VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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5ー3:星の線を結んで

◇180 VSシャドーウルフ

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「アレ、なに?」

 私とNightの目の前。
 突然現れたのは黒い影だった。
 何かのモンスターみたいだけど、よく分からない。

「モンスター、だよね?」
「そうだな。しかし、こちらを観察しているか」

 モンスターは進行方向で立ち止まっている。
 まるで私達がこの先に行くのを拒むように。
 何となくそんな気がしてしまうと、試されている感覚があった。

「どうするの? 倒す?」
「それしかないだろ」
「そっか……それじゃあ、【キメラハント】+【甲蟲】」

 私はスキルを発動した。
 【キメラハント】で武装すると、地面を蹴り出す。
 目の前の黒い影に向かって攻撃を放つと、拳を叩き込んだ。

「それっ!」

 私の拳は叩き込んだ。すると影の中をスッと消える。
 目を見開くと、「えっ?」とアホみたいな声を出した。
 今、何が起きたの? 私は不思議になる。

「今、私の攻撃……」
「すり抜けたのか?」
「すり抜けた? ええっ!?」

 私の攻撃はモンスターの体を素通りする。
 完全に芯を掴むことができなかった。
 自分の武装した拳を交互に見比べると、分からない渦に飲まれる。

「こ、このっ!」

 私は諦めないで攻撃を再開した。
 Nightもランタンを構え、辺りを照らしている。
 目の前のコレは絶対にモンスター。私とNightが見ている幻じゃない。

「はぁっ!」

 渾身の右ストレートを叩き込んだ。
 流石にこれなら効いた筈。
 そう思ったけど、やっぱり芯を捉えていない。完全にすり抜けた。

「ぜ、全然効いてない?」

 私はたくさん攻撃した。
 だけどその全てが空振りに終わった。
 確実に触れた筈なのに、絶対に拳は当たった筈なのに、全部効いてない。

「どうして? どうして攻撃してるのに」
「ふむ」

 私はプチパニック状態になっていた。
 頭を抱えてしまうと、Nightは考える仕草を取る。
 何か分かったのかな。だけど何も言ってくれない。

「しかも攻撃して来ない? なんで」

 モンスターに攻撃をしても効かない。
 だけどモンスターも自分に物理攻撃が効かないって分かっているせいか、まるで動こうとしない。だけど攻撃を仕掛けてくることが無くて、完全に膠着状態だった。

「どうして? ねぇ、Night!」
「アキラ、ソイツはシャドーウルフだ」
「ほぇ?」

 私はいつも通りNight博士に頼った。
 すると頭の中に格納したコンピュータが作動。
 検索の結果、モンスターの名前を明らかにする。

「シャドーウルフって、なに?」
「名前の通りだ。陰に潜むオオカミのモンスターだ」

 Nightが教えてくれたのは、モンスターの名前。
 その名もシャドーウルフ。影の中に潜む、オオカミのモンスター。
 普通にカッコいい名前で、私は惚れ惚れした。

「名前、カッコいいね」
「ガルッ!」
「うわぁ、吠えた!?」

 ここまで何もアクションを起こさなかったのに、突然吠えた。
 ビックリしてしまうと、私は倒れそうになった。
 その拍子だ。シャドーウルフは前脚を出す。

 ペタッ!

 シャドーウルフの前脚が触れる。
 私の攻撃はすり抜けるのに、シャドーウルフ本人の体は触れられた。
 どんな理屈かは分からないけど、私の腹にプニッとした感触が残る。

「あっ、柔らかい」
「ワフッ!」

 私はシャドーウルフの前脚を撫でた。
 普通に柔らかい。
 シャドーウルフも嫌そうじゃなくて、私は首を捻った。

「ねぇ、シャドーウルフ。貴方はどうしてここにいるの?」
「ワフッ!」
「うーん、分からない……」

 私はシャドーウルフに話し掛けた。
 だけどシャドーウルフは答えてくれない。
 もちろん分かってた。だって、相手はモンスター。人間の言葉なんて喋れない。

「それじゃあこの先って、行ってもいい?」
「ガルルッ!」
「うわぁ、怒った?」

 突然シャドーウルフは怒り始めた。
 牙を剥き出しにするけど、全然見えない。
 私は「どぉどぉ」と唸り声を上げて、シャドーウルフをあしらった。

「ペットの機嫌を取る飼い主か」
「あはは、そんな感じだね」

 私はペットを飼ったことは無い。
 だけどそんな感じがしてしまった。
 でもNightの口から出るなんて、もしかして犬とか猫とか飼ってるのかな?

「そう言えば貴方、私達に敵意はないの?」
「ワフッ?」
「敵意無いってこと……ん?」

 シャドーウルフに攻撃する意思はなかった。
 私はシャドーウルフの頭を撫でる。
 本島に犬みたいで、「ワフゥ」と喜んだ。

「うわぁ、可愛い。なんだろう、凄くいい!」
「ワフゥ……」
「あはは、喜んでくれて嬉しいよ」

 私は笑顔になった。なんだか今日一日これでいいかもしれない。
 私はそんな気持ちになってしまうと、頭の仲がポワポワする。
 シャドーウルフの姿無き体に触れることができると、黒い影が濃く伸びた。

「うーん」

 Nightはそんな私の戯れをジッと見ていた。
 頭を掻き、溜息を今にも吐きそう。
 何でだろう? もしかして、私何かしちゃったかな?

「どうしたの、Night?」
「なんでもない。ただアキラ、お前大丈夫か?」
「大丈夫って、なにがぁ?」
「いや……飲まれるってことか?」

 Nightは何か危惧していた。
 私は頭の中が気持ちよくてポワポワする。
 そのせいか、Nightのことが見えなくなりそうだ。

「流石にこのままだと埒が明かないか」
「Night?」
「アキラ、そろそろ行くぞ。シャドーウルフ、悪いな」

 このままシャドーウルフとじゃれ合っていてもダメらしい。
 私はもう少しお話ししたり、遊んだりしたい。
 だけどそんなことをしている暇は無くて、Nightは何かする。

「な、なにしたの、Night?」
「単純だ。光りを当てた」
「光?」

 Nightは光を当てたらしい。
 もちろん直接的な光じゃなくて、光り。
 でもそんなの当てて、シャドーウルフが居なくなるなんて、変な話だ。

「シャドーウルフの弱点は光だ。だったら光を当ててしまえばいい。そうすれば、影は光を嫌がる。そのまま逃げていくだけだ」
「それじゃあさっきのは……」
「単に驚いて逃げただけだな。嫌われたかもしれないが……」

 Nightはシャドーウルフの弱点を知っていた。
 その正体は光。シャドーウルフは影だから、本体が無い。
 強烈な光を浴びせれば、自然と活動域を失って逃げてしまうらしい。

 だけど何だか可愛そうな気がした。
 Nightも同情すると、「悪いことをした」と口ずさむ。
 そんなNightの横顔を見ると、私は否定していた。

「……そんなこと無いと思うけど」
「なんだ、また勘か?」
「う、うん」

 私は確証を持っては何も言えなかった。
 だって、私はモンスターと会話をするスキルを持ってない。
 いつかそんなスキルが手に入ったら面白いかもしれない。
 そんな願望を抱くと、もう少しお話ししたかったと思ってしまった。
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