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第一章 いざ、新天地
六
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まず涙が止まらないので、人のいない茂みを寮へ向けてひたすら走る。
「あっリュエル、グランが探してたよ」
なんということだ。木陰でラルジュと戯れていたメルと、うっかり遭遇してしまった。慌てて俯き、顔を隠す。
「何があったの!?」
メルがとても驚いたように言うので首を傾げた。
「頭の赤いの、どうしたの? 頬も切れてるし、……」
どうやら、頭突きした部分がチクチク痛いのは液体がかかっているからのようだ。頭の前で手を振って無事を伝える。
するとメルは立ち上がり、ハンカチーフを取り出した。おれは後退りして拒否を示した。なにせ自分はビリビリドカン付きなのだ。
「これで拭いた方がいいよ」
メルに何かあってはいけない。後退りしながら、頑なに首を振る。目から流れ続ける透明な雫がポロポロ飛んだ。
「リュエル…」
声から心配と不安がありありと伝わってくる。早くこの場を去るべきだろう。そうして走り出そうとしたが、いつの間にか目の前にラルジュがいて、タイミングを逃してしまった。
「何かあったときは、できるなら相手の学生証を奪い、警らのもとへ行くべきだ」
険しい声だ。おれはコクリと頷く。
ちなみに警らとは、聖武科を中心に結成された組織。彼らは学舎の治安を守るべく活動している。
「ビリビリドカン」
「っ」
「やっぱりね。今の君は刺激が強すぎる」
ラルジュはケホッと咳をして、ハンカチーフを取り出し、髪を拭ってくれた。
「飲まされたのかい?」
首を振る。
「それは幸いだったね」
それからラルジュは、おれのシャツのボタンを留めにかかった。身を案じてくれているらしい相手に抵抗するのをやめる。
するとラルジュが、コソッと囁いた。
「メルがいなかったら、君を慰めてもよかったんだけどね」
不意に顎を掴んでクイっと顔を上げられて、拍子に頬を伝う涙。
「ッ結構、だ!」
おれは後ろへ飛び退き、そのまま走った。
「リュエル、何があったんだろう。大丈夫かな」
「心配いらない。大したことじゃなさそうだ」
眉尻を下げて落としたメルに、ラルジュはいつもの微笑を浮かべて答えた。
「あの赤いのは何だったの? それに、あの声、」
「ビリビリドカン」
「え?」
「とても刺激的な調味料だよ」
綺麗な瞳からポロポロと零れていた涙は、どうやら感情的なものではないらしい。メルは少し安堵して、思い出した彼の泣き顔にうっかり頬を染めてしまった。
おれはひたすら駆ける。
「まだ、止まんねぇっ」
もう知り合いに遭遇しませんように。しかし、そんな時にかぎって、祈りは届かない。
「リュエルじゃないか」
なぜ。寮へと続く道から外れて林の中を進んでいたら、優雅なお茶会に迷いこんでしまった。
木漏れ日の下、アルシャがティーカップ片手に微笑む。傍らには、ティーポット片手にカイトが佇んでいた。アルシャの隣の椅子に座っているオルキデは、美味しそうにクッキーを食べている。
くるりと背を向けたおれの肩に置かれた手。
「君も一緒にどうですか?」
首を振り、振り返らずにそのまま行こうとした、のだが。道を塞ぐようにアルシャが目の前に立ち、軽くしゃがんで目を合わせてきた。
「リュエル、ちょっとおいで」
アルシャは有無を言わさぬ笑みを浮かべておれの手を取る。動揺しているうちに、お茶会から少し離れた木の下にいた。
「何をされたの?」
ハッとして顔を上げる。
「ボタンを閉めたことは褒めてあげる。でも、そんな顔をして一人でいるのはいただけないな」
柔らかな声は変わらないのに、どこか威圧感があった。おれは思わず後ろに下がる。木に背中がついた。そういえば、背中はもう痛くない。
「ね、どんな事をされたの?」
伸ばされた腕。目を瞑る。
衝撃はなく、目蓋を開ければ、アルシャは後ろの木に腕をついていた。
「そんな隙、僕以外の人に見せてないよね」
「当たり前だ!」と叫ぼうとして、おれは口を噤んだ。どうしてアルシャが相手だと、うまく身体が動かないのだろう。
「つらい?」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。瞳から零れ落ちた雫を指の甲で拭われて、カァッと顔が熱くなる。
「誰か来たら、オルキが教えてくれるから」
アルシャはポケットからハンカチーフを取り出して、そっと頬を拭ってくれた。おれは慌ててアルシャから距離を取る。
「僕にされるのは嫌?」
「意味、わかんねえっ」
「その声、」
アルシャがとても痛ましい顔をするので、言葉に詰まった。これ以上心配をかけたくない。おれは仕方なく口を開いた。
「……ビリビリドカン」
「っ早くこっちへ。小川があるんだ」
アルシャは再び有無を言わせない雰囲気でおれの手を取り、小川へ案内してくれた。きらきら煌めく水面。美しい清流だ。さっそく喉を潤し、目や髪を洗う。
「少しは落ち着いた?」
「……ああ」
まだハスキーボイスだが、涙は止まっていた。
ふと、アルシャが口を開く。
「方法はなんでもいい。カムナギになりたいなら、皆を虜にすればいい。その顔でみんなを誘惑する? 色香で惑わす?」
「っおれは、そんなことしねえ!」
アルシャを睨みつける。田舎ではいちゃもんをつけるきっかけにしかならなかった顔立ちだが、ここでは違うらしいことは察していた。
「妙なプライドなんて捨てておしまい。己の首を絞めるだけだよ」
アルシャの言葉は胸に突き刺さる。圧倒的な存在感を放つ彼は、偽善者ではなかった。
不意に視界が暗くなり、背中に腕が回された。抱き締められたと頭が理解した瞬間、身体が動く。
「じっとして。このままで、僕のウタに耳を澄ませて。……そのうち気持ちも落ち着くだろう」
たしかに、妙な体験をしてまだ動揺している。このまま人の多い寮のエントランスを通りたいとは思わない。グランと遭遇したくもないし――。というか、アルシャのせいで頭の混乱が増しているような。
「でも、」
アルシャはカムナギなのだ。こんな事のためにウタを紡いでほしくない。そんな思いが伝わったのか、アルシャは苦笑して小さく息を溢した。
「余計なことは考えないで、僕を感じて」
「っ耳許でしゃべるな!」
しまった。いつもより深い声にゾクリとして、思わず怒鳴ってしまった。
「ごめんごめん、君がかわいくて、つい」
「つい、じゃねえっ」
よかった、怒ってない。
「それじゃあ、紡ぐよ」
こんな体勢でウタを聞かせてもらう必要があるかは甚だ謎だが、また妙な行動に出られては困るので、大人しくしていることにした。
~~ォスヌェス~ォスヌェス…ノィエニェタェォピ~カャパ‘タァユキフゥ――
甘く細やかな声が鼓膜を震わせる。どうにも切ない旋律だ。おれは眉根を寄せて睫毛を下ろした。胸の奥がジンと痺れて、音の響きが身体の隅々まで浸透していく。アルシャと触れ合っている部分がムズムズと温かく、どこか落ち着かない。それは先ほどまでの嫌な感じとは異なり、こそばゆいような感覚だった。
「っ」
不意に髪を撫でられ、ハッと目を開けた。
ウタがまだ続いていたので、アルシャの腕を振り解きたいのを必死に我慢する。悪戯に髪を撫でる手は、おれの心をすっかりお見通しなのではないかと思う。
(これじゃ、ウタに集中できないだろ…)
そんなこんなで、先ほどまで渦巻いていた訳のわからない感情は、いつの間にかどこかへいっていたのだが。
「どうだった? 僕のウタ」
ようやく抱擁が解かれると、おれは覚束ない足取りで、俯いたまま数歩後退した。
「……」
まさかアルシャに、こんな事のためにウタを紡がせてしまうなんて。
なんとも情けなく、罪悪感が凄まじい。ラルジュに話を聞いてもらった方が、まだマシな気分だっただろう。それとも、冷静になるまで人気のないところでじっとしているべきだったかもしれない。
「なにを考えてるの?」
「……いつか、借りは、返す」
予想外だったのか、アルシャは妙な感じで目を瞬いた。それから小さく苦笑する。
「僕は役得だと思ってるけど」
「、はあ? 」
目が合うと、アルシャは悪戯な笑みを浮かべる。
「いい、なにも言うな」
おれは嫌な予感がして先手を取った。するとアルシャは肩をすくめて、ふっと息を吐く。
「それで、実際のところ、何があったんだい?」
「……大したことじゃない。売られた喧嘩を買って、ちょっとしくじって、……」
「それでビリビリドカン」
アルシャはやれやれと首を振る。
「されたのは、それだけ?」
「まぁ、」
「それで済んでよかったよ。明日、ウタを披露するんだってね」
「……ああ、うん」
すっかり忘れていた。
「楽しみにしているよ」
チラと目をやると、アルシャはいつもの柔らかな微笑を浮かべていた。
「今の君はどんな声で紡ぐんだろう。きっと多くの人を魅了するんだろうな」
さらりと左側の横髪を耳へかけられる。思いのほか近くに、アルシャがいた。
「本気でカムナギになりたいなら、できる限りのことをするんだ。いいね?」
明日はアルシャも見に来るのだろう。大勢の人が冷やかしに来るかもしれない。彼らはおれというより、“フラム家の末裔” を見に来るのだ。
父や母の顔が脳裏に浮かぶ。おれは強い眼差しでアルシャを見上げた。
「あっリュエル、グランが探してたよ」
なんということだ。木陰でラルジュと戯れていたメルと、うっかり遭遇してしまった。慌てて俯き、顔を隠す。
「何があったの!?」
メルがとても驚いたように言うので首を傾げた。
「頭の赤いの、どうしたの? 頬も切れてるし、……」
どうやら、頭突きした部分がチクチク痛いのは液体がかかっているからのようだ。頭の前で手を振って無事を伝える。
するとメルは立ち上がり、ハンカチーフを取り出した。おれは後退りして拒否を示した。なにせ自分はビリビリドカン付きなのだ。
「これで拭いた方がいいよ」
メルに何かあってはいけない。後退りしながら、頑なに首を振る。目から流れ続ける透明な雫がポロポロ飛んだ。
「リュエル…」
声から心配と不安がありありと伝わってくる。早くこの場を去るべきだろう。そうして走り出そうとしたが、いつの間にか目の前にラルジュがいて、タイミングを逃してしまった。
「何かあったときは、できるなら相手の学生証を奪い、警らのもとへ行くべきだ」
険しい声だ。おれはコクリと頷く。
ちなみに警らとは、聖武科を中心に結成された組織。彼らは学舎の治安を守るべく活動している。
「ビリビリドカン」
「っ」
「やっぱりね。今の君は刺激が強すぎる」
ラルジュはケホッと咳をして、ハンカチーフを取り出し、髪を拭ってくれた。
「飲まされたのかい?」
首を振る。
「それは幸いだったね」
それからラルジュは、おれのシャツのボタンを留めにかかった。身を案じてくれているらしい相手に抵抗するのをやめる。
するとラルジュが、コソッと囁いた。
「メルがいなかったら、君を慰めてもよかったんだけどね」
不意に顎を掴んでクイっと顔を上げられて、拍子に頬を伝う涙。
「ッ結構、だ!」
おれは後ろへ飛び退き、そのまま走った。
「リュエル、何があったんだろう。大丈夫かな」
「心配いらない。大したことじゃなさそうだ」
眉尻を下げて落としたメルに、ラルジュはいつもの微笑を浮かべて答えた。
「あの赤いのは何だったの? それに、あの声、」
「ビリビリドカン」
「え?」
「とても刺激的な調味料だよ」
綺麗な瞳からポロポロと零れていた涙は、どうやら感情的なものではないらしい。メルは少し安堵して、思い出した彼の泣き顔にうっかり頬を染めてしまった。
おれはひたすら駆ける。
「まだ、止まんねぇっ」
もう知り合いに遭遇しませんように。しかし、そんな時にかぎって、祈りは届かない。
「リュエルじゃないか」
なぜ。寮へと続く道から外れて林の中を進んでいたら、優雅なお茶会に迷いこんでしまった。
木漏れ日の下、アルシャがティーカップ片手に微笑む。傍らには、ティーポット片手にカイトが佇んでいた。アルシャの隣の椅子に座っているオルキデは、美味しそうにクッキーを食べている。
くるりと背を向けたおれの肩に置かれた手。
「君も一緒にどうですか?」
首を振り、振り返らずにそのまま行こうとした、のだが。道を塞ぐようにアルシャが目の前に立ち、軽くしゃがんで目を合わせてきた。
「リュエル、ちょっとおいで」
アルシャは有無を言わさぬ笑みを浮かべておれの手を取る。動揺しているうちに、お茶会から少し離れた木の下にいた。
「何をされたの?」
ハッとして顔を上げる。
「ボタンを閉めたことは褒めてあげる。でも、そんな顔をして一人でいるのはいただけないな」
柔らかな声は変わらないのに、どこか威圧感があった。おれは思わず後ろに下がる。木に背中がついた。そういえば、背中はもう痛くない。
「ね、どんな事をされたの?」
伸ばされた腕。目を瞑る。
衝撃はなく、目蓋を開ければ、アルシャは後ろの木に腕をついていた。
「そんな隙、僕以外の人に見せてないよね」
「当たり前だ!」と叫ぼうとして、おれは口を噤んだ。どうしてアルシャが相手だと、うまく身体が動かないのだろう。
「つらい?」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。瞳から零れ落ちた雫を指の甲で拭われて、カァッと顔が熱くなる。
「誰か来たら、オルキが教えてくれるから」
アルシャはポケットからハンカチーフを取り出して、そっと頬を拭ってくれた。おれは慌ててアルシャから距離を取る。
「僕にされるのは嫌?」
「意味、わかんねえっ」
「その声、」
アルシャがとても痛ましい顔をするので、言葉に詰まった。これ以上心配をかけたくない。おれは仕方なく口を開いた。
「……ビリビリドカン」
「っ早くこっちへ。小川があるんだ」
アルシャは再び有無を言わせない雰囲気でおれの手を取り、小川へ案内してくれた。きらきら煌めく水面。美しい清流だ。さっそく喉を潤し、目や髪を洗う。
「少しは落ち着いた?」
「……ああ」
まだハスキーボイスだが、涙は止まっていた。
ふと、アルシャが口を開く。
「方法はなんでもいい。カムナギになりたいなら、皆を虜にすればいい。その顔でみんなを誘惑する? 色香で惑わす?」
「っおれは、そんなことしねえ!」
アルシャを睨みつける。田舎ではいちゃもんをつけるきっかけにしかならなかった顔立ちだが、ここでは違うらしいことは察していた。
「妙なプライドなんて捨てておしまい。己の首を絞めるだけだよ」
アルシャの言葉は胸に突き刺さる。圧倒的な存在感を放つ彼は、偽善者ではなかった。
不意に視界が暗くなり、背中に腕が回された。抱き締められたと頭が理解した瞬間、身体が動く。
「じっとして。このままで、僕のウタに耳を澄ませて。……そのうち気持ちも落ち着くだろう」
たしかに、妙な体験をしてまだ動揺している。このまま人の多い寮のエントランスを通りたいとは思わない。グランと遭遇したくもないし――。というか、アルシャのせいで頭の混乱が増しているような。
「でも、」
アルシャはカムナギなのだ。こんな事のためにウタを紡いでほしくない。そんな思いが伝わったのか、アルシャは苦笑して小さく息を溢した。
「余計なことは考えないで、僕を感じて」
「っ耳許でしゃべるな!」
しまった。いつもより深い声にゾクリとして、思わず怒鳴ってしまった。
「ごめんごめん、君がかわいくて、つい」
「つい、じゃねえっ」
よかった、怒ってない。
「それじゃあ、紡ぐよ」
こんな体勢でウタを聞かせてもらう必要があるかは甚だ謎だが、また妙な行動に出られては困るので、大人しくしていることにした。
~~ォスヌェス~ォスヌェス…ノィエニェタェォピ~カャパ‘タァユキフゥ――
甘く細やかな声が鼓膜を震わせる。どうにも切ない旋律だ。おれは眉根を寄せて睫毛を下ろした。胸の奥がジンと痺れて、音の響きが身体の隅々まで浸透していく。アルシャと触れ合っている部分がムズムズと温かく、どこか落ち着かない。それは先ほどまでの嫌な感じとは異なり、こそばゆいような感覚だった。
「っ」
不意に髪を撫でられ、ハッと目を開けた。
ウタがまだ続いていたので、アルシャの腕を振り解きたいのを必死に我慢する。悪戯に髪を撫でる手は、おれの心をすっかりお見通しなのではないかと思う。
(これじゃ、ウタに集中できないだろ…)
そんなこんなで、先ほどまで渦巻いていた訳のわからない感情は、いつの間にかどこかへいっていたのだが。
「どうだった? 僕のウタ」
ようやく抱擁が解かれると、おれは覚束ない足取りで、俯いたまま数歩後退した。
「……」
まさかアルシャに、こんな事のためにウタを紡がせてしまうなんて。
なんとも情けなく、罪悪感が凄まじい。ラルジュに話を聞いてもらった方が、まだマシな気分だっただろう。それとも、冷静になるまで人気のないところでじっとしているべきだったかもしれない。
「なにを考えてるの?」
「……いつか、借りは、返す」
予想外だったのか、アルシャは妙な感じで目を瞬いた。それから小さく苦笑する。
「僕は役得だと思ってるけど」
「、はあ? 」
目が合うと、アルシャは悪戯な笑みを浮かべる。
「いい、なにも言うな」
おれは嫌な予感がして先手を取った。するとアルシャは肩をすくめて、ふっと息を吐く。
「それで、実際のところ、何があったんだい?」
「……大したことじゃない。売られた喧嘩を買って、ちょっとしくじって、……」
「それでビリビリドカン」
アルシャはやれやれと首を振る。
「されたのは、それだけ?」
「まぁ、」
「それで済んでよかったよ。明日、ウタを披露するんだってね」
「……ああ、うん」
すっかり忘れていた。
「楽しみにしているよ」
チラと目をやると、アルシャはいつもの柔らかな微笑を浮かべていた。
「今の君はどんな声で紡ぐんだろう。きっと多くの人を魅了するんだろうな」
さらりと左側の横髪を耳へかけられる。思いのほか近くに、アルシャがいた。
「本気でカムナギになりたいなら、できる限りのことをするんだ。いいね?」
明日はアルシャも見に来るのだろう。大勢の人が冷やかしに来るかもしれない。彼らはおれというより、“フラム家の末裔” を見に来るのだ。
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