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【35話】食い殺す
しおりを挟むただの甘い薬でしかない。身体からは酔いが回ったように力が抜けていった。
「·····。」
気が付くとベッドに組み敷かれていた。
血色の無い唇から、先程まで自分に突き刺されていた牙が覗き見える。
真っ赤な舌が鮮血を舐め上げる。千秋の身体をゾクリとしたものが駈けていった。
「お前、もう要らねぇ」
冷たい声が響く。
初め、とても面白いものを手に入れたと思った。
けれど、構えば構うほどこのおもちゃは思い通りにならないし、不快な思いばかりさせられる。
こんなにもつまらないのなら、珍しい生身のニンゲンの血とか、そんなものはもうどうでも良かった。
こんな家畜の言動に誰でもない自分が振り回されるなど、許されるわけが無いのだ。
「ここで食い殺してやるよ」
恐ろしい言葉のはずだ。
しかし、それが媚薬の滞った身体中に響くと、たまらず熱い吐息をこぼれた。
一切の狂いなく端正な顔立ちに見下ろされる。生暖かい液体が尻を伝う感覚に気付かされた。
「······」
千秋の蕾に伸ばされた長い指は、愛液に気づくと一度手を止めた。
こちらを扇ぎ見た赤に、恥ずかしくて泣きだしてしまいそうになる。
彼の指がそこに触れると、孔の奥が熱をともし、切なく脈打ち始めた。
「グチョグチョだな」
無感情な唇は独り言のように呟く。
「あっ」
躊躇うことなく、濡れた蕾へ中指が押し込まれた。
昨日とは比にならない腹の奥の疼きだ。
千秋は自分自身わけもわからぬまま指を締め付けた。
押し込んだ中指は簡単に根元まで飲み込まれた。
襞は、きゅうきゅう吸い付き、彼を誘っているようだ。
「あ·····んぅ···♡」
切なげな喘ぎ声が、静かな部屋を卑猥に彩る。
長く凹凸のある中指がゆっくりと抜き差しされて、千秋は孔をヒクヒクさせながらさらなる刺激を求めた。
昨日、どんなにこの指を望んだかが思い出させられた。
「んなに漏らしやがって···汚ぇな」
「あぁっ·····や、·····ひぅ·····っ」
少し奥に留まった中指が上下に動かされる。
千秋の眉はたちまち物足りなさそうに下げられる。
足の先から脳内までを、一筋の微電流が駆け抜けた。
追加された薬指を合図に、身体はのけ反り、しかし射精は叶わない。
「ぁ、やだ·····っ動かさな·····っひぅ♡」
2本の指が激しく中で動き出す。
腹の奥から、甘い蜜が溢れる。
グチュグチュと響く卑猥な音に、聴覚までもが侵されるようだった。
「あっ♡ひっ···だ、めっ···あっ、あ♡」
「··········」
不意にその顔が首元へうずめられる。
そしてまもなく、先程と反対側の首筋に、熱い痛みを与えられた。
「ひ·····────っ」
身体はまたビクリと仰け反って、一層強くユランを締め付ける。
吸血されながら、奥は何度も脈打ち、角張った指を甘噛みした。
ビクビクと痙攣する孔から乱暴に指が抜かれる。
下品な濁水音が飛び散った。
「あっ·····ひっ·····♡」
チカチカと光る視界は、まるで火花がちっているようだ。
もう何が何だかわからなくて、抵抗する余地も無い千秋の喉元へ、容赦なく牙が突き立てられた。
濃度の濃い媚薬が全身を犯す。
千秋の視界は強く歪んだ。
「はっ·····吸われながら中イキかよ」
パクパクと開閉する穴から、甘く芳ばしい香りの蜜が蕩け出す。
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