You Could Be Mine 【改訂版】

てらだりょう

文字の大きさ
79 / 160
そのじゅういち

そのじゅういち-10

しおりを挟む
吉乃ちゃんが、来る。

尊のベッドでうとうとしてたら、携帯が鳴った。

あー。吉乃ちゃんだ。

ディスプレイの表示を見て、普通に思った。

「んー…」

尊が眼を覚ます。

しまったな。眠ってる時ならリビングで出るけど。

尊が起きてる時に尊から離れて電話すると、誰から?とか、なんの話?とか聞いてくるから鬱陶しい。

「鳴ってるよ、電話」

わかっとるわい。

尊は、あたしの事全部を知っておかんと気がすまんらしい。

ま、隠し事して怒らせた過去もあるしな。

「もしもーし。吉乃ちゃん?」

名前を聞いて、尊の眉毛がピクッとした。

『みのりーん!元気?』

「元気だよお。どうしたの?」

『今日の夜ご飯食べに行こーっ!』

は?今日の?

「なっ、なんで!?吉乃ちゃん、こっち来てんの!?」

尊の顔が険しくなる。

『明日から展示会あるから前乗りで夕方の便で着くよ!』

吉乃ちゃんは、着物デザイナー。

この時期は全国を展示会で回ってる。

「来るなら早く教えてくれれば良いのに」

『うふふー。みのりん、びっくりさせようと思って。夜、大丈夫?』

少し考えた。

まあ、原稿は順調なんでご飯食べに行く余裕はある。

「いいよお。大丈夫」

『じゃ、着いたらまた電話するねえ』

「わかったあ。じゃあね」

電話を切って尊さんを見ると。

「吉乃さん来るの?」

不機嫌でらっしゃる。

「うん。夜一緒にご飯食べるん」

「…みのりさん」

なんですか。その顔は。

浮気しに行くワケやないやろが。

「吉乃ちゃんは女の子だよ」

一応はね。

「…そうだけど。あの人、危ない気がする」

尊センサーに引っ掛かったか。さすが。

「どこに行くの」

「まだ決めてないよ」

尊はあたしの両手を掴んで。

「行き先、ちゃんとメールするんだよ?あの人には気をつけるんだよ!?」

真剣な顔で、言った。




「みのりーん!」

吉乃ちゃんが両手でガシッと、あたしに抱きつく。

某百貨店のライオンの前。

別に女同士やから、尊にやられるほど恥ずかしくはない。

空港まで迎えに行こうか?と言ったら。

みのりんと飲みたいから車やない方が良いわ

と吉乃ちゃんが言うのでライオンさん前で待ち合わせになった。

ホントは涼香逹も誘おうと思ったけど。

「みのりんと遊びたいから。涼香逹はまた今度で良いよ」

吉乃ちゃんが言った。

よくよく考えると、学生時代から吉乃ちゃんと二人きりで遊んだ事、無い。

いつも、涼香とかが一緒やった。

吉乃ちゃんは女好きやけど。

あたしに彼氏いるのもわかってるし。

あたしからすると純粋に友達やし。

襲われるような事は、まあ、無いだろう。

と、思う。

吉乃ちゃんが久しぶりに水炊きが食べたい、と言うから鳥やに行った。

ここで尊にメッセージ。

今、鳥やにいます。

尊から返信。

わかった。移動する時また教えて。

そのうち、本気でGPS付けられんじゃないか、あたし?

さて。鳥やで吉乃ちゃんとお食事。

おばちゃんが、サービスとか言って越乃寒梅をつけてくれた。

おお。さすがに大吟醸。

うめえな。

吉乃ちゃんと昔話が弾んで楽しくなった。

「ねえ、みのりん」

「なにぃ?」

「この後、もう一軒行こう?」

吉乃ちゃんがこっちにいた時の行き付けのバーらしい。

「いーよお」

すっかりたのしくなったから、もうちょっとのみたくなった。

よしのちゃんにつれていかれながら、たけるにめっせーじした。

ビアンカてお店に行きます。

へんしん、ない。

おきゃくさんはいったんやろな。

「ここだよ!」

よしのちゃんにつれてかれたとこは。

おきゃくさん、おんなのひとばっかり。

おとこっぽいかっこしたひともいるけど。

あれえ?

ふつうのばーじゃ。

ないのかなあ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

甘い束縛

はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。 ※小説家なろうサイト様にも載せています。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

お隣さんはヤのつくご職業

古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。 残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。 元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。 ……え、ちゃんとしたもん食え? ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!! ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ 建築基準法と物理法則なんて知りません 登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。 2020/5/26 完結

冷たい外科医の心を溶かしたのは

みずほ
恋愛
冷たい外科医と天然万年脳内お花畑ちゃんの、年齢差ラブコメです。 《あらすじ》 都心の二次救急病院で外科医師として働く永崎彰人。夜間当直中、急アルとして診た患者が突然自分の妹だと名乗り、まさかの波乱しかない同居生活がスタート。悠々自適な30代独身ライフに割り込んできた、自称妹に振り回される日々。 アホ女相手に恋愛なんて絶対したくない冷たい外科医vsネジが2、3本吹っ飛んだ自己肯定感の塊、タフなポジティブガール。 ラブよりもコメディ寄りかもしれません。ずっとドタバタしてます。 元々ベリカに掲載していました。 昔書いた作品でツッコミどころ満載のお話ですが、サクッと読めるので何かの片手間にお読み頂ければ幸いです。

処理中です...