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しおりを挟む出掛ける用意する俺に。
「兵藤くん、晩ご飯どうするの?」
莉緒が声かけてくる。
俺の両手はグー。
「いだっ、やっ、なんでっ」
「お前が名字言ったからだ」
「えっ!やっ、だって」
「だって、なんだ。莉緒?」
手離すと真っ赤な顔で俺見る。
「な…なんでもない…り、龍二…さん」
もっかい両手グー。
「さん、とかいらねえし」
「やっ、いでっ!わかったっ!止めて、龍二!」
このくれえにしといてやろう。
「俺、アポあっから。客と晩メシ食うし」
休みでも、営業しとかねえと。
ただ店にいるだけじゃ指名なんか取れねえ。
「あ、そっか。休みなのに大変だねっ」
「お前も稼ぎてえなら営業メールでもしてろ」
「あっ、うん。しよかな、あはは…」
コイツは多分、根本的に水商売向いてねえからな。
無駄なメールばっかしてるしな。
「お前、メールすんのはいいけど…」
「うん?」
その辺は俺が見てやんねえとわかってねえし。
指名取るには普段から営業はしとかねえと。
いや、そんな事より。
「客から呼び出されてもほいほい出てくんじゃねえぞ」
「しっ、しないよ。そんな事」
「俺に」
心配かけんじゃねえぞ。
「なに?」
どうしてこんな心配性なったかな。
ったく。
「なんでもねえ。お前晩メシどうすんの」
「あ…一人だし。なんか適当に食べる」
寂しそうな顔すんな。
俺は仕事なんだから、しょうがねえだろ。
「帰ったらちょっと食うから。なんか作っといて」
そう言ったら。
「うんっ!軽く用意しとく」
にこにこしやがる。
また食う量セーブしねえと。ぽっちゃりなホストなんか。
あり得ねえからな。
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