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第二章 凰雅side 11

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朝になってスマホのアラームがなっている。
眠っていたようで頭の中が段々と確かになっていく。
毎朝セットしているアラームを止めようとスマホを手に取ると結からメッセージがきていた。
自分の目を疑いながら凄まじい勢いで体を起こしメッセージを読む。

“やっぱりお付き合いは出来ません。将来お見合い結婚するので。”

...たったこれだけ。
あれだけ送ったメールにこれだけ。
それでも今の俺の灰色の世界を見違えるほど色付いたものに変えてしまった。

....身震いする。
これだ。絶対に間違えない方法。

まだ結の世界に俺が居た。

やってやろうじゃねぇか 結。
今度こそお前を手に入れる。絶対に。

あの調子じゃあ誰かとつき合うなんて考えないと思うけど やっぱ念の為。
メールしておこう。


”じゃあそれまで絶体彼氏作るなよ。“


愛してる 結。
いい子で待ってろよ。

必ず間違わないでお前を迎える準備をするから。

その日学校に連絡した。話があって学校に出向きたいと申し入れたが自宅待機なので親が代わりに来るよう言われた。母親に頭を下げて学校に行ってもらい まず多額の寄付を申し出て今回の事の反省文を自発的に提出した。
寄付は迷惑料で。実際迷惑をかけたしな。まあ若気の至りと思いたい。それに結の見合い相手に名乗り出るのになるべく清廉な身で居たい。汚点をつける訳にいかねえからな。...まあ多少はもうついてるか。

両親に今回の事で協力して貰うにあたって説明せずには済まず簡単な経緯と俺が結とのお見合いを企んでいる事を告げた。
ただでさえ 俺に頭を下げられて驚いていたのに 改まって頼み事までしてくる俺に両親は信じられない面持ちで見つめている。

「...呆れた。そんな事考えてるの」

そう言う母親に対して父親は面白そうに笑った。

「そんなに惚れてるのか?」
「...あいつを逃したら一生結婚はない」

父親はふと何かに気がついたようだった。

「...お前 いつから...」
「ずっとだよ。その為に頑張ってきた」

格好つけてる場合じゃなくてみっともなくても絶対にやらねえと後がなくて。
見合いなら何としても親の協力が欲しかった。
父親は目を見開いた後 ニヤリと笑った。
ああ俺もいつもあんな嫌みな顔して笑ってるんだろうな。

「面白い 凰雅がそこまで想う女の子か。協力要請するんなら俺とさえが恥かく様なことするな。そうなったらその時はもう俺らは降りるぞ」
「約束する。もう女はいらねえし結に釣り合うように真面目にやる。勿論親に心配かけるようなガキ臭いことももうねえよ」
「...そうか。けど精々嫌われねえようにな。出来る事は協力してやる。まあ頑張れ」
「待って。凰雅 どんな子なの?」
「..真面目。俺とは違うな」

結の事を色々聞かれまだ何か言おうとする母親に父親がとろっとろの声で言う。 

「さーえ おいで。まあいいじゃねえか」

途中で邪魔された母親は面白くなさそうにいなそうとするけど 父親は笑いながらいつものように嬉しそうな顔で 腕を伸ばして抱き寄せて軽くキスしていた。
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