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13.涙
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「アノンにこのプレートを探していたと聞きました。あなたのためにです。譲る事は出来ないんですが……よかったらお手に取ってご覧下さい」
まるで赤子を抱くかのように恐る恐るマイムはプレートをエミリオから受け取りじっと見つめ、その表面を指で触り、裏返すとアノンと同じように釜のマークを見ては感慨深そうに指でなぞっていた。
そしてしばらくするとマイムはエミリオの顔を見つめながら問うた。
「このプレートはあなたの叔父さまが持っておられたとアノンに聞いた。その方の名前を教えてくれないだろうか」
「シェメシュです。シェメシュ・ヴァンニ」
「……ああ」
そう答えた瞬間、マイムは突然プレートをエミリオに返し、両手で顔を覆うとそしてその場にうずくまり、嗚咽してしまった。
突然のことにエミリオとアノンは慌てる。
「マイムさん、大丈夫ですか」
声を殺しながら涙を流すマイムを近くにあった椅子に座らせ、落ち着くまで二人はその体をさすった。シェメシュの名前を聞いた途端に取り乱したマイムにエミリオはもしかして知り合いなのだろうか、と感じた。
(だとしたら何故この人の作品をシェメシュは持っていたのだろうか)
しばらくするとマイムはようやく落ち着いてきて大きなため息をつく。エミリオが水の入ったコップを手渡すと一気に飲み干した。
「取り乱してしまい申し訳ない。もう大丈夫だ」
「よかった。……あの、シェメシュを知ってるのですか」
マイムは真っ赤になった瞳でエミリオを見つめると、小さく頷いた。
「ああ。君の瞳の色はシェメシュとよく似ているよ」
そう言うと彼はポツリポツリと語り始めた。
「このプレートが対になっているのは、知っておられるかな? 実は窯にはもう一人いて、窯を開いた記念にお互いにプレートを作りプレゼントしたんだ。私は故郷のトーヴの湖をイメージした藍色のプレートを、彼は住んでいたライラの夕焼けをイメージした朱色のプレートを焼き交換してね」
「マイムさんの手元には相手が作った朱色のプレートがあるのですね。それなら、このプレートは相手の方が持っていたものですか」
マイムは小さく頷き、エミリオをみつめる。
「その相手というのが君の叔父のシェメシュなんだよ」
「えっ」
エミリオは思わず大きな声を出した。シェメシュが陶芸をしていたのも知らないし、ましてや窯を開いていたなんて。
「知らないのは無理もない。窯を開いたのは私達が二十代前半のころだったし、それに……三年で閉鎖してしまったかね」
まるで赤子を抱くかのように恐る恐るマイムはプレートをエミリオから受け取りじっと見つめ、その表面を指で触り、裏返すとアノンと同じように釜のマークを見ては感慨深そうに指でなぞっていた。
そしてしばらくするとマイムはエミリオの顔を見つめながら問うた。
「このプレートはあなたの叔父さまが持っておられたとアノンに聞いた。その方の名前を教えてくれないだろうか」
「シェメシュです。シェメシュ・ヴァンニ」
「……ああ」
そう答えた瞬間、マイムは突然プレートをエミリオに返し、両手で顔を覆うとそしてその場にうずくまり、嗚咽してしまった。
突然のことにエミリオとアノンは慌てる。
「マイムさん、大丈夫ですか」
声を殺しながら涙を流すマイムを近くにあった椅子に座らせ、落ち着くまで二人はその体をさすった。シェメシュの名前を聞いた途端に取り乱したマイムにエミリオはもしかして知り合いなのだろうか、と感じた。
(だとしたら何故この人の作品をシェメシュは持っていたのだろうか)
しばらくするとマイムはようやく落ち着いてきて大きなため息をつく。エミリオが水の入ったコップを手渡すと一気に飲み干した。
「取り乱してしまい申し訳ない。もう大丈夫だ」
「よかった。……あの、シェメシュを知ってるのですか」
マイムは真っ赤になった瞳でエミリオを見つめると、小さく頷いた。
「ああ。君の瞳の色はシェメシュとよく似ているよ」
そう言うと彼はポツリポツリと語り始めた。
「このプレートが対になっているのは、知っておられるかな? 実は窯にはもう一人いて、窯を開いた記念にお互いにプレートを作りプレゼントしたんだ。私は故郷のトーヴの湖をイメージした藍色のプレートを、彼は住んでいたライラの夕焼けをイメージした朱色のプレートを焼き交換してね」
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マイムは小さく頷き、エミリオをみつめる。
「その相手というのが君の叔父のシェメシュなんだよ」
「えっ」
エミリオは思わず大きな声を出した。シェメシュが陶芸をしていたのも知らないし、ましてや窯を開いていたなんて。
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