VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
151 / 199
5ー1:太陽印の歯車

◇151 黒鉄の巨人・敗れる

しおりを挟む
 CUの世界。深い深い森の奥に、ひっそりと佇む遺跡。
 この遺跡はそらを模したものです。
 中々良いデザインに仕上がっているので、私は社員の皆さんに感謝しました。

「後は上手く動いてくれるかですが……」

 私は遺跡の全ての謎を解き明かしました。
 実際、この遺跡の攻略は簡単ではありません。
 私自身も苦戦を強いられてしまいました。

「太陽と月に星、全てを解き明かせば開く道。設定も充分ですね」

 シナリオチームの活躍に歓喜しました。
 私も初見で遊んでみましたが、かなり面白いです。
 とは言え、必要なのかと疑う面は観えました。
 要改善……と通常の企業なら思うのでしょうが、私は個性や味として残します。

「それにしてもよくできていますね。この遺跡に見惚れてしまい、謎を解くのに一分も掛かってしまいましたね。不覚です」

 私は遺跡の完成度の高さに驚きました。
 探索を続ける中でふと比べてしまうのは謎です。
 あまりにも単純。それでいて子供騙しにもなっていません。
 こんなこと言うと怒られてしまうのでしょうが、私自身、一分も無駄な時間を費やしてしまったと感じました。

「この下ですか?」

 私の目の前には階段が現れました。
 最後の謎を解いたことで開いたのでしょう。
 早速この先に向かいます。

「下りても大丈夫そうですね」

 私は階段を下りました。
 この先に待っているもの、もちろん私は知っています。
 これだけの遺跡なのですから、当然用意しています。

「楽しみですね。資料以上のものになっていることを期待しますが……」

 私は自分の部下達に淡い期待を抱きました。
 もちろん野暮なこと、余計なプレッシャーを掛けると気が付いています。
 ですが手元の資料を見ると、楽しみでワクワクしました。

 そうして階段を下ります。
 気が付けば天井が高くなっています。
 如何やら目的地に辿り着いたみたいですね。

「ここがボスフロアですか」

 階段を下りてやって来た先。
 そこは広々とした地形。
 如何やらボスフロアは十二分に取られているのか、私は満足します。

「あの中央にあるのは……」

 中でも気になったのは中央に設置された塊。
 一体なのか。少し近付いてみます。

「コレは……」

 突如として現れたのは、巨大な黒い塊。
 鉄で出来ているのか、叩くとカーンカーンと反響します。
 変形機構でも備わっているのか、所々に分割線がありました。

「触っただけでは動かない……みたいですね。ん?」

 私はペタペタ触ってみました。
 しかし塊は塊のまま。
 一向に動く様子がありません。

 ですがしばらく触っていると、何やら警戒装置が機能したみたいです。
 突然けたたましい音を奏でます。
 それに合わせ、私も距離を取りました。如何やら変形してくれそうです。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

「おお、いいですね。この起動音、古典的です」

 目の前の巨大な塊は、突然動き出しました。
 カラクリ仕掛けなのか、内部で歯車が回る音。
 に、非常に似た効果音と共に立ち上がります。

 ガガガガガガガガガガがガガガガ!

「動きが鈍いですね」

 想った以上に動きが鈍いですね。錆びついているのでしょうか?
 その形は分割線や軸を利用し、ゆっくりと人の形へ、所謂巨人になりました。
 私は首を捻ってしまいますが、赤く光り出した瞳が、こちらを睨んでいます。

「どうやら忠実なようですね。侵入者を排除する……ボスとしては充分ですね」

 けれども行動自体は忠実です。
 しっかりとプログラムが機能している証拠です。
 私は社長として嬉しく思うと、早速黒鉄の巨人は攻撃を仕掛けました。

 ドン!

 振りかぶられた拳が、真っ先に私を捉えます。
 突然振り下ろされた拳。
 初見だと、躱すことさえ困難でしょう。

「なるほど、想像よりは遅いですね」

 しかし私には一切届きません。掠りもしません。
 ふむふむと顎に手を当てます。
 要改善……とまではいきませんが、初見殺しには有効でしょうね。

「では反射は……はっ!」

 私は試しに駆け出してみました。
 するとアバターが私の動きに付いて来れません。
 完全にファンタジーの域で、当然ながら、黒鉄の巨人は私を追えませんでした。

「なるほど、視野はそれほど広くないみたいですね」

 参考になるデータです。
 実際に自分が戦ってみないと分からないことも多々あります。
 それにしては有益な情報に私は感謝すると、次は防御面を見てみます。

「では攻撃を仕掛けますか」

 私は黒鉄の巨人に攻撃を仕掛けました。
 地面を蹴り、高く跳び上がります。
 狙うは頭。反撃して来るか否か、緊張感が高まります。

「はっ!」

 ズドーン!

 私の拳が炸裂しました。
 もちろん武器など一切使っていません。
 そのままスキル無しの攻撃がクリンヒット、黒鉄の巨人は一発でKOされていましました。

「あれ? お終いですか」

 起き上がってくる様子がありません。
 正直困りましたね。
 これだとテストの意味がありません。

「ふむ、防御面は私の体感では高めに設定されていると思ったのですが……まだまだ粗がありますね」

 もう少し強い設定にしても問題なさそうだ。
 と、私は思います。

 実際、黒鉄の巨人は中ボス並み。
 それくらいの実力は備わって欲しいのです。
 ですが私の攻撃一発も耐えられないとなると、少しだけ不安になりますね。

「この辺は要改善と……はい、これだけ集まれば充分ですね」

 私は鉄の巨人から得られる情報をすべてまとめました。
 軽い報告書に仕上げると、次の行動に移ります。

「では次に地形の調査をしましょうか」

 私は黒鉄の巨人を倒すと満足しました。
 ですがまだ終わりではありません。
 この遺跡の構造をもう少し探る必要があります。

「五分もあれば充分ですね」

 それから私はしばらく、遺跡の内部を歩き回しました。
 残念なことにモンスターはいません。
 罠のようなものもありません。
 黒鉄の巨人と戦う地形フィールドも、充分に確保されています。

「さてと、これで問題ないみたいですね」

 とりあえず私のやりたかったことは無事に上手く行きました。
 調査の結果は後で担当部署に報告することにします。
 私は満足感を得ると、この遺跡の活躍を楽しみに思いました。

「どのようなプレイヤーがこの遺跡を攻略するのか。楽しみですね」

 硬い頭では決して解けない。
 そんな杞憂なダンジョンを作ってしまった。
 けれど私には楽しみで仕方が無く、変化や進化に期待をしながら、CUをログアウトしました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...