ココロハコブ

江上蒼羽

文字の大きさ
6 / 7

ココロハコブ【6】

しおりを挟む


本当は会いたいくせに。

痩せ我慢をして、いつまでも駆け引きなんかしていたって現状は変わらない。

状況が変わらない事には先へは進めない。

むしろ、先へ進む道すら現れやしないんじゃないか?

相手の気持ちを試している内に、彼女との距離が近付くどころか、逆に離れていってしまいそうだ。

その事に俺はようやく気付く事が出来た。

いつだって先だって浮かんでくるのは、彼女の笑顔。

自分でも知らない内に、心の中は彼女でいっぱいになってた。

溢れんばかりの想いを抱えながら願うのは

早く彼女に会いたいという事だけ。

逸る気持ちを持て余し、ハンドルに余計な力が籠もる。

きらびやかな夜の街中を、やや速度オーバー気味に走り抜け、彼女の元へと急いだ。




車を停めて、ロックの確認。

駐車場内を全力疾走で突っ切る。

彼女のアパートの階段を一段抜かしで駆け上がった。

乱れた呼吸を軽く整えてから、インターホンを押す。




―――ピンポーーーン…



厚いドアの向こう側から「はーい」と元気な声が聞こえてきた。


「あ、れ…?」


ドアを開けた彼女は、俺を見て酷く驚いた様子で目を見開く。


「お疲れ。何だよ、その間抜け面は」

「えっと………ちょっとビックリしちゃって…」


エヘヘ、と笑う彼女の頭をポンポンと2度叩き


「上がってもいいだろ?」


返事を待たずに靴を脱いだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

王太子殿下との思い出は、泡雪のように消えていく

木風
恋愛
王太子殿下の生誕を祝う夜会。 侯爵令嬢にとって、それは一生に一度の夢。 震える手で差し出された御手を取り、ほんの数分だけ踊った奇跡。 二度目に誘われたとき、心は淡い期待に揺れる。 けれど、その瞳は一度も自分を映さなかった。 殿下の視線の先にいるのは誰よりも美しい、公爵令嬢。 「ご一緒いただき感謝します。この後も楽しんで」 優しくも残酷なその言葉に、胸の奥で夢が泡雪のように消えていくのを感じた。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」「エブリスタ」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎泡雪 / 木風 雪乃

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる

椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。 その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。 ──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。 全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。 だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。 「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」 その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。 裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。

旦那様の愛が重い

おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。 毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。 他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。 甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。 本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

真実の愛は水晶の中に

立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。 しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。 ※AIイラスト使用 ※「なろう」にも重複投稿しています。

処理中です...