30 / 34
登場人物について~全話読了後推奨~
『彼』
しおりを挟む
髪と瞳が深い茶色をした男性オメガの彼。
名前は漁業地域の言葉で『清い水に住む魚』を意味しています。
愛称は『魚』ですが、陸国の漁業地域の言葉(単語)の響きは実際はやや中国語に似ているため、あえてその発音通りに表記すると『ユィ』となるようです。
年齢は『熊』の3歳下で、生まれつきスラリとした細身の体格をしています。
(1人で鉱業地域の奥に暮らしていた時は重い荷を運ぶなどしていたために多少ガッチリとしていましたが、現在はそれ以上に健康的で引き締まった体つきになっているようです)
『熊の魚』同様、彼の両親は幼い頃に他所の国から漂流してやってきた2人でした。
「この国にとっては他所者だ」という意識が強かった両親は、この国に子供達を馴染ませようと必要以上に『普通』を求めていて、結果的にそれが彼の男性オメガという性の否定につながったようです。
作中にある通り、大人しい性格の姉は常に彼を心配してなんとか守ろうとしていましたが、正しくない方法でオメガの【香り】を(オメガ性を)抑えつけられた彼は結果としてほとんど無感情のような状態になり、【香り】を一切放たなくなっていました。
自身がオメガ性を損なったことに対して姉が深く悲しんだため、新しく家庭を築こうとしている姉に『いつまでも迷惑をかけるわけにはいかない』と思った彼は置き手紙だけを残して誰にも知られないように実家から1番遠く離れていた鉱業地域に行きました。
それからは物語にある通りです。
(姉や両親に関して、詳しくは『姉』『両親』の項をご覧ください)
子供の頃に何度も抑制薬を服用し、さらに発情したアルファの【香り】に似た成分を放つお香に晒され続けたため、何年も男性オメガとしての体の機能を失ってしまっていた彼。
しかし、『熊』に出逢って心からの喜びや愛おしいという気持ちを取り戻したことで3人の子供達に恵まれました。
本来のあるべき姿そのままでゆったりと暮らすことができ、彼は今では自身の幼少期の様々な辛い出来事を思い出すことはなくなっています。
完全に忘れ去っているというわけではありませんが、それらを思い出す余地がないほど良い思い出に満たされているので、きっともう過去に関する夢なども見ないでしょう。
彼は姉がその後どうなったのかと少し気にしていましたが、なにしろ陸国は広く、一度完全に本人と連絡が途絶えてしまうとなかなか近況を知れなくなってしまうため、嫁いだ先からすでに転居していると知った後は『きっとどこかで元気にしているに違いない』と思うことにしているようです。
(姉との穏やかないい思い出もあるとはいえ、実際に会ってしまうと姉や自分自身にとっての良くない記憶が掘り起こされてしまうようでもあり、むしろこのまま会わないほうが互いのためになるだろう…とさえ思っているのだとか)
彼は両親に【香り】の件で折檻される以外は漁業地域での仕事を手伝わされていたため、魚を捌くことに関しては食堂の誰よりも上手いと言えるほどの腕を持っています。
普段の彼の仕事は食堂での配膳や食材運びですが、魚類が主となる献立の日には仕込みにも参加して厨房を手伝っているそうです。
そんな彼の姿を『熊』も頼もしく思っています。
ーーーーー
子供達が寝静まった夜。
互いの今日1日をねぎらうように、彼と『熊』は自室の寝台で身を寄せ合いながら静かに言葉を交わす。
囁くようにして交わされるそれは一つ一つの言葉の素晴らしさをより一層引き立てているようで、なんとも優しく、甘い。
うっとりとするような時が流れる2人の寝台。
やがてそんなねぎらいの言葉に紛れて ちゅっ という口づけの音が混ざり始めた。
彼は流れるような自然な動きで『熊』の太ももの上に跨ると、『熊』が上衣の裾から背や腹に手のひらを滑り込ませていくのを従順に受け入れ、そのまま鼻先をくっつけて小さく笑う。
「熊ってほんとに…俺をその気にさせるのが上手いんだから」
すると『熊』も小さく笑って「違うでしょ」と反論した。
「君が僕を誘ってるんだよ。今日はもう疲れただろうからって、思ってたのに…なのに、こうやって…」
「俺が?いやいや…熊が先に誘ってきたんだろ…誘われたら…んっ……俺もその気になるって、分かってるんだもんな…」
そうしてどちらが先に誘ったのかを言い合っているうちに、いよいよ彼の上と下の衣は留め紐が解かれ、その下にある滑らかな肌がわずかに露出し始める。
衣を脱がせるのはいつも『熊』の役目だ。
『熊』が衿元を掴んだのに従って少し肩を動かすと、すぐに上衣は取り払われて彼の上半身が油灯の明かりのもとに現れた。
白く、しなやかで、スラリとした体。
胸元には美しいうなじあての飾り部分がそっと光を反射して煌めいている。
このうなじあては、今の彼が留め紐の緩んだ下衣以外で唯一身につけているものだ。
「熊…これ、熊が外してよ」
彼は『熊』の首裏に両腕を回しながらそっと自らの胸元を差し出し、意思の伝達を試みる。
『熊』の眼前にある彼の胸元。
もちろん、『熊』に彼の言いたいことが伝わらないはずがないだろう。
『熊』は微笑みながら彼の胸元に口づけ、うなじあての飾り部分を軽く食むようにして唇で触れた。
「はぁ…これ、本当に君に良く似合ってるね…素敵だよ」
満足そうに『熊』が言うと、彼はなんとも言えない優しい笑みを浮かべて「当たり前だろ?」と『熊』の頬を撫でる。
「俺の大切な番がくれたものなんだから…似合うに決まってるよ。俺達の番の証だ、俺と熊がすっごく深く愛し合ってるっていう…その証なんだ」
静かな寝台へと沁みこんでいくようなその言葉に、『熊』は堪えきれなくなって彼の唇を食みながらうなじの辺りへと手を伸ばして留め具に触れた。
どうすれば外せるか、などということはもはや見て確かめるまでもない。
すぐに留め具が外されてうなじあてを構成している首飾りとうなじ部分を覆う布が『熊』の手中に納められた。
それをそばの小机の上の定位置へ慎重に置くと、『熊』は彼の露わになったうなじ部分に触れる。
感触からして、そこにくっきりと咬み痕がついていることが分かる。
決して消えることのない番の証。
それは2人の絆の強さを物語っていると言っても過言ではない。
「熊…あんまりそこ、触られるとさ…俺…」
「我慢、できなくなるんだけど」
熱を帯びた彼の艷やかな声に、『熊』は激しく濃厚な口づけをして応えながら、今度はその手をさらに下の方へと移していった。
名前は漁業地域の言葉で『清い水に住む魚』を意味しています。
愛称は『魚』ですが、陸国の漁業地域の言葉(単語)の響きは実際はやや中国語に似ているため、あえてその発音通りに表記すると『ユィ』となるようです。
年齢は『熊』の3歳下で、生まれつきスラリとした細身の体格をしています。
(1人で鉱業地域の奥に暮らしていた時は重い荷を運ぶなどしていたために多少ガッチリとしていましたが、現在はそれ以上に健康的で引き締まった体つきになっているようです)
『熊の魚』同様、彼の両親は幼い頃に他所の国から漂流してやってきた2人でした。
「この国にとっては他所者だ」という意識が強かった両親は、この国に子供達を馴染ませようと必要以上に『普通』を求めていて、結果的にそれが彼の男性オメガという性の否定につながったようです。
作中にある通り、大人しい性格の姉は常に彼を心配してなんとか守ろうとしていましたが、正しくない方法でオメガの【香り】を(オメガ性を)抑えつけられた彼は結果としてほとんど無感情のような状態になり、【香り】を一切放たなくなっていました。
自身がオメガ性を損なったことに対して姉が深く悲しんだため、新しく家庭を築こうとしている姉に『いつまでも迷惑をかけるわけにはいかない』と思った彼は置き手紙だけを残して誰にも知られないように実家から1番遠く離れていた鉱業地域に行きました。
それからは物語にある通りです。
(姉や両親に関して、詳しくは『姉』『両親』の項をご覧ください)
子供の頃に何度も抑制薬を服用し、さらに発情したアルファの【香り】に似た成分を放つお香に晒され続けたため、何年も男性オメガとしての体の機能を失ってしまっていた彼。
しかし、『熊』に出逢って心からの喜びや愛おしいという気持ちを取り戻したことで3人の子供達に恵まれました。
本来のあるべき姿そのままでゆったりと暮らすことができ、彼は今では自身の幼少期の様々な辛い出来事を思い出すことはなくなっています。
完全に忘れ去っているというわけではありませんが、それらを思い出す余地がないほど良い思い出に満たされているので、きっともう過去に関する夢なども見ないでしょう。
彼は姉がその後どうなったのかと少し気にしていましたが、なにしろ陸国は広く、一度完全に本人と連絡が途絶えてしまうとなかなか近況を知れなくなってしまうため、嫁いだ先からすでに転居していると知った後は『きっとどこかで元気にしているに違いない』と思うことにしているようです。
(姉との穏やかないい思い出もあるとはいえ、実際に会ってしまうと姉や自分自身にとっての良くない記憶が掘り起こされてしまうようでもあり、むしろこのまま会わないほうが互いのためになるだろう…とさえ思っているのだとか)
彼は両親に【香り】の件で折檻される以外は漁業地域での仕事を手伝わされていたため、魚を捌くことに関しては食堂の誰よりも上手いと言えるほどの腕を持っています。
普段の彼の仕事は食堂での配膳や食材運びですが、魚類が主となる献立の日には仕込みにも参加して厨房を手伝っているそうです。
そんな彼の姿を『熊』も頼もしく思っています。
ーーーーー
子供達が寝静まった夜。
互いの今日1日をねぎらうように、彼と『熊』は自室の寝台で身を寄せ合いながら静かに言葉を交わす。
囁くようにして交わされるそれは一つ一つの言葉の素晴らしさをより一層引き立てているようで、なんとも優しく、甘い。
うっとりとするような時が流れる2人の寝台。
やがてそんなねぎらいの言葉に紛れて ちゅっ という口づけの音が混ざり始めた。
彼は流れるような自然な動きで『熊』の太ももの上に跨ると、『熊』が上衣の裾から背や腹に手のひらを滑り込ませていくのを従順に受け入れ、そのまま鼻先をくっつけて小さく笑う。
「熊ってほんとに…俺をその気にさせるのが上手いんだから」
すると『熊』も小さく笑って「違うでしょ」と反論した。
「君が僕を誘ってるんだよ。今日はもう疲れただろうからって、思ってたのに…なのに、こうやって…」
「俺が?いやいや…熊が先に誘ってきたんだろ…誘われたら…んっ……俺もその気になるって、分かってるんだもんな…」
そうしてどちらが先に誘ったのかを言い合っているうちに、いよいよ彼の上と下の衣は留め紐が解かれ、その下にある滑らかな肌がわずかに露出し始める。
衣を脱がせるのはいつも『熊』の役目だ。
『熊』が衿元を掴んだのに従って少し肩を動かすと、すぐに上衣は取り払われて彼の上半身が油灯の明かりのもとに現れた。
白く、しなやかで、スラリとした体。
胸元には美しいうなじあての飾り部分がそっと光を反射して煌めいている。
このうなじあては、今の彼が留め紐の緩んだ下衣以外で唯一身につけているものだ。
「熊…これ、熊が外してよ」
彼は『熊』の首裏に両腕を回しながらそっと自らの胸元を差し出し、意思の伝達を試みる。
『熊』の眼前にある彼の胸元。
もちろん、『熊』に彼の言いたいことが伝わらないはずがないだろう。
『熊』は微笑みながら彼の胸元に口づけ、うなじあての飾り部分を軽く食むようにして唇で触れた。
「はぁ…これ、本当に君に良く似合ってるね…素敵だよ」
満足そうに『熊』が言うと、彼はなんとも言えない優しい笑みを浮かべて「当たり前だろ?」と『熊』の頬を撫でる。
「俺の大切な番がくれたものなんだから…似合うに決まってるよ。俺達の番の証だ、俺と熊がすっごく深く愛し合ってるっていう…その証なんだ」
静かな寝台へと沁みこんでいくようなその言葉に、『熊』は堪えきれなくなって彼の唇を食みながらうなじの辺りへと手を伸ばして留め具に触れた。
どうすれば外せるか、などということはもはや見て確かめるまでもない。
すぐに留め具が外されてうなじあてを構成している首飾りとうなじ部分を覆う布が『熊』の手中に納められた。
それをそばの小机の上の定位置へ慎重に置くと、『熊』は彼の露わになったうなじ部分に触れる。
感触からして、そこにくっきりと咬み痕がついていることが分かる。
決して消えることのない番の証。
それは2人の絆の強さを物語っていると言っても過言ではない。
「熊…あんまりそこ、触られるとさ…俺…」
「我慢、できなくなるんだけど」
熱を帯びた彼の艷やかな声に、『熊』は激しく濃厚な口づけをして応えながら、今度はその手をさらに下の方へと移していった。
11
あなたにおすすめの小説
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
奇跡に祝福を
善奈美
BL
家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。
※不定期更新になります。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる