熊の魚〜オメガバース編〜

蓬屋 月餅

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登場人物について~全話読了後推奨~

『彼』

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 髪と瞳が深い茶色をした男性オメガの
 名前は漁業地域の言葉で『清い水に住む魚』を意味しています。
 愛称は『魚』ですが、陸国の漁業地域の言葉(単語)の響きは実際はやや中国語に似ているため、あえてその発音通りに表記すると『ユィ』となるようです。
 年齢は『熊』の3歳下で、生まれつきスラリとした細身の体格をしています。
(1人で鉱業地域の奥に暮らしていた時は重い荷を運ぶなどしていたために多少ガッチリとしていましたが、現在はそれ以上に健康的で体つきになっているようです)

 『熊の魚』同様、彼の両親は幼い頃に他所の国から漂流してやってきた2人でした。
 「この国にとっては他所者だ」という意識が強かった両親は、この国に子供達を馴染ませようと必要以上に『普通』を求めていて、結果的にそれがの男性オメガという性の否定につながったようです。
 作中にある通り、大人しい性格の姉は常にを心配してなんとか守ろうとしていましたが、でオメガの【香り】を(オメガ性を)抑えつけられた彼は結果としてほとんど無感情のような状態になり、【香り】を一切放たなくなっていました。
 自身がオメガ性を損なったことに対して姉が深く悲しんだため、新しく家庭を築こうとしている姉に『いつまでも迷惑をかけるわけにはいかない』と思ったは置き手紙だけを残して誰にも知られないように実家から1番遠く離れていた鉱業地域に行きました。
 それからは物語にある通りです。
(姉や両親に関して、詳しくは『姉』『両親』の項をご覧ください)

 子供の頃に何度も抑制薬を服用し、さらに発情したアルファの【香り】に似た成分を放つお香に晒され続けたため、何年も男性オメガとしての体の機能を失ってしまっていた
 しかし、『熊』に出逢って心からの喜びや愛おしいという気持ちを取り戻したことで3人の子供達に恵まれました。
 本来のあるべき姿そのままでゆったりと暮らすことができ、は今では自身の幼少期の様々な辛い出来事を思い出すことはなくなっています。
 完全に忘れ去っているというわけではありませんが、それらを思い出す余地がないほど良い思い出に満たされているので、きっともう過去に関する夢なども見ないでしょう。
 は姉がその後どうなったのかと少し気にしていましたが、なにしろ陸国は広く、一度完全に本人と連絡が途絶えてしまうとなかなか近況を知れなくなってしまうため、嫁いだ先からすでに転居していると知った後は『きっとどこかで元気にしているに違いない』と思うことにしているようです。
(姉との穏やかないい思い出もあるとはいえ、実際に会ってしまうと姉や自分自身にとっての良くない記憶が掘り起こされてしまうようでもあり、むしろこのまま会わないほうが互いのためになるだろう…とさえ思っているのだとか)

 は両親に【香り】の件で折檻される以外は漁業地域での仕事を手伝わされていたため、魚を捌くことに関しては食堂の誰よりも上手いと言えるほどの腕を持っています。
 普段のの仕事は食堂での配膳や食材運びですが、魚類が主となる献立の日には仕込みにも参加して厨房を手伝っているそうです。
 そんなの姿を『熊』も頼もしく思っています。


ーーーーー


 子供達が寝静まった夜。
 互いの今日1日をねぎらうように、彼と『熊』は自室の寝台で身を寄せ合いながら静かに言葉を交わす。
 囁くようにして交わされるそれは一つ一つの言葉の素晴らしさをより一層引き立てているようで、なんとも優しく、甘い。
 うっとりとするような時が流れる2人の寝台。
 やがてそんなねぎらいの言葉に紛れて ちゅっ という口づけの音が混ざり始めた。
 彼は流れるような自然な動きで『熊』の太ももの上に跨ると、『熊』が上衣の裾から背や腹に手のひらを滑り込ませていくのを従順に受け入れ、そのまま鼻先をくっつけて小さく笑う。

「熊ってほんとに…俺をにさせるのが上手いんだから」

 すると『熊』も小さく笑って「違うでしょ」と反論した。

僕を誘ってるんだよ。今日はもう疲れただろうからって、思ってたのに…なのに、こうやって…」
「俺が?いやいや…熊が先に誘ってきたんだろ…誘われたら…んっ……俺もになるって、分かってるんだもんな…」

 そうしてどちらが先に誘ったのかを言い合っているうちに、いよいよ彼の上と下の衣は留め紐が解かれ、その下にある滑らかな肌がわずかに露出し始める。
 衣を脱がせるのはいつも『熊』の役目だ。
 『熊』が衿元を掴んだのに従って少し肩を動かすと、すぐに上衣は取り払われて彼の上半身が油灯の明かりのもとに現れた。
 白く、しなやかで、スラリとした体。
 胸元には美しいの飾り部分がそっと光を反射して煌めいている。
 このは、今の彼が留め紐の緩んだ下衣以外で唯一身につけているものだ。

「熊…これ、熊が外してよ」

 彼は『熊』の首裏に両腕を回しながらそっと自らの胸元を差し出し、意思の伝達を試みる。
 『熊』の眼前にある彼の胸元。
 もちろん、『熊』に彼の言いたいことが伝わらないはずがないだろう。
 『熊』は微笑みながら彼の胸元に口づけ、の飾り部分を軽く食むようにして唇で触れた。

「はぁ…これ、本当に君に良く似合ってるね…素敵だよ」

 満足そうに『熊』が言うと、彼はなんとも言えない優しい笑みを浮かべて「当たり前だろ?」と『熊』の頬を撫でる。

「俺の大切な番がくれたものなんだから…似合うに決まってるよ。俺達のだ、俺と熊がすっごく深く愛し合ってるっていう…そのなんだ」

 静かな寝台へと沁みこんでいくようなその言葉に、『熊』は堪えきれなくなって彼の唇を食みながらうなじの辺りへと手を伸ばして留め具に触れた。
 どうすれば外せるか、などということはもはや見て確かめるまでもない。
 すぐに留め具が外されてを構成している首飾りとうなじ部分を覆う布が『熊』の手中に納められた。
 それをそばの小机の上の定位置へ慎重に置くと、『熊』は彼の露わになったうなじ部分に触れる。
 感触からして、そこにくっきりと咬み痕がついていることが分かる。
 決して消えることのない
 それは2人の絆の強さを物語っていると言っても過言ではない。

「熊…あんまりそこ、触られるとさ…俺…」

「我慢、できなくなるんだけど」

 熱を帯びた彼の艷やかな声に、『熊』は激しく濃厚な口づけをして応えながら、今度はその手をさらに下の方へと移していった。
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