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1ー1:私がキメラになった日
◇11 見せたかった景色
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「どんなスキルかな?」
フィルム・ラクーンを倒した私。
レベルアップもしなかった上に、ドロップアイテムも無し。
正直、戦って倒した割には、旨味が薄い。
やるせない気持ちになったけど、私はにはまだ楽しみがあった。
「【キメラハント】でフィルム・ラクーンからなにを奪ったのかな? 楽しみ……あれ?」
詳細が表示された。
しかし私は首を捻る。
何も間違ってはいない。表示されるのは、【キメラハント】だった。
——固有スキル:【キメラハント】が新しいスキルを獲得しませんでした——
——適合率判定の結果、スキルとの相性を確認し、固有スキル:【キメラハント】に、追加することはできませんでした——
「ど、どういうこと? 倒したモンスターから、確実にスキルを奪えるんじゃないの?」
私は困惑してしまった。
と言うのも、ここまで確実にスキルを奪って来ていた。
だから絶対に獲得して、より強くなれると思っていたのに、私は突き放された気分になる。
「もしかして、確率ってこと? それともあれかな? 私との相性があるの?」
ここで一つ【キメラハント】のおさらいだ。
固有スキル:【キメラハント】。それは倒したモンスターからスキルを獲得できると言う、上限なく青天井で強くなる極めて珍しいスキル。
だけどスキルを奪えるかどうかは確率。更にはAIによるシビアな判定が入る。
その事実を知ると、ここまでがラッキーの塊だったことを悟り、私は落胆する。
「ラノベの主人公みたいに、絶対最強って訳じゃないんだ……難しい」
私は項垂れたりはしなかった。
けれど過信しちゃダメだとも悟った。
どんなモンスターを倒しても、スキルを奪えるわけじゃないのなら、闇雲な戦闘はできない。
ゴクリと息を飲み息巻いていた自分を咎めると、頬をパチンと叩いた。
「よし、気を取り直そう。そんなこともあるよね」
私は考えを改めることにした。
それもそのはず、これはみんなが楽しめるオンラインゲーム。
CUには圧倒的な自由度がある、なんでもありなゲームらしいけど、それはある一定のルールが明確に敷かれているからだ。
誰か一人だけが得になるような絶対なスキルは無い。だって、これはゲーム。
ユーザーが離れたらお終いなのだから、シビアな面があってもおかしくない。
「私だけが強いんじゃない。みんながこれくらい強いんだから、気にしちゃダメ。オンラインゲームは楽しむものだから、絶対に強いなんて無い方がいいもんね。うん、そうしようそうしよう」
私は自分の中でそうやって落とし込むと、更に先を目指した。
この先に行けばきっと帰れる筈。
これ以上の戦闘をする気は一切無く、私は森の中を駆けていた。
「回復アイテム欲しかったな」
HPは削れたままだ。
顔の痛みもまだ残っている。
痛覚が明確に存在するせいか、ダメージは極力負いたくない。
私はCUの奥深さには触れていない。
だけどシビアな一面を悟らされると、頬を優しく撫でる。
それだけこのゲームの凄さに私がのめり込んでいる証拠だった。
「まあいっか。でもやっぱり楽しい。これがCUなんだ……私はクリーチャーじゃないけど……おっ!」
ボヤきながら進むと、視界が更に開ける。
白光が視界を照らすと、如何やら森が終わるらしい。
ようやく森から脱出ができる。そう思った私はホッとすると、足早になっていた。
「うわぁ、凄い絶景」
森を抜けた私を待っていたのは、広大な自然だった。
スタットーンの最奥、そこは開けた崖。
その眼下に広がるのは、深緑色の木々達で、森林が蠢いているように壮大だった。
「綺麗っていうか、凄い景色……まさかここまで凄い世界が待っているなんて……いいなぁ」
私は呆けてしまっていた。
それだけ気持ちの良い景色で、私は茫然としてしまう。
黄昏るように立ち尽くすと、心地の良い風まで吹く。
如何やらここにこれて良かったと、不満さえ押し殺していた。
「もしかして、私にこの景色を見せたくて?」
なんとなくそう思ってしまった。
だけど多分、私の勘違いだ。
今日来たばかりの私のことをそんな風にもてなしてくれるか。
私は怪しんでしまうが、それを捨てても良いくらいには、この森が好きになる。
「なんだか満足……後は帰れるかだけど、およ?」
ふと周囲を見回した。
すりと「開けろ」と言わんばかりに置かれた木の箱が置かれている。
如何してこんな場所に堂々と。表情を訝しめるも、私は箱に吸い寄せられる。
「開けろって言ってるんだよね?」
私が問い掛けると、箱は頷きかける。
もちろん実際に頷いてはいない。そんな風に見えただけだ。
私は唇をひん曲げると、箱の上蓋に手を掛けた。
開けてみる。それしか待っていないので、私は「えいっ」と声を上げた。
パカッ!
「クリスタル? なにこれ? なにに使うの?」
箱の中には青色のクリスタルが入っていた。
如何やらも何も、この箱は宝箱。
中に入っていたクリスタルはアイテムらしいけど、私には分からなかった。
「どうやって使うんだろ?」
私はクリスタルを手にしてみたが何も変化が起きない。
太陽にかざしてみても、地面に置いてみても、ましてや撫でてみても何も起きない。
ここは一度詳細を見るしかない。
そう思った瞬間、私はそんなに力を入れていないのに、指の腹に力が加わり、クリスタルに罅が入った。
パキッ!
「ん? なんだか嫌な予感が……うわぁ!?」
クリスタルは何の力も入らずに、パリンと破裂した。
バラバラに砕け散ると、私は驚いて顔を背ける。
するとクリスタルが弾け、中から青い閃光が迸ると、私は容易く飲まれる。
逃れることは全くできず、私は意識を一瞬にして奪われてしまった。
フィルム・ラクーンを倒した私。
レベルアップもしなかった上に、ドロップアイテムも無し。
正直、戦って倒した割には、旨味が薄い。
やるせない気持ちになったけど、私はにはまだ楽しみがあった。
「【キメラハント】でフィルム・ラクーンからなにを奪ったのかな? 楽しみ……あれ?」
詳細が表示された。
しかし私は首を捻る。
何も間違ってはいない。表示されるのは、【キメラハント】だった。
——固有スキル:【キメラハント】が新しいスキルを獲得しませんでした——
——適合率判定の結果、スキルとの相性を確認し、固有スキル:【キメラハント】に、追加することはできませんでした——
「ど、どういうこと? 倒したモンスターから、確実にスキルを奪えるんじゃないの?」
私は困惑してしまった。
と言うのも、ここまで確実にスキルを奪って来ていた。
だから絶対に獲得して、より強くなれると思っていたのに、私は突き放された気分になる。
「もしかして、確率ってこと? それともあれかな? 私との相性があるの?」
ここで一つ【キメラハント】のおさらいだ。
固有スキル:【キメラハント】。それは倒したモンスターからスキルを獲得できると言う、上限なく青天井で強くなる極めて珍しいスキル。
だけどスキルを奪えるかどうかは確率。更にはAIによるシビアな判定が入る。
その事実を知ると、ここまでがラッキーの塊だったことを悟り、私は落胆する。
「ラノベの主人公みたいに、絶対最強って訳じゃないんだ……難しい」
私は項垂れたりはしなかった。
けれど過信しちゃダメだとも悟った。
どんなモンスターを倒しても、スキルを奪えるわけじゃないのなら、闇雲な戦闘はできない。
ゴクリと息を飲み息巻いていた自分を咎めると、頬をパチンと叩いた。
「よし、気を取り直そう。そんなこともあるよね」
私は考えを改めることにした。
それもそのはず、これはみんなが楽しめるオンラインゲーム。
CUには圧倒的な自由度がある、なんでもありなゲームらしいけど、それはある一定のルールが明確に敷かれているからだ。
誰か一人だけが得になるような絶対なスキルは無い。だって、これはゲーム。
ユーザーが離れたらお終いなのだから、シビアな面があってもおかしくない。
「私だけが強いんじゃない。みんながこれくらい強いんだから、気にしちゃダメ。オンラインゲームは楽しむものだから、絶対に強いなんて無い方がいいもんね。うん、そうしようそうしよう」
私は自分の中でそうやって落とし込むと、更に先を目指した。
この先に行けばきっと帰れる筈。
これ以上の戦闘をする気は一切無く、私は森の中を駆けていた。
「回復アイテム欲しかったな」
HPは削れたままだ。
顔の痛みもまだ残っている。
痛覚が明確に存在するせいか、ダメージは極力負いたくない。
私はCUの奥深さには触れていない。
だけどシビアな一面を悟らされると、頬を優しく撫でる。
それだけこのゲームの凄さに私がのめり込んでいる証拠だった。
「まあいっか。でもやっぱり楽しい。これがCUなんだ……私はクリーチャーじゃないけど……おっ!」
ボヤきながら進むと、視界が更に開ける。
白光が視界を照らすと、如何やら森が終わるらしい。
ようやく森から脱出ができる。そう思った私はホッとすると、足早になっていた。
「うわぁ、凄い絶景」
森を抜けた私を待っていたのは、広大な自然だった。
スタットーンの最奥、そこは開けた崖。
その眼下に広がるのは、深緑色の木々達で、森林が蠢いているように壮大だった。
「綺麗っていうか、凄い景色……まさかここまで凄い世界が待っているなんて……いいなぁ」
私は呆けてしまっていた。
それだけ気持ちの良い景色で、私は茫然としてしまう。
黄昏るように立ち尽くすと、心地の良い風まで吹く。
如何やらここにこれて良かったと、不満さえ押し殺していた。
「もしかして、私にこの景色を見せたくて?」
なんとなくそう思ってしまった。
だけど多分、私の勘違いだ。
今日来たばかりの私のことをそんな風にもてなしてくれるか。
私は怪しんでしまうが、それを捨てても良いくらいには、この森が好きになる。
「なんだか満足……後は帰れるかだけど、およ?」
ふと周囲を見回した。
すりと「開けろ」と言わんばかりに置かれた木の箱が置かれている。
如何してこんな場所に堂々と。表情を訝しめるも、私は箱に吸い寄せられる。
「開けろって言ってるんだよね?」
私が問い掛けると、箱は頷きかける。
もちろん実際に頷いてはいない。そんな風に見えただけだ。
私は唇をひん曲げると、箱の上蓋に手を掛けた。
開けてみる。それしか待っていないので、私は「えいっ」と声を上げた。
パカッ!
「クリスタル? なにこれ? なにに使うの?」
箱の中には青色のクリスタルが入っていた。
如何やらも何も、この箱は宝箱。
中に入っていたクリスタルはアイテムらしいけど、私には分からなかった。
「どうやって使うんだろ?」
私はクリスタルを手にしてみたが何も変化が起きない。
太陽にかざしてみても、地面に置いてみても、ましてや撫でてみても何も起きない。
ここは一度詳細を見るしかない。
そう思った瞬間、私はそんなに力を入れていないのに、指の腹に力が加わり、クリスタルに罅が入った。
パキッ!
「ん? なんだか嫌な予感が……うわぁ!?」
クリスタルは何の力も入らずに、パリンと破裂した。
バラバラに砕け散ると、私は驚いて顔を背ける。
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