VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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5ー1:太陽印の歯車

◇153 荒野にやって来たけど?

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 私達は荒野にやって来た。
 始めて来る場所だ。
 正直緊張する。何せどんなモンスターが生息しているか分からないからだ。

「ついに来たね、ゴテゴテ荒野」
「そうだねー。本当にゴテゴテしてるねー」
「足下、超が付く程悪いわ」

 ゴテゴテ荒野の名前の由来。
 子供騙しもいい加減なくらい単純。
 なんと地形がゴツゴツゴテゴテしている。
 そのせいで歩き辛くて、ここまで来るのが大変だった。

「それにしても、時間が掛かったわね」
「仕方ないが無いよ。だって、車輪が取られちゃったんだから」

 何より馬車の車輪が取られてしまった。
 それもその筈で、すぐにパンクしちゃう。
 それくらい地形が最悪で、私達は苦戦した。

「ううっ、肩が……腰が……」
「Nightさん、大丈夫ですか?」
「ああ、問題は無いが……最悪なスタートだ」

 Nightは運動不足がたたっていた。
 地獄を請け負ってしまうと、全身がボロボロになる。
 途中で馬車が進まなくなったせいか、私達は全力で後ろを押すことになったんだ。
 そのせいか、Nightが一番ダメージを受けていた。体中がバキバキになると、動けなくなってしまう。

「Nightさん、体をほぐしましょうか?」
「できるのか?」
「はい。痛いですが、やってみますね」

 Nightは雷斬の提案を飲む。
 ゴテゴテした地面の中でも、できるだけ痛くない、平らな場所を探す。
 そこにお尻を付けると、早速ストレッチを始めた。

「それはいいとして、今回のモンスターだけど」
「タンクライノスよね?」
「うん」

 今回の狙いはタンクライノス。
 名前の通り、戦車タンクサイライノスが掛け合わさっている。
 想像は固くない。だけどどんなモンスターの生態か、流石に初見だと分からない。

「強いよね、きっと」
「そうだな。雷斬、もう少し強くやっていいぞ」
「分かりました」
「うあっ!」

 Nightが悲鳴を上げた。
 雷斬が少し体重を掛けたからだ。
 これぞ自業自得。なんて、流石に言えない。

「ちなみにどんな生態なの?」
「えっと、ミーNaさんの話だと、好戦的な性格らしいよ」
「……他には無いの?」
「他には? えっと、脚が無くてキャタピラになっているんだって。どんな悪路も装甲できて、自慢の角でどれだけ硬い岩もモンスターも粉砕しちゃうらしいよ?」

 何だか特撮ものの何かに見えて来た。
 もちろん私は知らない。
 単にフェルノやお母さんの受け売りで、私はポワポワとした想像を働かせた。

「カッコいいねー」
「カッコいい?」
「カッコいいじゃんかー。だって戦車でサイなんでしょ? 強そうだし、カッコいい。ミサイルとか撃って来るのかな?」
「それは分からないけど、ミサイルなんて危ないよ。止めよ」

 ミサイルなんて物騒な物使って来て欲しくない。
 ましてやそんなファンタジーから逸脱したものは嫌だ。
 私は自分自身のイメージと重ね合わせる。

「そんなことはどうだっていい」
「Night?」

 Nightの口振りがいつもとおかしい。
 何故か険しい声を上げている。
 ふと見れば私達はタジタジになった。
 Nightが怖い。苦しいを通り越している。

「私にここまでの仕打ちを与えたモンスターだ。絶対に許すか」
「こ、怖いよ……」

 Nightの怒りの矛先がタンクライノスに向いていた。
 目が怖い。今にも撃ち殺されそう。
 触らぬ神に祟りなし。私達も穏便に済ませる。

「って、Nightが運動不足なだけでしょ? 普段からちゃんと運動しておけば、こんなことにはなってないわ」
「おい」
「ベルもNightも喧嘩は無しだよ。変にいがみ合わないで」

 一触即発の現場に遭遇。
 触らぬ神に祟りなしと誓ったばかりなのに、すぐにこれだ。
 まあ、ベルの言い分の方が正しい。Nightは悔しくなると、視線を落とした。

「適材適所があるだろ、適材適所が」
「そ、そうだよね。Nightにだって苦手なことはあるよね?」
「当り前だ。私は完璧じゃないからな」

 自分で自分のことを卑下する。
 Nightらしいと言えばNightらしいかも?
 私はポカンとする中、Nightは雷斬に背中を伸ばされる。

「痛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「Nightさん、体が硬いですよ?」
「ううっ、最近仕事が多いんだ」
「仕事ですか?」
「ああ、そうだ。だからアバターにも反映されて……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 如何やらNightも忙しいらしい。
 そのせいか腰も背中もガチガチに固まっている。
 背中をちょっと押しただけで地獄のような顔をして、とんでもない悲鳴を上げた。
 そのせいか、Nightはこの世の全てを恨んだ。私達はモンスターが来ないか不安になった。

「よかった。モンスターが来ないね」
「うーん、つまんないのーだ」
「つまんなくないよ。これから戦うんだから」

 そう、私達はタンクライノスを討伐しないといけない。
 今回はそういう依頼で、腕が鳴るっていうのかな?
 フェルノはニヤニヤしていて楽しそう。
 対して私は面倒で、上手く行くか不安だった。

「戦って勝てるかな? 今回の相手、かなり強敵かもしれないんだよ?」
「だからなによ? 勝てないって言いたいの?」
「そんなことはないけど、勝ちたいよね?」

 私達の今のランクよりも高いランクのモンスター。
 それがタンクライノスだ。
 どんな見た目なのかは分からないけれど、少なくとも実力的には付いている。
 だけどそれを抜きにしても、戦ってみないと分からなかった。

「勝てないなら逃げればいい。無理なことはするな。それが身のためだ」
「Night!」

 Nightは言葉を噛み締めた。
 これぞNightらしさ。私はそう思って嬉しい。
 だけど今回は少し違う? 何故か怒っている。

「とは言え今回ばかりは違うぞ」
「えっ?」
「私をこんな目に遭わせたんだ。必ず叩き潰す。解体するぞ」
「こ、怖いよ!」

 とんでもない怖い言葉を吐き出した。
 殺気がビシバシ出ている。
 痛い、痛すぎる。私は臆してしまいそうになると、一歩を出した。
 
「さてと、それじゃあ行くか」

 雷斬の強制ストレッチを受けて、奇跡の復活を遂げたNight。
 まだ苦しそうだけど、Nightは立ち直る。
 体を起こし、率先して前に出る。

「あれ、Night。何処行くの?」
「決まっているだろ。今回の狙いタンクライノスだ。それならまずは、そのための仕掛けを施すのみだ」

 Nightらしい発想だった。
 確かに仕掛けを施せば、きっと楽になる。
 私達は首を縦に振ると大賛成する。

「仕掛けって、一体なにするんだろう?」

 Nightのことだ。きっと凄い作戦でも考えている筈。
 私はそんな期待を寄せると、背中を追い掛ける。
 罠の正体に興味津々になりながら、タンクライノス討伐に胸躍らせた。
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