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104、どこ… 奏side

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みんなとご飯食べて薬もちゃんと飲めた。

「偉いな、頑張ったね。」

斗真さんにいっぱい褒めてもらって嬉しい気持ちになった。



ここに来て今までとは真逆の生活、不安と安心の両方がある。
でも、斗真さんの近くにいられるから安心で…安心って思いたい。


プルルル…

「ちょっと電話してくる。」

あっ…

斗真さんが…行っちゃった…

電話…誰と?

どのくらいで帰ってくる?

何話してるの?

さっきまであった斗真さんの温もりがどんどん薄れていく。


なに…この気持ち…

心に穴が空いていく…

黒い心に小さな穴が…
どんどん大きくなっていく…


斗真さん…斗真さん…

ソファーにあった斗真さんの上着を手に取って顔を埋めてみる。

あ、斗真さんの匂い…


でも…足りない……
辺りを見渡しても斗真さんはいない。


涙が目に溜まっていく。

息もなんだか苦しくなってきた。

斗真さん…斗真さん…どこ…斗真さん…


「大丈夫よ。電話終わったら帰ってくるよ。」

美香さんがそばに来てくれた。
でも…斗真さんじゃないと……


ソファーを下りてリビングを出ても斗真さんは居ない。

どこ…

あ、お部屋…

2階に上がって斗真さんの部屋の前に行く。

あ、斗真さんの声

扉に耳を当てると聞こえてきた。

会いたい。
その気持ちだけで扉を開けてしまった。

電話中は邪魔しちゃダメなんてこと思い浮かびもしなかった。

「えっ」

急に入ってしまったから斗真さんは驚いた顔で僕の顔を見ている。

「あ、ちょっとごめん。すぐ戻る。」

スマホを置いて僕のところに駆け寄ってくれた。

「どうした?寂しかったのか?」

「うっ…ん……っう…」

ちゃんと話そうとするけど涙が邪魔して話せない。

眼鏡をかけた斗真さんはいつもと違う雰囲気でちょっと緊張したけど、抱き着いた時の体温や匂いがいつもの斗真さんで安心してまた涙が止まらなくなる。


電話中だから早く泣き止まなきゃ、迷惑かけちゃダメなのに
涙を止めたくて目を擦るとそっと頭を押されて胸に顔を押し付ける。

「おいで、」

ひょいと抱き上げられ斗真さんはまた机に向かった。

「今お仕事中だから静かにできる?」

コクリ

斗真さんのお仕事、

「終わったらご褒美あげるからね。」

コクリ

持ってきていた斗真さんの上着を肩にかけてその上からぎゅっと抱きしめられる。
またじんわり涙が溢れるけど嫌な涙じゃなかった。

「ごめん、待たせた。っ違うよ!」
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