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168、奏くんなりのSOS 斗真side
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まただ、
落ち着いてると思ったらいつもこうやって腕に爪を立てる。
「奏くん、痛くなるからやめようね。」
手を離そうとするけど凄い力でビクともしない。
俺の声も届かず焦点が合わずぼーっとどこかを見つめている。
「不安になったのかな?さっきまであんなに楽しそうだったのにな。」
「うん、」
透も心配そうに奏くんの様子を見る。
「んーんー、」
さっきよりも手に力が込められていく様子にたまらなくなって強く抱きしめた。
こんなので変わるかどうかは分からないけどそれでも何もせず放っておくことはできなかった。
少しずつ肩の力が抜けていくのを感じ、抱きしめる力を緩めると硬い表情のまま頬には1本の涙が伝っていた。
どうしてこうやって辛いのを心に閉じ込めてしまうんだろう。
こんなに近くにいるのにまた何もできなかったのか…
重たいため息が零れた。
「辛いな…教えてくれてありがと」
言葉では難しくてもこうやって涙や行動で伝えてくれた。
奏くんのSOSのサインを無駄にしたくない。
トン…トン…トン…トン……
ぼーっとどこかを見つめる奏くんの背中をトントン叩きながらこっちに戻ってきてくれるのをじっと待った。
絶対戻ってくる。
反応のない奏くんを見ながら何故かそう信じることができた。
「ずっとそばにいるからね。」
落ち着いてると思ったらいつもこうやって腕に爪を立てる。
「奏くん、痛くなるからやめようね。」
手を離そうとするけど凄い力でビクともしない。
俺の声も届かず焦点が合わずぼーっとどこかを見つめている。
「不安になったのかな?さっきまであんなに楽しそうだったのにな。」
「うん、」
透も心配そうに奏くんの様子を見る。
「んーんー、」
さっきよりも手に力が込められていく様子にたまらなくなって強く抱きしめた。
こんなので変わるかどうかは分からないけどそれでも何もせず放っておくことはできなかった。
少しずつ肩の力が抜けていくのを感じ、抱きしめる力を緩めると硬い表情のまま頬には1本の涙が伝っていた。
どうしてこうやって辛いのを心に閉じ込めてしまうんだろう。
こんなに近くにいるのにまた何もできなかったのか…
重たいため息が零れた。
「辛いな…教えてくれてありがと」
言葉では難しくてもこうやって涙や行動で伝えてくれた。
奏くんのSOSのサインを無駄にしたくない。
トン…トン…トン…トン……
ぼーっとどこかを見つめる奏くんの背中をトントン叩きながらこっちに戻ってきてくれるのをじっと待った。
絶対戻ってくる。
反応のない奏くんを見ながら何故かそう信じることができた。
「ずっとそばにいるからね。」
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