完璧なお見合い結婚〈完全完結〉9/12完全完結しました!

ココ

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高校生 神のまにまに

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「はい。今日はここまで。次までにまた練習してきて。」


通い慣れた週一回のピアノ教室での帰り 難しい練習曲が巧くいって一人ほくそ笑みながら歩いていると ファストフード店の期間限定シェイクが今日までの販売と唱っているポスターが目に入った。

コマーシャルで美味しそうだなあ と見ていたので いつになく心が動かされた。
数回利用した事は有るけれど 一人でファストフード店に入った事のない私は ある意味敷居が高くていつもは素通りする。

でも 今日の私は少し浮き足立ってたと思う。



拓也君は生徒会だし
お父様とお母様 今日は遅くなるって言ってたよね....



少し迷ったけれど ピアノ効果で大概の事は出来る子気分でお店に入った。
入った事はあったので ちゃんと購入して隅の席に座る。

一連の行動をスムーズに行った事に満足して にやけてしまう頬をどうにか引き締めながらストローで吸ってみると思ってた以上に美味しくて。


今日の自分に満足しながら ふと外を見ると ビルとビルの細い隙間からちょうど角度が合ったのか 奇跡的に夕日がきれいに差し込んでいる。


思わず「わあ...」という声が自然にもれ 見とれていた。
何ていうか 神様の後光のような夕日で..

逆光になっていて周りの色んなものが光で見えない。
それも段々 時間と共に夕日の角度が変わり周りも見え始め
その中に人の影が一つ浮かび上がり 驚きながらも現実感がなくてじっと見据えた。

徐々にはっきりしていくその影は とても綺麗なフォルムで 神々しくさえもあり思わず手を伸ばす。
すると ガラス越しに向こうも同じ動作をした。

暫し 無言でガラスを挟み 手の指を絡めたような感覚で静止して

逆光の中でその人の目が見えた。
何かを探している 鋭く綺麗な目。

ガラス越しなのに指を絡めたような感覚は熱をおび 繋がっているような溶け合っているような...。


周りの時間は止まり 二人だけの時間が流れる。

あり得ない状況に気が付くまでどれぐらいあったのか。

はっと して周りを見渡すと急に店内の色んな音や声が聞こえ始めた。
狼狽えてガラスから手を離し 席を立つ。


どうしてあんな事したんだろう。心臓がバクバクしている。


もう外を見る勇気は無くなって急いで店内から出て行った。






最後まで逆光で はっきりは見えなかったけど 凄く目がきれいで何かを探している目だった。

あんな瞳は初めて見た。
多分 男のひと。

もう二度と会わないだろうけど。 

...会えないだろうけど。

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