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24.丘の上にて
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それから数年後、とある丘の上にある墓地をアノンとエミリオは訪れた。墓標に刻まれているのはシェメシュの名前。そして隣に立つ墓にはマイムの名が刻まれていた。
プレートと再会を果たしたマイムはそれから何度もこのシェメシュの墓を訪れては、まるで二人で話をしているかのようにゆっくりとした時間を過ごすようになっていた。一人で来ることもあれば、エミリオやアノンと一緒に訪れることもあった。
時にシュメシュの昔話をしながら食事をしたりなど、家族ぐるみで過ごしながら、ある春の日にマイムは眠るように静かに亡くなった。
シェメシュの隣に墓を立てることに誰一人反対するものはおらず、きっと天国で二人ようやく結ばれているのだろうとエミリオはここに来るたびに思うのだ。
アノンとエミリオがトトを初め、いろんな人に祝福されながら結婚をしたのは昨年。トーヴのあの湖が見える湖畔の一軒家で一緒に暮らしている。
そしてエミリオは念願の店をここで開いた。店の名前は【混沌の青】。国営マーケットでの常連客たちが通ってくることもあるのだが、たまにはマーケットにも顔を出してほしいと言われ、そろそろ出店を考えている。
【混沌の青】の店内にはあの二枚のプレートが揃って飾ってある。この店を開く時に、マイムから飾ってほしいと譲り受けたのだ。
『わたしたちと君たちの物語を思い出せるように』
飾られた二枚のプレートを嬉しそうにマイムが見つめていたのを、エミリオは今でも思い出す。
二人に祈りを捧げた後、エミリオとアノンは丘から街を見下ろした。赤い夕日が街と湖を照らしている。二人はどちらからともなく手を差し出し、お互いの手を握った。
「夕食は何にしようか」
「ムニエルにしよう。いい魚が手に入った」
「昨日も野菜だったじゃないか。今日は肉がいい」
アノンの提案に口を尖らせるエミリオ。するとアノンが突然エミリオの横腹を掴みニヤリと笑う。
「昨夜ベッドで気が付いたけど、太っただろう? 少し食事制限しないと」
「う、うるさいっ」
エミリオはアノンの手を振り解き、膨れっ面になりズンズンと歩いて行ってしまう。その様子にアノンは笑い走ってその後を追っていく。その時サワサワと風が吹き、辺りの木々を優しく揺らしていった。
【了】
プレートと再会を果たしたマイムはそれから何度もこのシェメシュの墓を訪れては、まるで二人で話をしているかのようにゆっくりとした時間を過ごすようになっていた。一人で来ることもあれば、エミリオやアノンと一緒に訪れることもあった。
時にシュメシュの昔話をしながら食事をしたりなど、家族ぐるみで過ごしながら、ある春の日にマイムは眠るように静かに亡くなった。
シェメシュの隣に墓を立てることに誰一人反対するものはおらず、きっと天国で二人ようやく結ばれているのだろうとエミリオはここに来るたびに思うのだ。
アノンとエミリオがトトを初め、いろんな人に祝福されながら結婚をしたのは昨年。トーヴのあの湖が見える湖畔の一軒家で一緒に暮らしている。
そしてエミリオは念願の店をここで開いた。店の名前は【混沌の青】。国営マーケットでの常連客たちが通ってくることもあるのだが、たまにはマーケットにも顔を出してほしいと言われ、そろそろ出店を考えている。
【混沌の青】の店内にはあの二枚のプレートが揃って飾ってある。この店を開く時に、マイムから飾ってほしいと譲り受けたのだ。
『わたしたちと君たちの物語を思い出せるように』
飾られた二枚のプレートを嬉しそうにマイムが見つめていたのを、エミリオは今でも思い出す。
二人に祈りを捧げた後、エミリオとアノンは丘から街を見下ろした。赤い夕日が街と湖を照らしている。二人はどちらからともなく手を差し出し、お互いの手を握った。
「夕食は何にしようか」
「ムニエルにしよう。いい魚が手に入った」
「昨日も野菜だったじゃないか。今日は肉がいい」
アノンの提案に口を尖らせるエミリオ。するとアノンが突然エミリオの横腹を掴みニヤリと笑う。
「昨夜ベッドで気が付いたけど、太っただろう? 少し食事制限しないと」
「う、うるさいっ」
エミリオはアノンの手を振り解き、膨れっ面になりズンズンと歩いて行ってしまう。その様子にアノンは笑い走ってその後を追っていく。その時サワサワと風が吹き、辺りの木々を優しく揺らしていった。
【了】
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