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68、 タバコ 奏side
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今日はずっと斗真さんの膝の上で過ごしている。
なんだか離れるのが怖くて…でもくっついていたら安心する。
今まで人に安心なんて感じたことなかったのに…
人は僕を傷つけるもの…
でも斗真さんは僕を傷つけない。
まだ会って数日しか経ってないのにそう思えた。
だって、斗真さんは僕に優しくしてくれるから、
まだ僕のことを殴ったり犯したりしてないから…
絶対にしない…それはまだ分からない…
けど、まだしてない。それだけでも今までそんな人に会ったことなかったから…
だから斗真さんといたら安心できる。
「奏くん?どうしたの?眠たい?」
フルフル
斗真さんの胸に顔を擦り付けるように首を振る。
「そっか、眠たかったら寝てもいいからね。」
眠たくない…
けど、なぜか頭はぼーっとして重たい。
斗真さんの胸に顔をつけてたらいつも落ち着くのになぜか頭の中がぐるぐるする。
なんだろう…
「お部屋行こっか、」
僕を抱き上げお菓子の袋を片手に持ち僕のお布団のお部屋に入った。
「お菓子、荷物の箱に入れとくね。」
コクリ
「どうしたの?しんどい?」
フルフル
「うーん、一応熱測ろっか。」
フルフル
熱ない…測りたくない…
「測りたくない?」
「……」
「分かった。」
そう言って体温計を置いて僕の首を触る。
急に触られてびっくりしたけど、優しくさすられて強ばっていた力が抜けていく。
「うーん、熱は無いかな。どうした?肩痛い?痛み止めあるけど飲む?」
フルフル
「それも違う?うーん、」
斗真さんを困らせたいんじゃない…
でも…僕だって分かんない…
なんだか胸…頭の中?がぐるぐるして重くて…
「もやもやするの?」
もやもや?
「この辺がもやもやしたりザワザワしたりしてるの?」
胸をさすられ何となく似たような感じがする。
…コクリ
「そっか、なんか不安なことがあるのかな、」
不安…不安なんてない…
だって…斗真さんといたら安心で…
それで…それで…
「大丈夫、大丈夫、俺はここにいるよ。大丈夫、大丈夫、」
背中をさすられ、グルグルもやもやしたものがどんどん上に上がってくる。
「心は不安だったんね。いっぱい泣いたら落ち着くよ。」
また涙がボロボロ溢れてきた。
斗真さんに会ってから泣いてばっかりだ…
斗真さんは泣いても怒らないから…
『うるせぇな!黙れよ!』
あ…お父さん…
なんで怒ってるの?
僕…何悪いことしたの?
『また働かずに泣いてたの?本当役立たずね。じゃあ今日もご飯なしね。』
「いゃ…」
『当たり前でしょ!働かないお前が悪いんだろうが!』
「おかあさん、ごめんなさい…」
『うるせぇっつてんだろうが!』
「ごめんなさい…ごめんなさい…いや…いや、いやああああ゛あ゛あ゛あああああ」
火のついたタバコを頭に押し付けられ、痛みのあまり叫ぶことしかできない。
『うるせぇー!何回言ったら分かんだ!もう1回するか!』
またタバコに火を付けて髪を鷲掴みし顔の近くに近づけてくる。
ごめんなさいの声さえも怖くて出せずただタバコを見つめるしかできない。
『奏くん、起きて、奏くん、』
「奏くん!奏くん!」
ハッ
「はぁ…はぁはぁはぁ…はぁはぁ…」
「良かった。やっと起きた。大丈夫?」
斗真さん…
いつの間に寝ちゃったんだろう。
そんなことより夢で幼い頃のことを思い出して怖くて斗真さんの服を強く握る。
「大丈夫、大丈夫、怖い夢見たんだね。もう大丈夫だよ。」
パチンッ
ハッ…
斗真さんに頭を触られお父さんの手と重なって叩いてしまった。
どうしよう…
怖い…怖い…
「奏くん、大丈夫だよ。」
斗真さんは優しく笑いかけてくれてるのに僕の頭の中は一瞬で怖い一色になってしまった。
やだ…やだ…
斗真さんは何も持ってないのに…
頭が…頭が痛い!
夢の中と同じ痛みが僕の頭を襲う。
もう嫌だ…嫌だ!
床を蹴って斗真さんが距離をとる。
両手で頭を抑えて音にならない叫び声をあげる。
痛みが消えない
怖い
怖い
「奏くん、ごめんね。」
必死に距離をとっていたのに斗真さんは僕をギュッと抱きしめる。
「ごめんね、怖いよね。でも、ごめんね。」
何度も謝りながら僕が落ち着くまで抱きしめてくれた。
頭の痛みは少しずつ消えていった。
なんだか離れるのが怖くて…でもくっついていたら安心する。
今まで人に安心なんて感じたことなかったのに…
人は僕を傷つけるもの…
でも斗真さんは僕を傷つけない。
まだ会って数日しか経ってないのにそう思えた。
だって、斗真さんは僕に優しくしてくれるから、
まだ僕のことを殴ったり犯したりしてないから…
絶対にしない…それはまだ分からない…
けど、まだしてない。それだけでも今までそんな人に会ったことなかったから…
だから斗真さんといたら安心できる。
「奏くん?どうしたの?眠たい?」
フルフル
斗真さんの胸に顔を擦り付けるように首を振る。
「そっか、眠たかったら寝てもいいからね。」
眠たくない…
けど、なぜか頭はぼーっとして重たい。
斗真さんの胸に顔をつけてたらいつも落ち着くのになぜか頭の中がぐるぐるする。
なんだろう…
「お部屋行こっか、」
僕を抱き上げお菓子の袋を片手に持ち僕のお布団のお部屋に入った。
「お菓子、荷物の箱に入れとくね。」
コクリ
「どうしたの?しんどい?」
フルフル
「うーん、一応熱測ろっか。」
フルフル
熱ない…測りたくない…
「測りたくない?」
「……」
「分かった。」
そう言って体温計を置いて僕の首を触る。
急に触られてびっくりしたけど、優しくさすられて強ばっていた力が抜けていく。
「うーん、熱は無いかな。どうした?肩痛い?痛み止めあるけど飲む?」
フルフル
「それも違う?うーん、」
斗真さんを困らせたいんじゃない…
でも…僕だって分かんない…
なんだか胸…頭の中?がぐるぐるして重くて…
「もやもやするの?」
もやもや?
「この辺がもやもやしたりザワザワしたりしてるの?」
胸をさすられ何となく似たような感じがする。
…コクリ
「そっか、なんか不安なことがあるのかな、」
不安…不安なんてない…
だって…斗真さんといたら安心で…
それで…それで…
「大丈夫、大丈夫、俺はここにいるよ。大丈夫、大丈夫、」
背中をさすられ、グルグルもやもやしたものがどんどん上に上がってくる。
「心は不安だったんね。いっぱい泣いたら落ち着くよ。」
また涙がボロボロ溢れてきた。
斗真さんに会ってから泣いてばっかりだ…
斗真さんは泣いても怒らないから…
『うるせぇな!黙れよ!』
あ…お父さん…
なんで怒ってるの?
僕…何悪いことしたの?
『また働かずに泣いてたの?本当役立たずね。じゃあ今日もご飯なしね。』
「いゃ…」
『当たり前でしょ!働かないお前が悪いんだろうが!』
「おかあさん、ごめんなさい…」
『うるせぇっつてんだろうが!』
「ごめんなさい…ごめんなさい…いや…いや、いやああああ゛あ゛あ゛あああああ」
火のついたタバコを頭に押し付けられ、痛みのあまり叫ぶことしかできない。
『うるせぇー!何回言ったら分かんだ!もう1回するか!』
またタバコに火を付けて髪を鷲掴みし顔の近くに近づけてくる。
ごめんなさいの声さえも怖くて出せずただタバコを見つめるしかできない。
『奏くん、起きて、奏くん、』
「奏くん!奏くん!」
ハッ
「はぁ…はぁはぁはぁ…はぁはぁ…」
「良かった。やっと起きた。大丈夫?」
斗真さん…
いつの間に寝ちゃったんだろう。
そんなことより夢で幼い頃のことを思い出して怖くて斗真さんの服を強く握る。
「大丈夫、大丈夫、怖い夢見たんだね。もう大丈夫だよ。」
パチンッ
ハッ…
斗真さんに頭を触られお父さんの手と重なって叩いてしまった。
どうしよう…
怖い…怖い…
「奏くん、大丈夫だよ。」
斗真さんは優しく笑いかけてくれてるのに僕の頭の中は一瞬で怖い一色になってしまった。
やだ…やだ…
斗真さんは何も持ってないのに…
頭が…頭が痛い!
夢の中と同じ痛みが僕の頭を襲う。
もう嫌だ…嫌だ!
床を蹴って斗真さんが距離をとる。
両手で頭を抑えて音にならない叫び声をあげる。
痛みが消えない
怖い
怖い
「奏くん、ごめんね。」
必死に距離をとっていたのに斗真さんは僕をギュッと抱きしめる。
「ごめんね、怖いよね。でも、ごめんね。」
何度も謝りながら僕が落ち着くまで抱きしめてくれた。
頭の痛みは少しずつ消えていった。
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