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そのろく

そのろく-3

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パーティーの後、あたしは約束の場所へ向かった。

東京にいる友達と会う約束。

電車に乗ると迷うから、約束の店まではタクシー。

約束してるのは、漫画家の加州木くん。

前から漫画のファンで、あたしの本の表紙画をお願いした縁で、年も同じな事もあって仲良くなった。

会う事は、尊には話しておいた。

尊は嫌な顔してたけど、尊に会う前からの友達だし、たまにしか会えないし。

絶対、酒飲まない。

と、言う条件付けて渋々。

会っても良いよ。

て尊は言った。

て、ゆーかさ。

なんで、飲んだらいかんの?

いつも不思議に思うんやけどさ。

ま、いーけど。

店に入ると、今日は個室を予約してあるらしく、店の奥に通された。

個室の襖を開けると。

「おう、二宮。久しぶりぃ!」

加州木くんが笑って言った。

でも、部屋にはもう一人、男の人。

「どーも」

って、軽く手を振ったその人は。

「え?ええええ!?とっ冬馬くんーーー!?」

あたしは、腰が抜けるほどびっくり。

「どーも。俳優やってます、桂木冬馬でーす」

げ、げげげいのうじんだっ!! 

実は、加州木くんと冬馬くんは同級生で、それを聞いたあたしが。

「芸能人に一回会わせろ!!」

とか言ってたんやけどさ。

まさか、今日いるとは。

「なんか、ロケ潰れて暇んなったつーから、呼んだ」

うわあ!先に言えよお!!

個室なんか取って、おかしいと思ったんだよ。

「あ、どうも。作家やってます、天海です」

緊張しながら、加州木くんの隣に座った。

「二宮、何飲む?」

「あ、あたしウーロン茶」

「は?酒飲まねぇの?」

「や、ちょっと風邪気味で」

彼氏に止められてるから、とは恥ずかしくて言えん。

「飲まねーのかよぉ」

そう言いながら、加州木くんはウーロン茶を頼んでくれた。

「二宮、て本名?」

「あ、そう。二宮みのり」

冬馬くんに聞かれて、ドキドキのあたし。

やっぱ、冬馬くんってモデル出身だけあって、綺麗な顔してる。

尊も凄く綺麗な顔やけど、冬馬くんの方が男っぽい顔やな。

「ふーん。じゃ、まあ、よろしくな。二宮」

冬馬くんが、グラス持ち上げる。

冬馬くんは、テレビとかで観るときはイケメン俳優だし、なにやってもかっこいい人だと思ってたし。

でも、想像してたのと違って、話面白いしよく笑っていっぱいしゃべるし。

会って、一時間もした頃には、すっかり仲良くなった。

あたしは、多分その時、浮かれてて。

冬馬くんとの出会いが、あたしをまた失敗させるなんて。

考えもしなかった。
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