗真さんの上にまたがって背中をさすられる。
安心したくて斗真さんの首に腕をまわして顔を擦り付ける。
斗真さんの匂い…
溢れる涙が肩を濡らしてしまうけど、止めることはできなかった。
「大丈夫、大丈夫。俺も一緒にいるからね。よしよし。」
5分ほど泣いて心に溜まったものが少し軽くなって涙も止まった。
コンコン
「透来てくれたよ。病院行ける?」
コクリ
「じゃあ行こっか、」
ガチャ
「奏くん来てくれてありがとう。頑張ったね。」
優しく微笑んでくれる透さんの顔を見る。
「じゃあ案内するわ」
「ありがとう。」
斗真さんに抱っこされたまま病院に入った。
病院に入ると色んな人の足音、話し声…
子どもの泣き声…叫び声…
こわい…………
斗真さん……帰りたい………
あ…あ…
そうだ…声出ない…
涙も……出ない…………
斗真さんの顔を見るけど気持ちを表現するものを失った僕は抵抗することもできず1つの部屋に案内された。
「1回休憩しようか。」
そう言って僕をベッドに座らせた。
頭がぼーっとする。
「大丈夫?奏くん?」
斗真さんが話してる…けど、ぼーっとして反応ができない。
「奏くん、大丈夫だよ。ちょっとの間ここでゆっくりしようね。」
透さんは僕の手を握ってそう言ってる。
けど、反応できずに焦点が合わないままぼーっとどこかを見つめていた。
_______________
あ、ふわふわ。
手元にくまさんのぬいぐるみがあった。
ふわふわで可愛い。
頭を撫でたり手をぴょこぴょこ動かしてみた。
「おかえり。」
透さんが僕の前にしゃがんでいた。
いつからそこにいたんだろう。全然気付かなかった。
「奏くん、大丈夫?お水飲む?」
斗真さんが紙コップに入った水を一口飲んで渡してくれた。
一口飲んだらゴクゴク喉を鳴らして全部飲み干した。喉乾いてたのかな。
「診察行ける?」
コクリ
透さんの問に頷いて答える。
さっきまでぼーっとしてたのに今は晴れている。
そうだ、診察をしにここに来たんだ。
ちゃんとしなきゃ。
「くまさんも連れて行く?」
コクリ
「じゃあ行こうか。」
左手にはくまさんを持って、右手には斗真さんと手を繋いでお部屋を出る。
今から病院…
一昨日行ったとこだって斗真さんにさっき教えてもらったけど、あんまり覚えてない…
それに今日は診察?色々調べるって言ってた。
調べるって何するんだろう。
分からないことばかりでまだ着いてないのに心臓がバクバクいってる。
「大丈夫?」
さっきから何度も斗真さんが話しかけてくれてるのになぜかまた声が出なくて頷くことしかできない。
斗真さんの顔も見れずにずっと俯いたまま病院に着くのをじっと待った。
「もうすぐ着くからね。」
_______________
「着いたよ。透に電話するからちょっと待ってね。」
「あ、もしもし、病院着いたよ。…分かった。」
「シートベルト外そうか。」
「ん?どうした?大丈夫だよ。大丈夫、大丈夫。」
シートベルトを外した斗真さんの腕を思わず掴んでしまった。
その手はかっこ悪いほど震えていて余計に不安が抑えられなくなってしまう。
「大丈夫だよ。おいで、」
斗真さんの上にまたがって背中をさすられる。
安心したくて斗真さんの首に腕をまわして顔を擦り付ける。
斗真さんの匂い…
溢れる涙が肩を濡らしてしまうけど、止めることはできなかった。
「大丈夫、大丈夫。俺も一緒にいるからね。よしよし。」
5分ほど泣いて心に溜まったものが少し軽くなって涙も止まった。
コンコン
「透来てくれたよ。病院行ける?」
コクリ
「じゃあ行こっか、」
ガチャ
「奏くん来てくれてありがとう。頑張ったね。」
優しく微笑んでくれる透さんの顔を見る。
「じゃあ案内するわ」
「ありがとう。」
斗真さんに抱っこされたまま病院に入った。
病院に入ると色んな人の足音、話し声…
子どもの泣き声…叫び声…
こわい…………
斗真さん……帰りたい………
あ…あ…
そうだ…声出ない…
涙も……出ない…………
斗真さんの顔を見るけど気持ちを表現するものを失った僕は抵抗することもできず1つの部屋に案内された。
「1回休憩しようか。」
そう言って僕をベッドに座らせた。
頭がぼーっとする。
「大丈夫?奏くん?」
斗真さんが話してる…けど、ぼーっとして反応ができない。
「奏くん、大丈夫だよ。ちょっとの間ここでゆっくりしようね。」
透さんは僕の手を握ってそう言ってる。
けど、反応できずに焦点が合わないままぼーっとどこかを見つめていた。
_______________
あ、ふわふわ。
手元にくまさんのぬいぐるみがあった。
ふわふわで可愛い。
頭を撫でたり手をぴょこぴょこ動かしてみた。
「おかえり。」
透さんが僕の前にしゃがんでいた。
いつからそこにいたんだろう。全然気付かなかった。
「奏くん、大丈夫?お水飲む?」
斗真さんが紙コップに入った水を一口飲んで渡してくれた。
一口飲んだらゴクゴク喉を鳴らして全部飲み干した。喉乾いてたのかな。
「診察行ける?」
コクリ
透さんの問に頷いて答える。
さっきまでぼーっとしてたのに今は晴れている。
そうだ、診察をしにここに来たんだ。
ちゃんとしなきゃ。
「くまさんも連れて行く?」
コクリ
「じゃあ行こうか。」
左手にはくまさんを持って、右手には斗真さんと手を繋いでお部屋を出る。
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