4 / 5
番外編
こぼれ話——ジョギングした夜(美鈴談)
しおりを挟む
「…… 付き合う事になったんだ」
夕飯の席で、姉の鈴音が戸惑いがちに口走った一言に、私は持っていた箸をテーブルに落としてしまった。
「…… は?ごめん、絶対聞き間違えた。何て言ったの?」
「付き合う事に、なった」
「…… ん?もう一回言って?聞き取れてないかも」
「アイツと…… 日野要と、付き合う事になった!」
聞き間違えた、聞こえないと言い張れない程の大声で、姉さんが高らかに宣言した。
「な、何やってんの!ダメでしょ!」
邪魔する気は無いと日野君に言った私だが、アレは姉さんが難攻不落で絶対に今は墜とせないと思ったからの発言だ。
客商売だし、絶対に高校生とは付き合わないと思っていたのに!
「必至に好きだとか色々言われて、キスまでされて…… つい、勢いで…… 」
「どうすんの⁈ご近所さんとか商店街に知られたら、姉さん一気に事案対象だよ?ネットに晒されて、高校生を誘惑した淫乱店員だとか言われるかもよ?」
「付き合うなんて言っても、形だけで別にどうこうする気は…… 。許可しないと離してくれそうになかったからで…… 」
歯切れの悪い姉さんを前に、私は盛大に溜息をついた。
「あのね、姉さん。何度も言うけど相手は高校生なのよ?高校生って生き物はね、歩く性欲なの。歯止めが効かない生き物なの。ソレを相手にして交際OKとか、襲っていいよって言ったようなもんよ?んでも世間から責められるのは姉さんなんだから、姉さんがしっかりしないとダメじゃない!」
幼稚園の頃から同じ人を相手に片思い中の私では、姉さんと違って交際経験など無い。でも、本にはそうだって書いてあったからきっとそうなんだ。
「いや…… アイツは大丈夫だろ。まだアイツをよく知らんから、根拠は無いが」
「根拠も無しに安堵してはいけません!」
「…… はい」
「あーもう…… 。でもまぁ、もう許可しちゃったんなら撤回も出来ないよねぇ。覚悟決めて、せいぜいバレないように気を付けてとしか言えないわぁ。せめて、高校卒業するまでの数ヶ月は距離置くとかもアリかもね」
「向こうが呑まんだろ、そんな要求」
「まぁ、確かに。今めっちゃ有頂天だろうし、無理だよねぇ」
テーブルに頬杖をつき、箸でおかずをつっつく。お行儀が悪いとは思ったが、気分的に手遊びを止められなかった。
…… いいなぁ、姉さん。あの子とお付き合いするのかー。
私も…… 両思いってやつを経験したいもんだ。
「可愛い子だもんねー。姉さんからは絶対に手出ししないよう、マジで気を付けなよ?」
「当然だ!そ、そんな恐ろしい事出来るか!」
まぁ…… 姉さん淡白そうだしなぁ。姉さんは平気だろうけど、日野君はどうだかねぇ。
「お祝いの言葉は、彼の卒業式までとっておくね」
そう言った私の言葉に、姉さんが少し困り顔で頷いた。
今まであまりいい恋愛をしてこなかった姉さんが、やっと出逢った相手だ。
まだ高校生だって欠点はかなり痛いが、それは時間が解決してくれる。是非ともお二人には幸せになって欲しいもんだと、私は姉さんが作ってくれた夕飯を食べながら、しみじみと思ったのだった。
「——そういえばね、姉さん」
「んー?」
「何て返事したの?日野君に」
「『わかったから、離せ』だったな、確か」
「…… そ、そっか」
それは返事なのか?伝わったのか?日野君、付き合えたって思えて無いんじゃ?
色々気にはなかったが、似た者同士である事を願うのみに留めよう。うん。
【終わり】
夕飯の席で、姉の鈴音が戸惑いがちに口走った一言に、私は持っていた箸をテーブルに落としてしまった。
「…… は?ごめん、絶対聞き間違えた。何て言ったの?」
「付き合う事に、なった」
「…… ん?もう一回言って?聞き取れてないかも」
「アイツと…… 日野要と、付き合う事になった!」
聞き間違えた、聞こえないと言い張れない程の大声で、姉さんが高らかに宣言した。
「な、何やってんの!ダメでしょ!」
邪魔する気は無いと日野君に言った私だが、アレは姉さんが難攻不落で絶対に今は墜とせないと思ったからの発言だ。
客商売だし、絶対に高校生とは付き合わないと思っていたのに!
「必至に好きだとか色々言われて、キスまでされて…… つい、勢いで…… 」
「どうすんの⁈ご近所さんとか商店街に知られたら、姉さん一気に事案対象だよ?ネットに晒されて、高校生を誘惑した淫乱店員だとか言われるかもよ?」
「付き合うなんて言っても、形だけで別にどうこうする気は…… 。許可しないと離してくれそうになかったからで…… 」
歯切れの悪い姉さんを前に、私は盛大に溜息をついた。
「あのね、姉さん。何度も言うけど相手は高校生なのよ?高校生って生き物はね、歩く性欲なの。歯止めが効かない生き物なの。ソレを相手にして交際OKとか、襲っていいよって言ったようなもんよ?んでも世間から責められるのは姉さんなんだから、姉さんがしっかりしないとダメじゃない!」
幼稚園の頃から同じ人を相手に片思い中の私では、姉さんと違って交際経験など無い。でも、本にはそうだって書いてあったからきっとそうなんだ。
「いや…… アイツは大丈夫だろ。まだアイツをよく知らんから、根拠は無いが」
「根拠も無しに安堵してはいけません!」
「…… はい」
「あーもう…… 。でもまぁ、もう許可しちゃったんなら撤回も出来ないよねぇ。覚悟決めて、せいぜいバレないように気を付けてとしか言えないわぁ。せめて、高校卒業するまでの数ヶ月は距離置くとかもアリかもね」
「向こうが呑まんだろ、そんな要求」
「まぁ、確かに。今めっちゃ有頂天だろうし、無理だよねぇ」
テーブルに頬杖をつき、箸でおかずをつっつく。お行儀が悪いとは思ったが、気分的に手遊びを止められなかった。
…… いいなぁ、姉さん。あの子とお付き合いするのかー。
私も…… 両思いってやつを経験したいもんだ。
「可愛い子だもんねー。姉さんからは絶対に手出ししないよう、マジで気を付けなよ?」
「当然だ!そ、そんな恐ろしい事出来るか!」
まぁ…… 姉さん淡白そうだしなぁ。姉さんは平気だろうけど、日野君はどうだかねぇ。
「お祝いの言葉は、彼の卒業式までとっておくね」
そう言った私の言葉に、姉さんが少し困り顔で頷いた。
今まであまりいい恋愛をしてこなかった姉さんが、やっと出逢った相手だ。
まだ高校生だって欠点はかなり痛いが、それは時間が解決してくれる。是非ともお二人には幸せになって欲しいもんだと、私は姉さんが作ってくれた夕飯を食べながら、しみじみと思ったのだった。
「——そういえばね、姉さん」
「んー?」
「何て返事したの?日野君に」
「『わかったから、離せ』だったな、確か」
「…… そ、そっか」
それは返事なのか?伝わったのか?日野君、付き合えたって思えて無いんじゃ?
色々気にはなかったが、似た者同士である事を願うのみに留めよう。うん。
【終わり】
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる