VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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5ー2:太陽の遺跡と挑戦状

◇166 太陽の古代遺跡

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 バリアの先の景色は……特に変わらなかった。
 相変わらず木々が生え、林が続いているだけ。
 何の面白みもないのだが、ベルは空気の変化を敏感に感じていた。

「空気が変わったわよ」
「本当ですか?」
「私が間違える筈ないでしょ」

 よっぽどの自信があるらしい。
 確かにベルの種族スキル、【風招き】は<シルフィード>の中でも、ベルに突出している。
 それだけAIが自動的に算出して、ベルに合わせてくれたんだ。間違える訳がない。

「どんなふうに変わったの?」
「この場所、ちょっと温かいのよ」
「温かい? そんなことまで分かるのか?」
「もちろんよ。風に熱が含まれているもの」

 ベルにしか分からない話だった。
 私達はポカンとしてしまい、とりあえずこの林が今までと違うとだけ認識する。
 もちろんそれでなに? って話だけど、きっとこの先に待っている筈だ。

「ふんふふーん」
「楽しそうですね、フェルノさん」
「うんうん。この先に遺跡があるんでしょー、楽しみだなー」

 フェルノに問い掛けた雷斬。案の定の返答が返る。
 もちろん、この先に遺跡があるとは確定していない。
 だけど何か待っている筈。私達は心が逸った。

「ん?」
「どうしたの、Night」

 何故かピタッと足を止めるNight。
 私は隣に立つと、Nightに訊ねる。
 視線が一切動かないでいると、双眼鏡を取り出す。

「どうしたの、Night?」
「なにか見えるのー?」

 私とフェルノが声を掛ける。
 Nightは黙ったまま、双眼鏡フォーカスを合わせるように、突起をクルクル回す。
 真剣に視界を見続けると、ハッと顔を上げた。

「見つけたぞ」
「「見つけた?」」
「一体なにが見つかったのよ」
「決まっているだろ。行くぞ」

 私達が呼び掛けると、Nightは早速行動に移る。
 物は試しとばかりに、行動で目的を示した。
 突然走り出すと、私達は追い掛ける。もちろん容易く追い付いた。

「Night、急に走り出してどうしたの?」
「はぁはぁはぁはぁ……」

 まさかの短距離で息を上げている。
 肩で呼吸していて辛そう。
 私は支えようかと思ったけど、Nightは口を悪くする。

「そんなことより前を見ろ」
「前?」
「そうだ、前だ。ようやく見つけた、まさかこんな近くにあるとな」

 疲れ果てるNightに促され、私達は視線を上げる。
 ジッと視線を飛ばした先で見つけたものに、私は息を飲んでしまった。

「えっ、嘘?」
「嘘だぁー!」
「コレは、壮観ですね」
「本当、まさかこんなものはあるのに、林の外からが見えないなんて……」

 確かにこれだけ大きかったら、林の外から屋根くらい見えてもよかった。
 だけど全く見えなかったのは、あのバリアのおかげ。
 私達プレイヤーの好奇心を刺激するためだ。

「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」
「コレは凄いな」

 目の前には巨大な建造物がある。所謂遺跡って奴だ。
 その迫力に気圧されると、私達は壮大な気持ちになる。

「立派な遺跡ですね」
「そうね。コレが目的地?」
「そうだな。正確には太陽の古代遺跡と言うらしい」
「「太陽の古代遺跡?」」

 誰が何と言おうと、立派な建造物だ。かなり作りこまれていて、見るものを見張る。
 作りも造りもどちらもさることながら、何より隠されていたのがいい。
 冒険って感じと、秘境って感じが一変にやって来ると、相性もさることながら、全体的に伯が付いた。

「いい名前ね。ちなみに何所情報?」
「ネットの掲示板だな」
「あー、まあいいんじゃない?」

 正確な名前ではないと思う。
 ベルは納得したのか、唇を歪めている。
 だけどこれ以上に無いカッコ良くてシンプルな名前で、私達も太陽の古代遺跡と呼ぶことにした。

「ねぇねぇ、どのくらい古いのかな?」
「設定的な話か? それなら情報がないぞ」
「夢ないなー。もっと客観的にだよー」
「お前の口からその言葉が出ることが意外だが……そうだな。実際、何千年も前の代物だろうな」

 確かにフェルノっぽくない知的な発言だった。
 私もNightと同意見で、フェルノには心外だって思われても無理ない。
 だけど当の本人は気付いていない。それを見逃さず、Nightは話をすり替えた。

「もちろん、私も精通している訳ではない。必ずしも正しいことは言えないが、見た目的には少なくとも三千年は経っているだろうな」
「そんなに!?」
「ああ。所々に風化した後があり、色合いもかなり落ちている。実際、細かな装飾なんかも当時の道具、例えば鋭い石片で削ったような荒々しさがあるな。面白い、よく作りこまれているグラフィックだ」

 かなりメタ的な発言をした。
 だけど実際ここはゲームの中、作り物だ。
 それでも本物そっくり? で、私達を楽しませてくれる。

「とは言え問題は……」
「扉だな」

 けれどNightもベルも見逃さない部分があった。
 それは古代遺跡の扉。天井が付いており、その奥にヒッソリと扉が設置されている。
 何となくだけどここしか入口は無さそう。とは言え、気掛かりは私にも分かった。

「随分と新しいように見えますが」
「そうだな。素材自体は当時のものだろうが、手が加えられている。なにより気になるのは」
「明らかになにか嵌りそうだよね。歯車みたいな彫があるよ」

 雷斬の指摘を受け、Nightは軽く扉を見る。
 素材は当時のもの、だけど色々と細工が施されている。
 よく観察して確認を取ると、扉の中央部分。丁度腕が届く位置に、丸い窪みがあった。

「歯車か。ん? よく見てみろ、ここに太陽の模様が描かれているぞ」
「「「えっ!?」」」

 私達は驚いてしまった。
 確かに丸い窪みの形は歯車のようで、何か嵌りそう。
 だけど今私が持っている歯車とは別のものかと思ったら、普通に太陽の模様が描かれていた。
 そんなの誰が何と言おうと確定だ。

「なによそれ、確定じゃない」
「そうだな。アキラ、歯車を嵌め込んでみろ」
「う、うん」

 私は促されるままに扉に近付く。
 改めて確認すると、扉には太陽の模様が描かれている。
 歯車に描かれた模様とまるで同じ。ここでもう一段階面倒なことが待っていると思ったが、そんな意地悪じゃないらしく、私は歯車を扉の窪みに収める。

「嵌めてはみたけど……」
「なにも起きないよー?」
「そんなことは無い。恐らく錆付いているだけの可能性が……」

 歯車を扉に嵌め込んでみた。
 存在していた凹みを生めてみたはいいものの、まるで変化がない。
 Nightは表情を顰め、扉の調査をする。指が隙間に触れ、錆ていないこと、カビが侵食していないことを確かめる。

「うーん、流石に強引にこじ開ける訳には……おっ!」
「「動いた!」-!」

 Nightが一歩下がった。
 同時になんの前触れもなく扉が軋みを上げる、
 ガタガタと震え出すと、扉はゆっくり開く。

「やったやった。やっと入れるー」
「油断するなよ、フェルノ」
「えっ?」
「開いた瞬間に攻撃的な仕掛けが作動するかもしれない。用心しろ」

 確かに扉が開いた瞬間に飛び出してくる罠があるかもしれない。
 仕掛けを加味した私達は距離を取る。
 薄っすらとした扉の奥が垣間見えると、暗がりが広がる。けれど罠が作動するような気配はなく、数秒程度の間が開く。

「なにも起きないね」
「らしいな。とりあえず一安心か」

 Nightと話して安心した。
 ベルが弓を構え、矢を射る動作をしてみる。
 けれど何も起きない。やはり何も無いらしい。

「本当に罠は無いのね」
「拍子抜けですか?」
「そんな訳ないでしょ? でも、アッサリしてるわよね」

 ベルの言う通り、盛り上がりみたいなものは無かった。
 おまけに距離も取りすぎた可能性がある。これじゃあ何か起きても分からない。
 私達は開いた扉を前にしている。流石にジッとしている訳にもいかないから、一応声を掛けた。

「ねぇ、開いたけど、どうするの?」
「どうするもなにもないだろ」
「だよね」

 ここまで来た以上、一応下見程度はしておく。
 二回目もすんなり来られるとは思えない。
 できれば今日中に探索してしまいたいと、私の心が逸る中、先に突き進んだのは案の定フェルノだった。

「よーし、行ってみよう―」
「そこはフェルノが先陣を切るんだな」
「あはは、まあいいよ。いつものことだから」
「そうよね。フェルノだもの」
「ですね。ですが気を付けてくださいね、フェルノさん」
「OK。んじゃ行ってみよー」

 全く効く耳を持たなかった。
 フェルノは警戒心ぜろで遺跡の中に入る。
 太陽の古代遺跡。これだけ隠されていたんだ。きっと仲も安全じゃないと思うから、私達は息を飲んだ。
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