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第2章
10「発情」
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それは季節が梅雨に差し掛かり、雨天が多くなってきた頃のことだった。
前回の発情から璇は5カ月、夾は3ヶ月が経とうというある日のことである。
アルファもオメガも発情が近づくにつれてごく僅かに【香り】が濃くなったりするという変化が起こるものなのだが…ついに彼らにもその日が訪れていた。
発情が始まりそうだということで軽い効き目の発情抑制薬を服用し、あらかじめそれぞれの仕事先で3日ずつの休暇を取ってきていたため、本格的に発情が始まった初日には朝から丸一日 自宅で過ごすことができるようになっていた璇と夾。
通常、発情した際はひたすら抑制薬を服用して生活するということになっているため、相手を激しく求めてしまうという発情状態を素のまま過ごすことはほとんどの人にとっては番になる瞬間が初めてのことである。
『ようやく番になれる』という期待感と『発情した自分は一体どうなってしまうのか』という不安、そしてやはり『相手と心置きなく愛を伝え合うことができる』という嬉しさ 気恥ずかしさ、愛おしさ…そんな数多の感情と共に迎えるその日は番になることがどれだけ重要なことかを理解している当人達にとっては『 楽しみでありながらもとても緊張する』という特別な一日なのだった。
ーーーーー
静かな草原の中にたたずむ一軒の家。
その2階では1人のアルファが長椅子に腰かけながらじわじわと内側から高まりつつある熱を感じていた。
このところ雨降りが続いていたわりには今日は珍しく朝から晴れていて、陽気は穏やかそのものだが、そのアルファにはそんな窓の外の風景に目を遣る余裕などは一切ない。
彼は視線を足元に落とし、両手を握りしめながら何度もごくりと喉をならしている。
発情しているこのアルファは璇である。
彼が今この瞬間を1人で過ごしているのは夾と共に『それぞれが完全に発情しきった状態で番となる瞬間を迎えることができるようにしよう』と前もって話していたからだ。なるべく【香り】が最大限高まるまで待ってから一緒になることで、不完全な発情状態で番になってしまうと後々引き起こされることになるという『咬み痕が消える現象』つまり【番解消】の可能性を限りなくゼロにしようとしていたのだ。
実際はそこまで気にせずとも【番解消】という現象はよほどのことがない限りは起こらないものなのだが、2人はどうしてもそういった事態は避けたかったので念には念をいれてそうすることにしていた。
前日までの抑制薬の効果が切れて次第に体がじわじわと熱く熱を帯びていくのを1人耐える璇。
だが階下からはすでに甘いオメガの【香り】が漂ってきていて、その我慢も限界に近くなりつつあった。
『まだもう少し待とう』
『いや、もう我慢がならない』
『…いつまで待てばいいんだ?』
やがて『まだもう少し待たなければ』という考えは『オメガが俺を呼んでいるのに…どうして俺はここでじっとしていなければならないんだ?』というようなものに変わってゆく。そしていよいよ彼は腰を上げた。
甘い花のような【香り】に誘われるまま階段を下りると、一段ずつ踏みしめるごとにその【香り】は濃さを増し、ただ呼吸をしているだけでも目眩を引き起こしそうなほどにまでなる。
「韶…」
夾が部屋のどこにいるのかは【香り】の発生源を辿ることですぐに明らかになった。
夾は寝台の上に倒れ伏していた。
すでに激しい発情の真っ只中にあったらしく、額の辺りを強く締め付けるような頭痛にさいなまれながら、苦痛に満ちた表情で丸まっていたのだ。
「韶…韶…?」
「ん…せん、さん……っ」
彼は完全な発情状態になっていた。
そもそも濃い【香り】を放つことで対となる性を誘惑しようとするのが【発情】という現象なのだが、そうなった場合に対となる性からの【香り】を感じられずにいると激しい頭痛や吐き気といった体の不調に酷く苦しめられるものなのである。
すでに夾は熱に浮かされたようになって、ほとんど声を上げることすらもできなくなっていたようだ。
「韶…頭が痛いのか?悪かった、もう大丈夫だから…な?ほら…」
「うぅ…」
「ほら、俺の【香り】だよ、分かるだろ?ゆっくり息をしてみろ、俺の【香り】に集中して…そう、ゆっくり……辛いのが治まっていくはずだから………」
同じく寝台に横になった璇は夾をしっかりと胸元に抱き寄せながら自らのアルファの【香り】を感じさせた。
互いにそれぞれの対となる【香り】を感じ合っていると、それまで胸をざわめかせていた焦燥感や締め付けるような頭痛などはすっかりどこかへと消え去り、深い安らぎによって全身が多幸感に包み込まれていく。
ゆったりと呼吸を繰り返しながらいくらか様子が落ち着いてきたのを見計らい、璇は夾に囁いた。
「こんなになるまで待ってたなんて…もっと早く呼べばよかったのに…辛かっただろ」
すると夾は小さく首を振りながら弱々しい声で答える。
「…完全に発情した状態になったところで璇さんに来てほしかったんです……不完全な状態で番になるわけにはいかないから…でも…そうしていたらどんどん辛くなってきて、声も上げられなくなって…もうどうしようもなくなって…」
「悪かった、もっと俺が早く来てたらよかったんだよな…」
「いえ…これでいいんです、これで確実に…俺達は…」
力なく微笑む夾の髪を璇は何度も繰り返し撫でる。
紅潮しきった頬、潤む瞳…それは明らかにアルファを誘惑するためのものだ。
もちろんそんな様子のオメガを前にして自制心を保っていられるアルファなどこの世に存在するはずもない。
璇は夾の唇を奪うと吐息まで甘く感じるような心地になりながら徐々にその口づけの激しさを増していった。
無遠慮に口内をあちこち動き回る舌はそれだけで全身をぞわりとさせて体の奥底から湧き上がってくる疼きを強める。
結局彼らが互いの香りを楽しむことができていたのは ほんの一瞬だけのことだった。
次の瞬間には 彼らはただ一つのことしか考えられなくなって、脇目も振らずにひたすら互いを求め始めていた。
まだまだ外は明るい。
しかしそれを気にする者はいない。
窓掛け越しに明るく柔らかな陽射しが射し込む室内で、璇は夾が着ている薄衣の上の留め紐を解いて胸元に手を滑り込ませる。
かろうじて一つ一つの手順を丁寧に踏んでいこうとする璇だが、夾の方はまだ留め紐が解かれていない下衣をも脱ごうとして足を忙しなくもぞもぞと動かすなど、居ても立ってもいられないという様子だ。
そしてついに夾は璇に馬乗りになり、首筋へと口づけの嵐を浴びせかけ始めた。
「璇さん…俺、もうおかしくなりそ…ぅっ…」
どちらもすでに下の方がはち切れそうなほど興奮していて、身に纏っているものすべてが邪魔に思えて仕方がなくなっている。
やがて自らすべての衣を脱ぎ去った夾は璇の衣にも手をかけて半ば強引に上も下も構わず脱がせると、どこに触れたらいいのか分からないというように璇の腰や尻や背を無秩序に手で擦ったりペタペタと触れるなどしてその先を促していった。
璇の肉体は白く滑らかで程よく引き締まり、筋骨隆々というほどではないにせよアルファらしい風格があって実に素晴らしい。
筋繊維の1本1本が太いのではなく、密な束になっているような感じだ。
大男というわけでもないのにどこか周囲を圧倒するような雰囲気を兼ね備えているのはそうしたことが関係しているからであるに違いない。
一見するとそこまで力強そうではないのに実際は身体能力が高いというのもアルファの特徴の1つであるところからしても、彼は本当にアルファらしいアルファだと言えるだろう。
そんな璇の一糸纏わぬ姿を目の当たりにしているのだからオメガの夾が興奮するのも尤もだ。彼はすでに『このアルファを自分だけのアルファにさせたい』『このアルファの子種が欲しい』ということで頭がいっぱいだった。
自らの秘部にも触れさせようとする夾が少し腰を浮かせた瞬間を見逃さず、璇は彼の尻の肉の間にあるひそやかなそこへと指を伸ばし、中へ触れる。
すでに愛液によって濡れそぼっているそこは まるでついさっきまで何か大きなものでも咥え込んでいたかのように思えるほど柔らかくなりきっていた。
性急な息遣いと共に聞こえてくる じゅぽじゅぽという水音…それはアルファを求めてやまない彼の体からのあからさまな主張であり、聴く者に『今すぐ抱いてしまいたい』という欲を掻き立てるものだ。
璇はさらなる濃い【香り】を求めて夾をうつ伏せにして寝台に組み敷くと、露出している彼のうなじへと鼻先を近づけた。
本能からしてそこに噛みつけば今頭の中を支配している欲求の一つが満たされることはよく理解している
「韶…咬んでいいか……」
最後の最後に残っている なけなしの理性を掻き集めて囁く璇だが、その瞳には夾のうなじ以外のものは一切映っていない。
夾は何度も頷くと四つん這いのような格好で額を枕に押しつけつつ、自らの うなじを璇の眼前へ差し出した。
「咬んで…咬んでください、璇さん…」
「力一杯咬んで痕を…俺のここに一生消えない 番の証を……」
興奮によって夾の胸は大きく上下し、それによってふわりと舞い上がった空気は璇の鼻腔に直接 夾の濃厚なうなじからの【香り】を届ける。
その【香り】に引き寄せられるように、璇は夾のうなじへと近づいていった。
「っ……!」
徐々に咬み締める力を強めていく璇。
するとまず夾のうなじから、続いて璇の全身から、五感が麻痺してしまうほどの濃い【香り】が放たれたのだった。
その【香り】の強さは凄まじく、まるで一舐めしただけでも大男を酔わせてしまう酒のような芳醇さである。
それにつられて璇からも非常に濃い【香り】が放たれる。
…夢中になってそこに咬みつき、しばらく経ってから離れてみると、確かにそこにはくっきりはっきりとした咬み痕がついていた。
これこそが番となった証である『咬み痕』だ。
興奮しきったアルファの力強さは空恐ろしいものなので噛む力も相当だが、このような状態になっているオメガにはそのように痕を残されたとしても痛みだとかは一切感じることはなく、むしろ満ち足りた気分になることが知られている。
混ざり合った【香り】に酔いしれながら『ついに自分のうなじにもアルファによって咬み痕がつけられた』『番になった』という安堵感、そして璇への愛おしい想いが溢れ出した夾は自らの胸の辺りを抱きしめている璇の腕を抱き寄せた。
どんなにくっついてもまだ互いの熱を感じ合うには足りないとさえ思える。
思いがけず涙を双眸から溢れ出させた夾はそれから間髪入れずに秘部へと猛った肉棒を挿入され、その大きさと熱さに身悶えると、ようやく始まった抽挿に身を任せて辺りを憚ることなくあけすけな喘ぎ声を響かせたのだった。
ーーーーー
発情したアルファの男根は普段のそれよりも一回り以上立派に猛々しく 凶悪と呼べるほどにまでなるものだ。
そのためそれを受け入れるオメガ側も通常通りでは怪我をしかねないのだが、オメガはそのような状態のアルファの【香り】を感じると一時的に秘部や体内を柔らかくとろけさせて受け入れようとするので、怪我の心配はないとされている。
さらに擦る動き以上に愛液をそこから絶えず溢れ出させることにより、大きなものがいくら出入りしたとしても一切の摩擦から自分自身の体内を守ることができるようになっているのだ。
留まるところを知らない透明なぬるりとした愛液は璇の動きに併せて外へと掻き出され、あらかじめ汚れることを想定して敷かれていた敷き具の上の敷物に滴り、夾の尻と璇の股をしとどに濡らしていく。
元々、夾は璇が奥深くまで届いてくるような体位を好んでいるのだが、今日ばかりはどんな体位であっても好ましいようだ。
うなじに痕を残されたときのまま背後から容赦なくごつごつと攻められていると、すぐに我慢できないほどの極上の感覚が彼の全身を駆け巡る。
激しい興奮によって夾がそう時も経たない間に絶頂の波を迎えると、ふと抽挿を止めた璇の性器はそれまでのと比較してさらに一回り、二回りも太く長く怒張し始めた。
アルファの射精が始まることをつぶさに感じ取った夾はより一層深くまで璇のそれが挿入ってこれるようにと無意識のうちに自らの腰と尻とを後ろに押し付ける。
それから間もなくして、彼の体内には璇のものである熱く煮え滾るような白濁…濃厚な精液が満ちていったのだった。
その量はいつものそれとは明らかに異なっていて、どれだけ経っても射精の勢いは止むことがない。
肉棒と多量の精液によって目一杯にまで拡げられた彼の秘部と体内は やがて体が内側から引き裂かれてしまうような激痛をもたらした。
それまで極上の夢見心地にいたにもかかわらず一瞬にして現実に引き戻された彼は、顔を伏せながらも苦悶の表情を浮かべる。
痛みの感覚にはめっぽう強い彼をしても、なかなか厳しいと感じてしまうほどの痛みだ。
「っうぅ…っ……!!」
くぐもった声を漏らしながらも1人堪え忍ぼうとする夾。
だがあまりにも強烈な痛みを味わわされたせいで彼はいつの間にか【香り】を放つのすら止めており、それによってそれまで夾の【香り】に酔わされていた璇もすっかり正気を取り戻すまでになっていた。
自らの下でぶるぶると体を震わせながら痛みを堪えようとしている自らのオメガに気付いたアルファはじっとしてなどいられないものである。
璇は夾にそれ以上の痛みを与えないようにと極めて優しく抱きしめながら「悪い…こんなことしてごめんな、韶…」と詫びつつうなじや頬や肩などいたるところに口づけていった。
「痛くさせて悪い…俺、今まですごく興奮してたみたいだ…ごめん、辛いよな……」
「璇、さん……」
「うん、俺はここにいるよ、韶…本当に…ごめんな…」
「璇さんのせいじゃ、ありません…これでいいんです、これで……璇さんとのためならこんな痛み、俺にとってはなんでもありませんから…」
「韶…」
冷や汗を額に滲ませながら途切れ途切れに話す夾はそうして話すために息をするのすら苦しそうで璇もひどく心が痛む。
しかし夾は力なく微笑むと璇に自らの腹をさすって欲しいと訴えたのだった。
一番痛むであろう腹に触れるのは璇も非常に気がひけたのだが、それで少しでも夾の気を楽にすることが出来るのならばと璇は彼の下腹部に手を伸ばす。
手のひらでそっとその辺りを包み込むと、中に挿入っている自身の男根がどこにあるのかがはっきりと分かるほどそこがふっくらとしている。璇はそこを重点的に撫でた。
もちろん璇は夾を一刻も早く痛みから助け出したいと思っている。
だが 夾の腹は今この瞬間 自身の肉棒によって形を変えられているのだ という事実が妙な興奮を掻き立ててきてもいるのも確かであり、璇はいけないと思いながらもわずかにムラムラとしだしてしまう。
…自身の邪な考えを振り切るかのように夾の腹を繰り返し撫でながら溢れ出る彼への想いを囁き、うなじにつけた自身の咬み痕や首筋、耳元などに口づける璇。
するとそれから程なくして夾は息を荒らげ、身悶え始めたのだった。
「あっ…せん、さん…イッ……イッちゃいそ、うです…おれ……っ!」
「韶…我慢せずにそのまま…もっと手伝ってやるから…」
「っ……そ、それ、だめ…だめっ…あっ…!!」
「韶……」
「~~~~~っ!!!」
璇が夾の男根を素早い手つきで扱き出すと、夾は腰と足とを痙攣したかのように激しくガクガクと震わせ、そして次の瞬間には自らの白濁を敷き具に散らしつつ絶頂した。
四肢の力をすべて失って倒れ伏した夾。
少し興奮が収まって元に戻りつつある自身の男根を夾の中から引き抜いた璇もその隣に倒れ込み、はぁはぁと肩で息をする夾の髪や体を労るように撫でる。
やがて2人はなにか言葉を交わそうとする前にいつの間にか眠ってしまっていた。
璇の男根が引き抜かれた後の夾の秘部からは多少の白濁が漏れ出したが、それは中に出されていたであろう量よりもずっと少なかったのだった。
ーーーーーー
アルファやオメガの発情というのは前述したように『対となる性を惹きつけようとする』ためのものなので、抑制薬を飲んでいる場合は数日続くのだが、逆にたっぷり対となる性の【香り】を感じればすぐに収まるものである。
しかし璇と夾の場合はそうとも限らないようだった。
彼らは番になってすぐに激しい一戦を繰り広げ、そして疲れきって眠ってしまったのにもかかわらず、少し経ってから目を覚ますと まるで発情が収まっていることを無視するかのように幾度も互いを求め、昼となく夜となく互いの身体をまさぐり合ったのだ。
どうせ休暇は丸三日も取ってあるのだから2人がそのように過ごしたとしても何ら問題はないだろう。
徐々に陽が沈んで夕焼け空になろうとも、すっかり暗くなって部屋に油灯の明かりを灯そうとも…。
それぞれ適度な休息をとりながら、璇と夾はただただ共に過ごす時間だけに集中した。
前回の発情から璇は5カ月、夾は3ヶ月が経とうというある日のことである。
アルファもオメガも発情が近づくにつれてごく僅かに【香り】が濃くなったりするという変化が起こるものなのだが…ついに彼らにもその日が訪れていた。
発情が始まりそうだということで軽い効き目の発情抑制薬を服用し、あらかじめそれぞれの仕事先で3日ずつの休暇を取ってきていたため、本格的に発情が始まった初日には朝から丸一日 自宅で過ごすことができるようになっていた璇と夾。
通常、発情した際はひたすら抑制薬を服用して生活するということになっているため、相手を激しく求めてしまうという発情状態を素のまま過ごすことはほとんどの人にとっては番になる瞬間が初めてのことである。
『ようやく番になれる』という期待感と『発情した自分は一体どうなってしまうのか』という不安、そしてやはり『相手と心置きなく愛を伝え合うことができる』という嬉しさ 気恥ずかしさ、愛おしさ…そんな数多の感情と共に迎えるその日は番になることがどれだけ重要なことかを理解している当人達にとっては『 楽しみでありながらもとても緊張する』という特別な一日なのだった。
ーーーーー
静かな草原の中にたたずむ一軒の家。
その2階では1人のアルファが長椅子に腰かけながらじわじわと内側から高まりつつある熱を感じていた。
このところ雨降りが続いていたわりには今日は珍しく朝から晴れていて、陽気は穏やかそのものだが、そのアルファにはそんな窓の外の風景に目を遣る余裕などは一切ない。
彼は視線を足元に落とし、両手を握りしめながら何度もごくりと喉をならしている。
発情しているこのアルファは璇である。
彼が今この瞬間を1人で過ごしているのは夾と共に『それぞれが完全に発情しきった状態で番となる瞬間を迎えることができるようにしよう』と前もって話していたからだ。なるべく【香り】が最大限高まるまで待ってから一緒になることで、不完全な発情状態で番になってしまうと後々引き起こされることになるという『咬み痕が消える現象』つまり【番解消】の可能性を限りなくゼロにしようとしていたのだ。
実際はそこまで気にせずとも【番解消】という現象はよほどのことがない限りは起こらないものなのだが、2人はどうしてもそういった事態は避けたかったので念には念をいれてそうすることにしていた。
前日までの抑制薬の効果が切れて次第に体がじわじわと熱く熱を帯びていくのを1人耐える璇。
だが階下からはすでに甘いオメガの【香り】が漂ってきていて、その我慢も限界に近くなりつつあった。
『まだもう少し待とう』
『いや、もう我慢がならない』
『…いつまで待てばいいんだ?』
やがて『まだもう少し待たなければ』という考えは『オメガが俺を呼んでいるのに…どうして俺はここでじっとしていなければならないんだ?』というようなものに変わってゆく。そしていよいよ彼は腰を上げた。
甘い花のような【香り】に誘われるまま階段を下りると、一段ずつ踏みしめるごとにその【香り】は濃さを増し、ただ呼吸をしているだけでも目眩を引き起こしそうなほどにまでなる。
「韶…」
夾が部屋のどこにいるのかは【香り】の発生源を辿ることですぐに明らかになった。
夾は寝台の上に倒れ伏していた。
すでに激しい発情の真っ只中にあったらしく、額の辺りを強く締め付けるような頭痛にさいなまれながら、苦痛に満ちた表情で丸まっていたのだ。
「韶…韶…?」
「ん…せん、さん……っ」
彼は完全な発情状態になっていた。
そもそも濃い【香り】を放つことで対となる性を誘惑しようとするのが【発情】という現象なのだが、そうなった場合に対となる性からの【香り】を感じられずにいると激しい頭痛や吐き気といった体の不調に酷く苦しめられるものなのである。
すでに夾は熱に浮かされたようになって、ほとんど声を上げることすらもできなくなっていたようだ。
「韶…頭が痛いのか?悪かった、もう大丈夫だから…な?ほら…」
「うぅ…」
「ほら、俺の【香り】だよ、分かるだろ?ゆっくり息をしてみろ、俺の【香り】に集中して…そう、ゆっくり……辛いのが治まっていくはずだから………」
同じく寝台に横になった璇は夾をしっかりと胸元に抱き寄せながら自らのアルファの【香り】を感じさせた。
互いにそれぞれの対となる【香り】を感じ合っていると、それまで胸をざわめかせていた焦燥感や締め付けるような頭痛などはすっかりどこかへと消え去り、深い安らぎによって全身が多幸感に包み込まれていく。
ゆったりと呼吸を繰り返しながらいくらか様子が落ち着いてきたのを見計らい、璇は夾に囁いた。
「こんなになるまで待ってたなんて…もっと早く呼べばよかったのに…辛かっただろ」
すると夾は小さく首を振りながら弱々しい声で答える。
「…完全に発情した状態になったところで璇さんに来てほしかったんです……不完全な状態で番になるわけにはいかないから…でも…そうしていたらどんどん辛くなってきて、声も上げられなくなって…もうどうしようもなくなって…」
「悪かった、もっと俺が早く来てたらよかったんだよな…」
「いえ…これでいいんです、これで確実に…俺達は…」
力なく微笑む夾の髪を璇は何度も繰り返し撫でる。
紅潮しきった頬、潤む瞳…それは明らかにアルファを誘惑するためのものだ。
もちろんそんな様子のオメガを前にして自制心を保っていられるアルファなどこの世に存在するはずもない。
璇は夾の唇を奪うと吐息まで甘く感じるような心地になりながら徐々にその口づけの激しさを増していった。
無遠慮に口内をあちこち動き回る舌はそれだけで全身をぞわりとさせて体の奥底から湧き上がってくる疼きを強める。
結局彼らが互いの香りを楽しむことができていたのは ほんの一瞬だけのことだった。
次の瞬間には 彼らはただ一つのことしか考えられなくなって、脇目も振らずにひたすら互いを求め始めていた。
まだまだ外は明るい。
しかしそれを気にする者はいない。
窓掛け越しに明るく柔らかな陽射しが射し込む室内で、璇は夾が着ている薄衣の上の留め紐を解いて胸元に手を滑り込ませる。
かろうじて一つ一つの手順を丁寧に踏んでいこうとする璇だが、夾の方はまだ留め紐が解かれていない下衣をも脱ごうとして足を忙しなくもぞもぞと動かすなど、居ても立ってもいられないという様子だ。
そしてついに夾は璇に馬乗りになり、首筋へと口づけの嵐を浴びせかけ始めた。
「璇さん…俺、もうおかしくなりそ…ぅっ…」
どちらもすでに下の方がはち切れそうなほど興奮していて、身に纏っているものすべてが邪魔に思えて仕方がなくなっている。
やがて自らすべての衣を脱ぎ去った夾は璇の衣にも手をかけて半ば強引に上も下も構わず脱がせると、どこに触れたらいいのか分からないというように璇の腰や尻や背を無秩序に手で擦ったりペタペタと触れるなどしてその先を促していった。
璇の肉体は白く滑らかで程よく引き締まり、筋骨隆々というほどではないにせよアルファらしい風格があって実に素晴らしい。
筋繊維の1本1本が太いのではなく、密な束になっているような感じだ。
大男というわけでもないのにどこか周囲を圧倒するような雰囲気を兼ね備えているのはそうしたことが関係しているからであるに違いない。
一見するとそこまで力強そうではないのに実際は身体能力が高いというのもアルファの特徴の1つであるところからしても、彼は本当にアルファらしいアルファだと言えるだろう。
そんな璇の一糸纏わぬ姿を目の当たりにしているのだからオメガの夾が興奮するのも尤もだ。彼はすでに『このアルファを自分だけのアルファにさせたい』『このアルファの子種が欲しい』ということで頭がいっぱいだった。
自らの秘部にも触れさせようとする夾が少し腰を浮かせた瞬間を見逃さず、璇は彼の尻の肉の間にあるひそやかなそこへと指を伸ばし、中へ触れる。
すでに愛液によって濡れそぼっているそこは まるでついさっきまで何か大きなものでも咥え込んでいたかのように思えるほど柔らかくなりきっていた。
性急な息遣いと共に聞こえてくる じゅぽじゅぽという水音…それはアルファを求めてやまない彼の体からのあからさまな主張であり、聴く者に『今すぐ抱いてしまいたい』という欲を掻き立てるものだ。
璇はさらなる濃い【香り】を求めて夾をうつ伏せにして寝台に組み敷くと、露出している彼のうなじへと鼻先を近づけた。
本能からしてそこに噛みつけば今頭の中を支配している欲求の一つが満たされることはよく理解している
「韶…咬んでいいか……」
最後の最後に残っている なけなしの理性を掻き集めて囁く璇だが、その瞳には夾のうなじ以外のものは一切映っていない。
夾は何度も頷くと四つん這いのような格好で額を枕に押しつけつつ、自らの うなじを璇の眼前へ差し出した。
「咬んで…咬んでください、璇さん…」
「力一杯咬んで痕を…俺のここに一生消えない 番の証を……」
興奮によって夾の胸は大きく上下し、それによってふわりと舞い上がった空気は璇の鼻腔に直接 夾の濃厚なうなじからの【香り】を届ける。
その【香り】に引き寄せられるように、璇は夾のうなじへと近づいていった。
「っ……!」
徐々に咬み締める力を強めていく璇。
するとまず夾のうなじから、続いて璇の全身から、五感が麻痺してしまうほどの濃い【香り】が放たれたのだった。
その【香り】の強さは凄まじく、まるで一舐めしただけでも大男を酔わせてしまう酒のような芳醇さである。
それにつられて璇からも非常に濃い【香り】が放たれる。
…夢中になってそこに咬みつき、しばらく経ってから離れてみると、確かにそこにはくっきりはっきりとした咬み痕がついていた。
これこそが番となった証である『咬み痕』だ。
興奮しきったアルファの力強さは空恐ろしいものなので噛む力も相当だが、このような状態になっているオメガにはそのように痕を残されたとしても痛みだとかは一切感じることはなく、むしろ満ち足りた気分になることが知られている。
混ざり合った【香り】に酔いしれながら『ついに自分のうなじにもアルファによって咬み痕がつけられた』『番になった』という安堵感、そして璇への愛おしい想いが溢れ出した夾は自らの胸の辺りを抱きしめている璇の腕を抱き寄せた。
どんなにくっついてもまだ互いの熱を感じ合うには足りないとさえ思える。
思いがけず涙を双眸から溢れ出させた夾はそれから間髪入れずに秘部へと猛った肉棒を挿入され、その大きさと熱さに身悶えると、ようやく始まった抽挿に身を任せて辺りを憚ることなくあけすけな喘ぎ声を響かせたのだった。
ーーーーー
発情したアルファの男根は普段のそれよりも一回り以上立派に猛々しく 凶悪と呼べるほどにまでなるものだ。
そのためそれを受け入れるオメガ側も通常通りでは怪我をしかねないのだが、オメガはそのような状態のアルファの【香り】を感じると一時的に秘部や体内を柔らかくとろけさせて受け入れようとするので、怪我の心配はないとされている。
さらに擦る動き以上に愛液をそこから絶えず溢れ出させることにより、大きなものがいくら出入りしたとしても一切の摩擦から自分自身の体内を守ることができるようになっているのだ。
留まるところを知らない透明なぬるりとした愛液は璇の動きに併せて外へと掻き出され、あらかじめ汚れることを想定して敷かれていた敷き具の上の敷物に滴り、夾の尻と璇の股をしとどに濡らしていく。
元々、夾は璇が奥深くまで届いてくるような体位を好んでいるのだが、今日ばかりはどんな体位であっても好ましいようだ。
うなじに痕を残されたときのまま背後から容赦なくごつごつと攻められていると、すぐに我慢できないほどの極上の感覚が彼の全身を駆け巡る。
激しい興奮によって夾がそう時も経たない間に絶頂の波を迎えると、ふと抽挿を止めた璇の性器はそれまでのと比較してさらに一回り、二回りも太く長く怒張し始めた。
アルファの射精が始まることをつぶさに感じ取った夾はより一層深くまで璇のそれが挿入ってこれるようにと無意識のうちに自らの腰と尻とを後ろに押し付ける。
それから間もなくして、彼の体内には璇のものである熱く煮え滾るような白濁…濃厚な精液が満ちていったのだった。
その量はいつものそれとは明らかに異なっていて、どれだけ経っても射精の勢いは止むことがない。
肉棒と多量の精液によって目一杯にまで拡げられた彼の秘部と体内は やがて体が内側から引き裂かれてしまうような激痛をもたらした。
それまで極上の夢見心地にいたにもかかわらず一瞬にして現実に引き戻された彼は、顔を伏せながらも苦悶の表情を浮かべる。
痛みの感覚にはめっぽう強い彼をしても、なかなか厳しいと感じてしまうほどの痛みだ。
「っうぅ…っ……!!」
くぐもった声を漏らしながらも1人堪え忍ぼうとする夾。
だがあまりにも強烈な痛みを味わわされたせいで彼はいつの間にか【香り】を放つのすら止めており、それによってそれまで夾の【香り】に酔わされていた璇もすっかり正気を取り戻すまでになっていた。
自らの下でぶるぶると体を震わせながら痛みを堪えようとしている自らのオメガに気付いたアルファはじっとしてなどいられないものである。
璇は夾にそれ以上の痛みを与えないようにと極めて優しく抱きしめながら「悪い…こんなことしてごめんな、韶…」と詫びつつうなじや頬や肩などいたるところに口づけていった。
「痛くさせて悪い…俺、今まですごく興奮してたみたいだ…ごめん、辛いよな……」
「璇、さん……」
「うん、俺はここにいるよ、韶…本当に…ごめんな…」
「璇さんのせいじゃ、ありません…これでいいんです、これで……璇さんとのためならこんな痛み、俺にとってはなんでもありませんから…」
「韶…」
冷や汗を額に滲ませながら途切れ途切れに話す夾はそうして話すために息をするのすら苦しそうで璇もひどく心が痛む。
しかし夾は力なく微笑むと璇に自らの腹をさすって欲しいと訴えたのだった。
一番痛むであろう腹に触れるのは璇も非常に気がひけたのだが、それで少しでも夾の気を楽にすることが出来るのならばと璇は彼の下腹部に手を伸ばす。
手のひらでそっとその辺りを包み込むと、中に挿入っている自身の男根がどこにあるのかがはっきりと分かるほどそこがふっくらとしている。璇はそこを重点的に撫でた。
もちろん璇は夾を一刻も早く痛みから助け出したいと思っている。
だが 夾の腹は今この瞬間 自身の肉棒によって形を変えられているのだ という事実が妙な興奮を掻き立ててきてもいるのも確かであり、璇はいけないと思いながらもわずかにムラムラとしだしてしまう。
…自身の邪な考えを振り切るかのように夾の腹を繰り返し撫でながら溢れ出る彼への想いを囁き、うなじにつけた自身の咬み痕や首筋、耳元などに口づける璇。
するとそれから程なくして夾は息を荒らげ、身悶え始めたのだった。
「あっ…せん、さん…イッ……イッちゃいそ、うです…おれ……っ!」
「韶…我慢せずにそのまま…もっと手伝ってやるから…」
「っ……そ、それ、だめ…だめっ…あっ…!!」
「韶……」
「~~~~~っ!!!」
璇が夾の男根を素早い手つきで扱き出すと、夾は腰と足とを痙攣したかのように激しくガクガクと震わせ、そして次の瞬間には自らの白濁を敷き具に散らしつつ絶頂した。
四肢の力をすべて失って倒れ伏した夾。
少し興奮が収まって元に戻りつつある自身の男根を夾の中から引き抜いた璇もその隣に倒れ込み、はぁはぁと肩で息をする夾の髪や体を労るように撫でる。
やがて2人はなにか言葉を交わそうとする前にいつの間にか眠ってしまっていた。
璇の男根が引き抜かれた後の夾の秘部からは多少の白濁が漏れ出したが、それは中に出されていたであろう量よりもずっと少なかったのだった。
ーーーーーー
アルファやオメガの発情というのは前述したように『対となる性を惹きつけようとする』ためのものなので、抑制薬を飲んでいる場合は数日続くのだが、逆にたっぷり対となる性の【香り】を感じればすぐに収まるものである。
しかし璇と夾の場合はそうとも限らないようだった。
彼らは番になってすぐに激しい一戦を繰り広げ、そして疲れきって眠ってしまったのにもかかわらず、少し経ってから目を覚ますと まるで発情が収まっていることを無視するかのように幾度も互いを求め、昼となく夜となく互いの身体をまさぐり合ったのだ。
どうせ休暇は丸三日も取ってあるのだから2人がそのように過ごしたとしても何ら問題はないだろう。
徐々に陽が沈んで夕焼け空になろうとも、すっかり暗くなって部屋に油灯の明かりを灯そうとも…。
それぞれ適度な休息をとりながら、璇と夾はただただ共に過ごす時間だけに集中した。
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