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335、引っかかり 斗真side

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片付けをしている奏くんの様子を見ていたら透に手招きされた。

「仲直りできて良かったな。」

「ああ、迷惑かけてごめん。」

「迷惑じゃなくて心配。」

「ああ、ごめん。」

「どうした?元気ねぇじゃん。なんか気になってんの?」

「いや…別に」

具体的に何かが気になってるわけじゃない。
ただ、何か引っかかってる気がするだけ。

「何?奏くんのこと?」

「……多分」

「多分ってなんだよ。」

「分かんないけどなんか引っかかってて、」

「何か分からんけど、今日はお前ん家行ったり思い違いで色々あっていつもよりストレスはあったと思うよ。吐き気があったのも多分ストレスが原因だろうし。」

「そうだな…ずっとストレスがあるのかな…昨晩もずっとフラッシュバックが起きて、朝は足が動かなくなって……」

「多分俺らは想像できないくらいのストレスがあるとは思う。けど、それは奏くんが乗り越えなきゃいけないストレスだから。俺らは奏くんが壊れてしまわないように支えてやるしかできないよ。」

「……忘れさせてやることはできないのかな…」

「難しいだろうな。もし忘れても一時的でまた思い出す。その方が多分辛いよ。」

「そっか……」

「まだ環境が変わって2週間も経ってないからな鮮明に覚えてるだろうよ。」

「そうだよな……」

「どうした?なんか言ってたのか?」

「……奏くんが忘れたいって言ったわけじゃないけど…話聞いててそんな辛い記憶忘れさせてやりたいなって思って…」

「奏くんの家での話?」

「うん、明日俺の家で何するかって話してて、そしたら奏くんが、お父さんとお母さんは僕で遊ぶのにどうして斗真さんは僕と遊んでくれるの?って……僕で遊ぶって多分暴力とかの虐待のことを指してるのかなって……」

「奏くんはもしかすると虐待されてた自覚がないのかもしれないね。」

「え?」

「物心ついた頃からそういう環境で育ったらそれが普通だって思っても無理はないよ。けど、現にフラッシュバックやパニックを起こしてる様子からして虐待とは思ってなくても嫌だった怖かったとは思ってるんだと思う。」

「そっか……そんな親でも奏くんはまだ好きなのかな…」

「どうだろうな。ま、俺から見るに親よりもお前との絆の方が強く見えるけどな。」

「流石に親には勝てないだろ。」

「勝たなくていいんだよ。親とは違う愛し方を見せたらいいんだよ。同じ土俵じゃなくてお前の土俵で1番になればいい。もう既に安心できる人は堂々1位だから大丈夫だ。」

「そうかな、」

「そうだよ。」
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