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ココロハコブ【5】
しおりを挟むずっと彼女に会えないまま、目まぐるしく日常が過ぎていく。
相変わらず、彼女からのメールは淋しさなんて微塵も感じさせない程のたわいもない内容。
もしかしたら……
会いたいって思ってるのって、俺だけなのかも…
モヤモヤした気持ちを引き摺って帰宅。
部屋着に着替えて寛ぎモードでいたら、彼女からの着信。
すぐに出たい衝動を抑え、数秒我慢して間を置いてから通話ボタンを押した。
『もしもし…』
「おう、どーした?」
嬉しい気持ちをひた隠し、必死に平静を装って喋る。
『んー……別に用はないんだけどさぁ…』
「ははっ…何だよ、それ」
いつも通りの調子の彼女にホッとしながら、軽く笑ってやる。
『いや、何かね…』
急に声が小さくなる彼女。
「ん?どした?」
『あの、さ……声が…聞きたくなっちゃって…』
おいおい………その攻撃はやべーだろ。
威力、半端ねーだろ。
『最近ずっと忙しそうだったから、疲れてると思うけど…』
「………」
『こんな事言ったら、困らせるだけだって分かってるんだけど…』
あぁ……もうダメだ…
『会いーーー…』
「待った。今家か?」
痩せ我慢してたって、我慢には限界がある。
『えっ?そうだけど…』
「分かった。ちょっと待ってろよ」
『えっ?えっ?』
戸惑った様子の彼女に構わず、強制的に通話を終了。
部屋着を脱ぎ捨て、普段着に身を包んだ後は車のキーを握りしめてアパートを飛び出した。
車を運転して向かう先は、もちろん…
愛しい彼女の家。
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