VRMMOのキメラさん~〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!? 【リメイク版】

水定ゆう

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1ー2:幽幻の居城の冒険

◇35 あー、奇襲されるんだー

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 鎧騎士を倒した余韻を味わっていた私達。
 と言いたいけど、単純に疲れただけ。
 五分も座り込んでいて、私はNightにチラチラ視線を向ける。

「Night、それがNightの本当の武器?」
「ああ。だが見ての通りだ」
「〈十字架の剣クロス・ブレード〉だっけ? カッコいいよね」
「何処がだ。この剣を偶々手に入れたはいいが、重くて長いから使い勝手が悪い。私には性に合ってない」
「あはは、そうなんだ……」

 Nightの口からは愚痴しか出なかった。
 しかも自分のメインウェポンに対してだ。
 私は苦笑いを浮かべると、Nightは剣をインベントリに強制転送すると、身軽になったので立ち上がる。

「よし、もう少し探索を続けるぞ」
「ええっ!? ちょっと待ってよ。あんなに苦戦したんだよ?」

 正直、今日はもういい。
 と言うより、しばらくはもういい。
 私はステータスを確認して、レベルアップしたから満足したのに、Nightがまだ探索を続けようとするので、全力で止める。

「鎧騎士だけでこんなに苦戦したのに、まだ探索したいの?」
「したいわけじゃない。むしろここから外に出ればゾンビの群れに飛び込むことになるぞ」
「あっ……」

 確かにこのまま外に出たら、せっかくお墓に消えたゾンビ達が、また出てきちゃう。
 そんなことになったら、疲労した私達じゃ、逃げる間もない。
 回復ポーションもほとんど飲み干してしまって、私は苦汁を舐めた。

「それじゃあ探索する?」
「最低限、ここから一発で外に出る方法を探すのがいいな」
「そんな方法あるの?」
「一応あるにはある。とは言え、一番有名メジャーな転移用の転送場ポータルは隠しダンジョンにあるとは思えないが……」

 なんだろう。とても肝心なことを言っている気がした。
 だけどNightは気にせずに階段の方に向かってしまう。
 私も一人にされるのは困るので、Nightの背中を追った。

「待ってよ、Night!」

 私は罠が仕掛けられた階段の段差を上手く飛ばす。
 とりあえず胸を撫で下ろした私は、Nightの隣を歩いた。

「Nightはこのお城のことどう思う?」
「どうとは?」
「あの子が言ってたよね。怪物がいるって。さっき倒した鎧騎士って、怪物なのかな?」

 正直、私の認識の違いだけど、鎧騎士は怪物じゃない。
 怪物って、もっと具体的なモンスターだと思う。
 考えすぎなのかな? そう思ったけど、Nightは怖いことを言う。

「恐らくは、鎧騎士は一端に過ぎない」
「一端?」
「つまり、怪物と呼ばれたモンスターの余波だろうな。完全に、雑魚の部類だろ」
「えっ? あれで雑魚なの。それじゃあ怪物って、どれだけ強いんだろう?」

 正直、今の私達じゃ勝てる未来が見えない。
 だって、鎧騎士一人にあれだけ苦労したんだ。
 私は不安になるも、気にしちゃダメだ。
 ここは良い風に意識を切り替えると、私はNightに訊ねる。

「私達でこのお城を解放しようね」
「ふん、ここまで来たんだ。そのつもりだ」

 Nightは否定するかと思った。
 だけどさっきと同じで、Nightはやる気を見せてくれる。
 私は嬉しくなると、ついつい別のことを訊こうとした。
 
「そう言えばNightの固有スキルって凄いよね?」
「ん?」
「拳銃を作ったの、Nightの固有スキルだよね? どんな名前なの?」
「そんな物を訊いてどうする?」
「どうもしないけど?」
「なっ、はぁ!?」

 Nightは一度立ち止まり、私の顔を覗き込む。
 額に皺を寄せると、怪訝な表情を浮かべていた。
 なんだろう、もしかして私何かしちゃった?
 気を悪くしたのかと思ったけれど、Nightはそんなこと無いらしい。

 むしろ、Nightは頭を抱えてしまった。
 もしかしなくても、私が変なこと訊いちゃったからかな?
 悪いとは思ったけれど、Nightは淡々と呟いた。

「少しは興味を持て」
「興味は持ってるよ? だけど話したくないのかなって」
「そんなことはない。私の固有スキルは【ライフ・オブ・メイク】」
「ライフ・なに?」
「一時的にHPの最大値を消費することで、ファンタジー世界には存在しない、私の脳内に蓄積された情報を基に生み出すことができる。とは言え、作れるものには限りがあるがな」
「……凄い。怖いくらい凄い」

 私はNightの固有スキルを訊いてビックリした。
 私の【キメラハント】も大概だけど、Nightの固有スキルも普通じゃない。
 ゴクリと喉を鳴らすと、Nightって……

「Nightって、ファンタジー無視してるよね」
「お前な!」

 階段を上りながら、Nightは私に怒鳴り声を上げる。
 もしかして恥ずかしかったのかな?
 自分でも分っているせいか、耳まで真っ赤になると、ムキになってしまう。

「あはは、ごめんね」
「まあ私も分かっているが、私自身、ファンタジーよりもこっちの方が性に合ってる」
「やっぱりファンタジーじゃないよね?」
「だからそれは分かってい……はっ!?」

 ガッシャ―ン!

 その瞬間、Nightは私を押し退ける。
 肩から拳銃の銃口を突き出す。
 なにが起きたの? 私は振り返るも、視界が真っ暗闇に染まった。

 少なくとも分かるのは、丁度螺旋階段を上る中で、窓があった。
 その窓が何故か突き破られ、ガラス片が飛び散る。
 突き破って来た何かも腐臭を漂わせていて、私とNightに襲い掛かった。

 バン、バン!

「【キメラハント】+【甲蟲】……えっ!?」
「クソッ、こんな所で……」

 私もNightも善戦した、つもりだった。
 だけど全く間に合わない。
 私とNightの体は、窓を突き破って来た何かによって引き裂かれ、意識が途絶えて行くのを感じる。

 今の一瞬でHPを完全に〇にされた。
 頭から下への感覚が薄れて行く。
 もしかして、いや、もしかしなくても私とNightは……

「「ああ、負けちゃった」か」

 完全に油断していた。
 ここ、幽幻の居城:シャンベリーは怪物達の宝庫。
 隠しダンジョンなんだから、どんな罠が仕掛けられていてもおかしくないのに、油断して奇襲されてしまった。完全にミスだと悟った頃には、私達はシャンベリーから、ううん。ゲームの中から強制ログアウトさせられていて、結局負けて帰ることになってしまった。
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