VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

文字の大きさ
25 / 199
1ー2:幽幻の居城の冒険

◇25 コスプレみたいなビジュアル

しおりを挟む
「って、ことがあったんだけど」
「えー、なにその子―。変な子だねー」

 私は部活前の烈火と話していた。
 烈火の手にはテニスラケットが握られていて、ボールを跳ね回して練習している。
 けれどこの練習、意味あるのかな? そう思えるような技で、烈火は右腕を後ろに回して、
ボールを一切見ずにやり続けていた。

「烈火、芸でもやる気なの?」
「ん? しないけど、どうしたの?」
「あっ、そっか……それでね」

 それ以上話を膨らませることはできない。
 だって烈火がこの調子だもん。
 私は上手く膨らませる間もなく、自分から膨らました内容を破裂させるんだ。

「“くるす”って所に行けってヒントを貰ったんだけど、“くるす”ってあそこだよね?」
「“くるす”? もしかして、来栖町のこと?」
「私はそうだと思うけど。まさか隣町な訳ないよね?」
「無い無い、ぜーったい無いでしょ」

 私と烈火は盛大なフラグを立てた。
 だけどフラグが回収されることはまず間違いなくない。
 同じ名前の地名なんてたくさんあるんだから、私も烈火も信用していなかった。

 だけど来栖なんて地名は珍しい。
 ここ百年くらいの間に新しくできた地名だからだ。
 と言うのも、私達が住んでいるこの美桜町も隣町の来栖町も、御鷹の元になった市とは無関係だからだ。

「でも行くんでしょー?」
「うん、一応ね。あっ、烈火は部活でしょ? ごめんね、部活前に」
「ううん、全然いいよ。んで、シャンベリーは?」
「それはこれから行くよ。私一人じゃ攻略できないから」

 シャンベリーに行くためにもNightは絶対に必要だ。
 私はそんな気しかせず、これから部活の烈火と別れる。
 ただ一つ、烈火は私に声を掛けた。一回足を止める。

「Nightって、そんなに凄いのー?」
「うーん、凄い人じゃない人なんていないよ」

 私は私独自の見解を披露した。
 誰も傷付かない。だけど誰も救われない。
 私の回答は本当に平凡で、烈火も「あはは、いつも通りだね」と笑うのだった。


 徒歩で二十五分。
 私は御鷹市の中、住んでいる美桜町の隣町へ向かう。
 名前は来栖町。正直、全然共通点が無い変な町だった。

「とりあえず駅まで来たけど……」

 私は最寄り駅の来栖駅にやって来た。
 大きな広場になっていて、人通りもかなり多い。
 それもその筈、御鷹市は発展しているんだ。
 これだけ人が居てもおかしくは無く、何よりこの時間だと、学生が多かった。

「Nightって、私と年齢同じくらいに見えるけど……もしかして、童顔なだけとか?」

 ヒントは場所と見た目だけ。それ以外にヒントは無い。
 もしかしなくても、私が勝手に思い込んでいるだけで、ずっと年上とか年下の可能性がある。
 そうなると結構失礼かも。もう一回会ったら謝らないとダメかも。
 私はそう思うと、くまなく人の姿を追い掛ける。

「って言っても、そんな人がいたら目立つよね?」

 考える間もない。目を凝らす必要もない。
 なにせ、白髪にオッドアイの瞳。おまけに背だけがちょっと低め。
 そんなお人形さんみたいな人、完全にコスプレみたいなビジュアルの子を見逃す方がおかしかった。

「でもいないから捜しているんだけど……やっぱり世界中何処かにいる人を決め撃ちで捜すなんて無理なのかな?」

 いや、そんなの余り前だ。無理に決まっている。
 そもそも見つかると思った方がおかしい。
 私はバカみたいなことをした自分が恥ずかしくなった。

「か、帰ろう」

 顔が真っ赤になり、湯気が出そうだった。
 帰る訳でも無く、誰かを待つわけでもない。
 あまりにも奇妙なことをしているせいか、目は合わないけど、通りかかる人の視線が痛々しい。
 流石に耐えるのが辛い。そうなったので、私も諦めて帰ることにした。

「帰りにコンビニでお弁当買おう。今日はもうそれでいいよ……えっ?」

 私は今日の晩御飯を決めた。
 コンビニのお弁当、美味しいけど……ねっ。
 分かる人には分かるようなことを頭に並べると、夕陽に照らされ、視界に映る人の髪が透明になった。

「えっ?」

 いや、透明なんかじゃない。
 髪の色は白髪で、しかも長い。腰丈まである。
 それが歩く度に揺れると、フワッと巻き上がり、同時に私はぶつかった。

「「うわぁ!?」」

 私は止まろうとした。だけど白髪の人も止まろうとして、お互いにぶつかる。
 視界に入ったのは、背は私より少し低い少女。声もちょっとクールでNightと被る。
 ブレザーを着ていて、私はここで学生だったと悟り、目利きは間違ってなかったと悟った。

「ごめんなさい! あの、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。くっ……私も悪いが、余所見をするな!」
「よ、余所見? 私、止まったけど?」
「私も止まった。ふん、まあいい。次は気を付けろよ」

 なんだろう、この上から目線な子。
 私は呆気にとられるも、少女は一切視線を合わせることは無く、スタスタと足早に立ち去ろうとする。

「あっ、待って!」
「ん? ……なんだ、私になんの用だ?」
「えっと、その……あれ?」

 私は少女を立ち止まらせる。
 声を掛けると足を止め、面倒そうに体を捻る。
 踵を返し私の顔を見ると、そこに映ったのは赤と青の瞳。オッドアイって奴だ。

「綺麗な瞳、だね」
「はっ、一体なにを言って……あっ、お、おい!」
「ど、どうしたの?」

 私は不意にそんな言葉を口にしてしまった。
 本当は別のことを言いたかった。だけど、そこに浮かんだオッドアイに目を奪われてしまった。
 普通に赤と青の瞳なんて現実で見たことない。後、綺麗でカッコいい。
 私は口を開けて見惚れていたが、少女は逆に自分の目を覆う。

 それから何故かハッとなった。
 視線を下に向け、何かを探している。
 それから私を怒鳴ると、ジリジリと詰め寄った。

「お前、私の目を見たな」
「み、見たけど?」
「この目を見て、綺麗な瞳とか言ったな」
「うん。赤と青の瞳なんて、凄い綺麗でしょ。それにカッコいい!」

 私は本音を呟いた。
 すると少女はギシッと歯ぎしりを立てると、私の足元を凝視する。
 何か探しているのかな? 私も足下を見てみると、透明なフィルムみたいなものが落ちていた。

「なんだろう、コレ。うわぁ、真ん中が青い……もしかしてこれ、カラコン?」
「クソッ! やっぱり取れてたか。外れかけていたんだ……やったな」

 少女は綺麗な白い髪をガシッと掴んでワシャワシャと搔き乱した。
 相当苛立ってる? もしかしてカラコンはこの子の?
 あんなに綺麗な瞳をしているのに勿体ない。そう思ったのも束の間、あんな特徴的な目をしていたら、きっと生き辛いんだろうな。この多様性の時代でも、そういう遺伝子的なものを気にしちゃうのは仕方がないかもしれない。

「チッ! 絡んで悪かったな」
「えっ。ううん、大丈夫だよ」

 舌打ちされてしまった。それから何故か嫌そうに謝られる。
 全然気持ち良くないアクションだけど、私は気を取り直す。
 きっとこういう性格なんだ。私は諦めることにした。

「ふん、じゃあな」
「あっ、Nightちょっと待って!」

少女を見ていると、私の中で確信が生まれた。
この子はNightだ。誰が何と言おうとNightなんだ。
私はそう思い声を掛けると、少女は帰ろうとしていた足をピタリと止めた。
それから踵を返すと、髪を掻き上げ私のことを見つめる。

「お前は誰だ。どうして私のハンドルネームを知ってる」
「えっ? だって、オッドアイで白髪なんて普通いないでしょ?」
「うっ……お前な。いや、待てよ。その口調、その顔立ち、まさか……アキラか?」
「うん、立花明輝。約束通りちゃんと見つけたよ……それで、貴女の名前は?」

 私はそう返す。するとNightは呆れてしまった。
 隠していた目から手を放すと、口を開けてしまっている。
 完全に呆けてしまっているようで、開口一番、私にこう言い返した。

「変わり者だな、お前は」
「そうかな? でも、今はそうかもね」

 私もここはストレートに受け取った。
 すると周りを行き交う人達の変な視線が私とNightを射抜く。
 青春ごっこを繰り広げる女子高生。
 そんな光景が浮かび上がると、私達は恥ずかしくなってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...