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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる

30.聖剣の傷跡

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「なんなんだよ、お前らはっ!くっつくな!」

ルーフはルイを突き飛ばしたが、ルイは気にせず再会を喜んだ。

「あははっ、すまない。つい、懐かしくてな。元気だったか?あ、葡萄酒も飲んでくれているのか!どうだ、美味いだろ?」

「けっ。まあまあだな」

ルーフが適当にあしらうと、すかさずグレイが話に入った。

「さっき、すげぇ美味いって言ってくれたじゃん。ルーフは相変わらず素直じゃないなぁ」

「そうだったのか!良かったな、グレイ」

「うん!」

グレイとルイは顔を見合わせニコニコしている。
まるで花が飛んでいるような2人の空気感に耐えられなくなったルーフは葡萄酒を一気に飲み干し、違う酒を注文した。

「…うっぜー。お前らイチャつくなら他行けよ」

「ルーフ、これから花火が始まるらしいぞ。一緒に見に行こう!」

グレイに腕を引っ張られたルーフは「だからお前ら2人で行ってイチャついてこいよ」と鬱陶しそうに手を振り払った。

そのやり取りを懐かしむような笑顔で見守っていたルイだったが、ルーフの顔を見て急に笑みが消えた。

「…おい、ルーフ。お前、その左目の傷はどうしたんだ?普通の傷じゃないよな?」

「左目の傷ー?」

ルイに指摘され、ルーフは自分の左目の周りを触った。「ああ、これか」と硬くなった傷跡がある事を思い出した。

ルーフの左の眉下と瞼の間には、以前シロの祖父であるゲイルに聖剣で斬られた傷跡が残っている。

「少し前にちょっとな。でももう治ってるし、どうって事ねぇよ」

「もしかして聖剣で斬られたのか?」

「あー、聖剣っつってたな。対魔族用の聖剣を振り回したバカがいたんだよ。でもその後、スノウとかいう聖騎士の竜人が勝手に治療しやがったからもう大丈夫だろ」

ルーフは何でもなかったかのように笑って話したが、ルイは真剣な顔で傷跡を見ている。

「…そうか。スノウなら腕がいいから問題ないと思うが、定期的に検査を受けた方がいい。対魔族用の聖剣は致命傷を与えなくても、傷口から徐々に魔力や生命力を奪っていく可能性がある。今は問題なくても数年後、数十年後に体に影響を及ぼす場合だってあるんだ」

「え、ルイ、それ本当かよ!?ルーフ大丈夫なのか?」

グレイは心配そうにルーフを見た。

「だから大丈夫だって。ったく、大袈裟なんだよ」

「大袈裟なんかじゃない。聖剣の治療は人間や魔族じゃ治療できないから、竜人聖騎士団が管理する病院でちゃんと検査を受けて…」


「それ、どういう事ですか?」

ルイがルーフを説得していると急に話に入ってきたのは、祭りから戻ってきたシロだった。シロの後ろでは、ルカとアリスも心配そうに見ている。

シロはいつも以上に真っ白い顔をして、今にも泣き出しそうな表情をしている。
どうやらルーフたちの会話を聞いていたらしい。

「…話しに割って入って、すみません。でも、その話し、僕にも詳しく聞かせてください」

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