海賊団に攫われた貧民〖イラストあり〗

亜依流.@.@

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〖124〗野望

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「宝だ」

「なんの?」


エドワードはふと足を早めた。
いちいち声をかけてくるのがうざったい。
シオンは小走りで着いてきた。

幻の財宝は、この海の───3つの島のどこかに眠るといわれている。
3つの島国には、それぞれ偉大な神がいる。
言い伝えの一つが、ここオルトンだ。

人間の魂を喰らい、富をもたらす。
不可思議な現象は国の中心部に眠るのせいだと云われている。

彼らが呼ぶのはエルのみ。
その証拠に今、長年かけてもやってこられなかったオルトンの中心部へ、着実に進んでいる。

伝説は本当だ。
もしかしたらこの地下に、幻の財宝が眠っているのかもしれない。

そして───もしもこの地下で財宝を見つけられたなら、リアムやリヒトではなく、この自分こそが選ばれし者だということになる。

エドワードは生唾を飲み込んだ。

エルが18になる歳、幻の財宝は深海に沈む。
そうなれば、見つけ出すのはほぼ不可能だ。
それまでに、誰よりも先に幻の財宝を見つけ出し、自分こそが優れていると認めさせるのだ。

それは長年抱く野望だった。

(そうだな·····)

念願叶った暁には、まずエルを自分専用の玩具にでもしてやろう。
そうしたらきっと、エルがリアムを見る時に感じていた不快感もなくなるはずだ。


「首輪か足枷かくらいは選ばしてやるよ」


エドワードがそう言うのと、背中に温もりを感じるのは同時だった。


「··········あ?」


腰に細い腕が巻き付けられている。
頭がおかしくなったのだろうか。振り払うと、シオンは地面にしゃがみこんだ。


「痛い·····」


ちょっと尻もちを着いたくらいで大袈裟な奴だ。


「いつまでもくたばってないで、立ちなよ」


苛立たしいが、置いていく訳にも行かないので腕を伸ばす。
首根っこを掴もうとした手に、暖かいものが密着した。
シオンの掌だった。


「エドワード、好き」


柔らかい肌が、ぎゅうと力を入れて手を握る。


「·························は????」


たっぷり数秒置いてから、やっと1文字返答する。
うわ言みたいに名前を呟き、目が合うと、シオンはへにゃりと笑った。


「好き·····」


好き、ってなんだ?
動物の鳴き声か何かか?

再度シオンを振り返る。
彼は焦がれるように、じっとこちらを見つめている。
リアムに向いていたのと同じ視線だった。


「エドワード好き」

「黙れ」


鋭く言い放つが、シオンは熱視線でこちらを見つめたままだ。
いつもなら怯えるくせに、一体なんなんだ。
理解が追いつかないエドワードは、ふと、色をました光鉱石に目をやった。


「お前·····触ったのか?」
















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