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第2章 【異世界召喚】冒険者
第79話 サリーサ・ナイトレイ。
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サリーは元々はアグストリアの出身では無い。
アグストリアの西に位置する小国「マリエール」の小さな村の生まれだ。
マリエール国内でもせいぜい「南の農村」位の扱いだ。
税金自体もそれほど高くはなく、両親は共に農業を営みながら、細々と生活をしていた。
小国マリエールとアグストリアは友好国として、互いの国での貿易や交流が行われている。
サリーが12歳になった年に、その村に王妃とフローラが訪れていた。
表向きはアグストリアからマリエールへの訪問という事になっているが、実際は王妃の息抜きだ。
侍女を数人伴い、フローラと共に観光をしている途中だったのだ。勿論その侍女たちは並みの盗賊などより腕がたつのは言うまでもないが。
王妃はその村に一晩の滞在の許可を申し出、その村で過ごす事にした。
村としても、報酬として対価を貰える事もあった為断る理由は無かった。
滞在中に、サリーとフローラは年が近い事もあり、直ぐに打ち解けた。
それを遠目で眺めていた王妃は、サリーの両親に「娘さんを、私に……いえ、アグストリア国に侍女としてお迎えさせて頂きたいのですが」そう申し出た。
サリーの両親は跡取りが居なくなる事を危惧し、その場は本人の意思次第と濁すに留まった。
王妃はフローラと一緒に楽しそうにしているサリーを微笑みながら見守っていた。
この時既に、王妃の中では決定事項だったに違いない。
その晩、サリーと両親の前で直接サリー自身にアグストリアに来ないか。と誘いの言葉をかけた。
「私、フローラ様と王妃様に着いて行きたい!」
サリーの返事は両親からしたら頭の痛い物だっただろう。まさか自分の娘が他国に行く事になるとは。と。
だが、村からすれば、それは名誉な事に他ならない。
自分の村から、他国とはいえ、自国マリエールよりも国力の強いアグストリアに努め人として行くのだから。
元々サリーは、「このままこの村に居たら同年代の男と結婚して何となく年を取って、何となく子供を育てて、そして何となく死んでいくのだろうな」と、12歳にしては達観している。と言うよりも、全てを諦めてしまっている様な子供だった。
だから王妃の誘いに飛び付いた。村にお金も入り、自分も退屈な日常から抜け出せる。王城で働ければ、きっと今とは違う何かが見えて来るのではないか。そんな期待をしたのだ。
現在も働きに対しての給金は、勿論サリー自身にもだが、サリーの両親と村に対して支払われている。
そして現在。
偵察を行いながら、サリーは自分が侍女になった経緯を思い出しながら頬を緩めていた。
「侍女になっただけじゃ無く、まさかオーガの偵察なんてやるなんて。それもこれも、きっとあの人のせいだわ」
あのまま村に残っていたら得られなかった緊張感と責任感を感じながら、サリーは周囲を見渡していた。
ふとアオイの顔を思い出してしまったのは、不可抗力だろう。
アグストリアの西に位置する小国「マリエール」の小さな村の生まれだ。
マリエール国内でもせいぜい「南の農村」位の扱いだ。
税金自体もそれほど高くはなく、両親は共に農業を営みながら、細々と生活をしていた。
小国マリエールとアグストリアは友好国として、互いの国での貿易や交流が行われている。
サリーが12歳になった年に、その村に王妃とフローラが訪れていた。
表向きはアグストリアからマリエールへの訪問という事になっているが、実際は王妃の息抜きだ。
侍女を数人伴い、フローラと共に観光をしている途中だったのだ。勿論その侍女たちは並みの盗賊などより腕がたつのは言うまでもないが。
王妃はその村に一晩の滞在の許可を申し出、その村で過ごす事にした。
村としても、報酬として対価を貰える事もあった為断る理由は無かった。
滞在中に、サリーとフローラは年が近い事もあり、直ぐに打ち解けた。
それを遠目で眺めていた王妃は、サリーの両親に「娘さんを、私に……いえ、アグストリア国に侍女としてお迎えさせて頂きたいのですが」そう申し出た。
サリーの両親は跡取りが居なくなる事を危惧し、その場は本人の意思次第と濁すに留まった。
王妃はフローラと一緒に楽しそうにしているサリーを微笑みながら見守っていた。
この時既に、王妃の中では決定事項だったに違いない。
その晩、サリーと両親の前で直接サリー自身にアグストリアに来ないか。と誘いの言葉をかけた。
「私、フローラ様と王妃様に着いて行きたい!」
サリーの返事は両親からしたら頭の痛い物だっただろう。まさか自分の娘が他国に行く事になるとは。と。
だが、村からすれば、それは名誉な事に他ならない。
自分の村から、他国とはいえ、自国マリエールよりも国力の強いアグストリアに努め人として行くのだから。
元々サリーは、「このままこの村に居たら同年代の男と結婚して何となく年を取って、何となく子供を育てて、そして何となく死んでいくのだろうな」と、12歳にしては達観している。と言うよりも、全てを諦めてしまっている様な子供だった。
だから王妃の誘いに飛び付いた。村にお金も入り、自分も退屈な日常から抜け出せる。王城で働ければ、きっと今とは違う何かが見えて来るのではないか。そんな期待をしたのだ。
現在も働きに対しての給金は、勿論サリー自身にもだが、サリーの両親と村に対して支払われている。
そして現在。
偵察を行いながら、サリーは自分が侍女になった経緯を思い出しながら頬を緩めていた。
「侍女になっただけじゃ無く、まさかオーガの偵察なんてやるなんて。それもこれも、きっとあの人のせいだわ」
あのまま村に残っていたら得られなかった緊張感と責任感を感じながら、サリーは周囲を見渡していた。
ふとアオイの顔を思い出してしまったのは、不可抗力だろう。
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